モンゴルの貴族制度

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モンゴルの貴族制度 (モンゴル語: язгууртан/yazgurtan; モンゴル語: сурвалжтан/survaljtan) は10世紀から12世紀にかけて発達し、13世紀モンゴル帝国の成立によって確立した後、20世紀まで存続した。

モンゴル帝国時代(12061368)及び大元ウルス時代(12711368)[編集]

集史』におけるモンゴル帝国の貴族像

貴族の称号[編集]

  • カーン(Qaγan) (ᠬᠠᠭᠠᠨ), モンゴル帝国の君主(皇帝)
  • ノヤン(Noyan) (ᠨᠣᠶᠠᠨ), モンゴル帝国の統治下においてアイマク(部落)を有する領主
  • ジノン(J̌inong) (ᠵᠢᠨᠤᠩ), 「晋王」に由来する称号で、モンゴル高原の統治、チンギス・カン祭祀を務める皇族が称した
  • クウン(Kö'ün) (ᠬᠠᠨ ᠬᠦᠦ), 元来は「人」を意味する単語で、転じて「王子」を意味した

軍事指揮官の称号[編集]

女性の称号[編集]

北元時代(13681635)[編集]

貴族の称号[編集]

  • ハーン(Khaan),モンゴルの君主
  • ジノン(J̌inong) (ᠵᠢᠨᠤᠩ), チンギス・ハーンの大オルド(=八白室)を治める者の称号で、15世紀以後にはオルドス部長の称号ともなった
  • ホンタイジ(Qong Tayiji) (ᠬᠤᠨ
    ᠲᠠᠶᠢᠵᠢ
    ), 「皇太子」に由来する言葉で、君主号の1つとして用いられた
  • タイジ(Tayiǰi) (ᠲᠠᠶᠢᠵᠢ),「太子」に由来する、チンギス・カンの子孫が名のる称号
  • オン(Ong),「王」に由来する、チンギス・カンの諸弟(ジョチ・カサルカチウンテムゲ・オッチギンベルグテイ)の子孫が名のる称号
  • タイシ(Tayiši) (ᠲᠠᠢᠱᠢ),「太師」に由来する非ボルジギン氏の首長が名のる称号で、ハーンを傀儡とし事実上北元時代モンゴルの最高権力者であった

女性の称号[編集]

  • タイフ(Taihu), 后妃の称号の一つ
  • ハトゥン(Khatun),后妃の称号の一つ
  • グンジ(Gonǰi),「公主」に由来する高貴な女性の称号
  • Behichi (Beiji), 高貴な女性の称号

非貴族の呼称[編集]

  • Sain humun (ᠰᠠᠶᠢᠨ ᠬᠦᠮᠦᠨ),「良き人」を意味し、富裕な人物の呼称として用いられた
  • Dund humun (ᠳᠤᠮᠳᠠ ᠬᠦᠮᠦᠨ),「中くらいの人」を意味する称号
  • Magu humun (ᠮᠠᠭᠤ ᠬᠦᠮᠦᠨ),「悪しき人」を意味し、貧困な人物の呼称として用いられた
  • Hitad humun (ᠬᠢᠲᠠᠳ ᠬᠦᠮᠦᠨ),「漢人」を意味し、奴隷身分の呼称として用いられた

清朝統治時代(16911911)及びボグド・ハーン政権期(19111924)[編集]

ハルハ部の貴族(c. 1908)

貴族の称号[編集]

  • ハン (汗), 「旗(ホシューン)」の領主
  • 男爵(Ashan-i hafan),旗の領主で、年收入が3500両・白銀60匹綢緞
  • 親王(Chin Wang),旗の領主で、年收入が2600両・40匹綢緞、かつ農奴を60所有する
  • 郡王(Giyün Wang),旗の領主で、年收入が1200〜2000両・15〜25匹綢緞、かつ農奴を50所有する
  • ベイレ(Beile),旗の領主で、年收入が600両・13匹綢緞、かつ農奴を40所有する
  • ベイス(Beis),旗の領主で、年收入が500両・10匹綢緞
  • 鎮国公(Tushiye Gong),旗の領主で、年收入が300両・9匹綢緞
  • 輔国公(Tusalagchi Gong),旗の領主で、年收入が200両・7匹綢緞
  • タイジ(Hohi Taiji/台吉)四階級に分類される:
    • 一等タイジ(Terigun Zereg-un Taiji),旗の領主で、年收入が100両・4匹綢緞
    • 二等タイジ(Ded Zereg-un Taiji),旗の領主で、年收入が90両・3匹綢緞
    • 三等タイジ(Gutagaar Zereg-un Taiji)
    • 四等タイジ(Dötugeer Zereg-un Taiji),旗の領主で、年收入が40両、かつ農奴を4所有する

脚注[編集]


参考文献[編集]

  • 森川哲雄「中期モンゴルのトゥメンについて--特にウルスとの関係を通じて」『史学雑誌』 第81編、1972年