ホームビルト機

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ホームビルト機(Homebuilt aircraft)とは、航空機メーカーではなくアマチュアが自作した航空機である。

概要[編集]

大きく分けてメーカーが販売するキットを組み立てるキットカーのような形態(組み立て式航空機とも呼ばれる)、図面を基に部品の製作から行うものなど様々なタイプがある。特にキットは敷居が低いため多数販売されている。キットであってもエンジンは含まれないことも多い。このためホームビルト機向けにエンジンを少量製作する小規模なメーカーが存在する。また費用を抑えるため中古のエンジンを選ぶ者もいる。価格は安いもので10000ドル(Cirrus VK-30)で、高いものでも64000ドル(Cirrus VK-30)とメーカーの完成機(セスナ 172Sが約290000ドル)と比べ遙かに安価である。特に木製機は部品加工が容易なため低価格機が多く、木製複葉機のPietenpol Air Camperは、図面のみなら100ドルという超低価格で販売されていた。なお特殊な構造や高性能な機体は安価な完成機より高価になることもある。

一般的に製作者は構造の50%以上を自らの手で製作しなければならず、「クイック・ビルド」と銘打って販売しているキットでも、800~1,000時間の作業が必要となる。このためヴァンズ・エアクラフトのように購入者を対象とした講習会を開くメーカーもある。

通常の航空機と同様、耐空証明が必要であるため完成後に検査を行い合格して機体が登録された後に、飛行が可能となる。ただし多くの国では書類申請が煩雑で空域に制限があるなど、メーカーが製造した航空機とは同等の扱いとはならない。例外的にアメリカではエクスペリメンタル・カテゴリーに登録されメーカー品と遜色ない飛行が可能となる。これを利用しアメリカ国内で組み立てと登録申請を代行する業者も存在する。

機体の種類はモーターグライダー超軽量動力機軽飛行機が中心だが、ターボプロップ機や超軽量ジェット機ヘリコプターも存在し、近年では複合材グラスコックピットを採用し高度な曲技飛行も可能であるなど大手メーカーの機体に匹敵する高性能機も存在する。

現代ではシーラス・エアクラフトのようにホームビルト機の販売からスタートし、後に完成機へ参入する小規模メーカーもある。オリジナル機だけでなくウォー・エアクラフト・レプリカズ・インターナショナルのように、往年の名機の縮小レプリカを販売するメーカーもある。

アマチュアの手で製作された軽飛行機は、世界中で少なくとも30,000機が運航されているとされる。欧米ではホームビルト機の団体も活発に活動しており、アメリカEAA(実験航空機協会)が主催するEAA エアベンチャー・オシュコシュでは、毎年各地から軽飛行機やホームビルト機が集まる。

軍隊でも使用されることがあり、創設後間もない中華民国空軍ベトナム共和国空軍スリランカ空軍インドネシア空軍では自国の航空機産業を育成するために、練習機としてパズマニー PL-1が採用された。近年でもナイジェリア空軍ヴァンズ・エアクラフト RV-6Aの採用事例がある。

参考文献[編集]

  • 分冊百科「週刊 ワールド・エアクラフト」No.191 2003年 デアゴスティーニ
  • Armstrong, Kenneth: Choosing Your Homebuilt - the one you will finish and fly! Second Edition ISBN 0-932579-26-4
  • Peter M Bowers: Guide to Homebuilts - Ninth Edition. TAB Books, Blue Ridge Summit PA, 1984. ISBN 0-8306-2364-7

関連項目[編集]

外部リンク[編集]