フクロテナガザル
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フクロテナガザル | ||||||||||||||||||||||||
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保全状況評価[1] | ||||||||||||||||||||||||
ENDANGERED (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) ![]() | ||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Symphalangus syndactylus (Raffles, 1821)[2] | ||||||||||||||||||||||||
シノニム | ||||||||||||||||||||||||
Simia syndactylus Raffles, 1821[2] | ||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||
フクロテナガザル[3] | ||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||
Siamang[3] |
フクロテナガザル(Symphalangus syndactylus)は、哺乳綱霊長目テナガザル科に分類される類人猿。本種のみでフクロテナガザル属を構成する[2]。別名シアマン[4]。
テナガザル科の最大種[5]。黒い体毛を持ち、マレー半島南部とスマトラ島に分布する[3]。
形態[編集]
頭胴長(体長) 71 - 90センチメートル[5]。体重は10 - 12キログラムと、他のテナガザル類の約2倍もの重さがある[4]。
フクロテナガザルは二つの大きな特異性のため、他のテナガザルと区別される。一つ目は、後肢の2つの指が皮膚でつながっている点である。フクロテナガザルの種小名syndactylusは「合指」("syndactyl")に由来する。二つ目は、オスが持つ大きな「のど袋」である。自分の頭と同じくらいの大きさにまで膨らみ、これにより大きな声でほえたり合唱することができる。
分類[編集]
テナガザル科の9種は、長らく2属(テナガザル属8種とフクロテナガザル属1種)に分類されていた。しかし近年になって、フクロテナガザルだけが他と大きく異なっているわけではない、逆に言えば同じテナガザル属に分類されていた種同士の違いも大きい、ということがわかってきた。このため、9種全てを1属(テナガザル属)とし、その中にフクロテナガザル亜属など3~4亜属を設ける分類法が一般的になっていった。さらに、2000年には4亜属を属に格上げする提案が霊長類研究者らによってなされている。
生息地からスマトラフクロテナガザル(S. s. syndactylus )とマレーシアフクロテナガザル(S. s. continentis )の2亜種に分類する説[6]もあるが、マレーシア集団をあえて分別する必要はないという見方もある。なおフクロテナガザルは、別種のテナガザルと生息地が重なる唯一の種であり、アジルテナガザルおよびシロテテナガザルと分布が重なっている。
生態[編集]
フクロテナガザルは飼育下で20歳まで生きる。
人間との関係[編集]
非合法なペット取引も一因ではあるが、マレーシア・スマトラ島双方での居住地の喪失が、野生種を絶滅の危機にさらしている最大の要因である。アブラヤシのプランテーション栽培のため森林が伐採され、スマトラトラなどと共にフクロテナガザルの生息地が減少している。
メディア[編集]
出典[編集]
- ^ Nijman, V., Geissmann, T., Traeholt, C., Roos, C. & Nowak, M.G. 2020. Symphalangus syndactylus. The IUCN Red List of Threatened Species 2020: e.T39779A17967873. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.2020-2.RLTS.T39779A17967873.en. Accessed on 04 May 2022.
- ^ a b c d Groves, Colin. Wilson, D. E., and Reeder, D. M.. ed. Mammal Species of the World (3rd edition ed.). Johns Hopkins University Press. pp. 181. ISBN 0-801-88221-4
- ^ a b c 岩本光雄「サルの分類名(その4:類人猿)」『霊長類研究』第3巻 2号、日本霊長類学会、1987年、119-126頁。
- ^ a b 國松豊「テナガザルの進化はどこまでわかっているのか」『霊長類研究』第19巻 1号、日本霊長類学会、2003年、65-85頁。
- ^ a b Andrew Eastridge, 1999. "Symphalangus syndactylus" (On-line), Animal Diversity Web. Accessed May 04, 2022.
- ^ Geissmann, Thomas. “Gibbon Systematics and Species Identification”. 2006年4月13日閲覧。