フォンティーナ

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フォンティーナ
Fontina
Fontina DOP.jpg
分類 セミハード[1][2]
原料 牛乳
原産国 イタリア
原産地 ヴァッレ・ダオスタ州
生産場所 酪農場、酪農工場
生産期間 夏から冬の終わり
形状 円盤状[3]
大きさ 直径30–45 cm
高さ7–10 cm
重量 800–1800 g
脂肪分 45%以上
表皮 淡い褐色、FONTINAの文字
黄褐色からオレンジがかった褐色[4][5]
熟成 3箇月以上
呼称統制 DOP (1996[6])
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フォンティーナ (イタリア語:Fontina[6]、フランス語:Fontine[7]) はイタリアで生産される、牛乳を原料としたセミハードタイプのチーズである。アルプスにあるヴァッレ・ダオスタ州で作られている。豊富に生えている牧草だけを飼料として与えることで、独特な香りを放つ最高のチーズが取れると言われている[8]。フォンティーナはヨーロッパの法律の下でDOPの認定を受けている。

来歴[編集]

名称の由来は諸説あり、山の牧草地の名前 “Fontin”、“Fontinaz” なる村の名前、あるいは人物の姓によるとされる[9]。記録に残るフォンティーナの初出は1270年のラテン語文書であるが、これはチーズではなく地名としての文脈で用いられたものであった[9]イソーニュ城英語版に残る1480年のフレスコ画にはフォンティーナのようなチーズが山積みになっている姿が描かれている(下図参照)[9]。確実にチーズとしてのフォンティーナの言及を確認できるものは1700年の資料まで待たねばならない[9]1996年EU原産地名称保護制度におけるDOP認定を受けた[6]。2016年にウォール・ストリート・ジャーナルが選んだA-to-Zのチーズ26選に取り上げられた[10]

生産[編集]

アオスタ渓谷で作られ、原料乳は1日2回の搾乳を行うが、それぞれを混ぜず殺菌もせず使う[10][11]。1年を通して作られるが、夏の間に最高では標高2500メートルにも及ぶ山で牛の放牧を行う[12]。このように夏場の6月から9月の間に牛を山で放牧して作られたものはアルペッジオと呼ばれ、至高とされる[3][1]。文字”FONTINA”を含むマッターホルンの組合のスタンプにより、アオスタ渓谷のフォンティーナであると確認できる[4]

味と食べ方[編集]

フォンティーナの中身の45%は乳脂肪である[13]。チーズの内部は淡いクリーム色で「目」と言われている穴がある[14][15]

土、キノコ、木のかおりがすると言われ、ロースト肉やトリュフと良くあう。 濃厚なうまみとともにナッツや蜂蜜の風味も感じられ、熟成により豊かでクリーミーな味わいが増す[13][3]

若いフォンティーナはとても柔らかく、よく溶ける[16][17]。熟成が終わる冬頃、チーズフォンデュ的な地元の名物料理、フォンドゥータに使うのが最もよい[18]。フォンデュータ・アラ・ヴァルドスターナ(イタリア語)もしくはフォンデュ・ア・ラ・ヴァルドテーヌ(フランス語)はフォンティーナに牛乳、卵とトリュフを混ぜた伝統的な料理である[19]。熟したフォンティーナはハードチーズになる[16]。テーブルチーズとして食べることもできる[15]。パン粥やポレンタに入れてもいいし、茹でたジャガイモと一緒にオーブンで焼いてみてもよい[1][3]。酒なら地元の白ワイン、ヴァッレ・ダオスタ (Valle d'Aosta) が合う[1]。野生のチェリーとトリュフの風味がする赤ワイン、ネッビオーロと良く合う[13]

イソニェ城の1480年のフレスコ画。右側のチーズは、フォンティーナの最古の描写であると考えられている。

派生製品[編集]

ほかの多くのチーズ同様に、「フォンティーナ」という名前は「フォンティネッラ」や「フォンタル」「フォンティーラ」などのような類似するチーズにより乱用されている[5]

アオスタ渓谷のものは唯一のオリジナルで最も有名なものだが、派生生産はイタリアのほかの場所や、デンマークスウェーデンケベック州フランスアルゼンチン、アメリカでも行われている[13]

アオスタ渓谷オリジナルのフォンティーナは刺激的なにおいときつい風味があり、ほかの国で生産されているものはもっと穏やかな風味である。スウェーデンとデンマーク産のものはアメリカの食料雑貨店でよく売られているが、赤いワックスの皮があるためアオスタ産のものと区別できる(これもアルゼンチンフォンティーナでも流行している)。 アオスタ産のフォンティーナは熟成により自然に皮ができる。通常、黄褐色からオレンジがかった褐色である[4][5]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d 本間るみ子; 増井和子; 山田友子、文藝春秋編 『チーズ図鑑』 182巻(7版) 株式会社文藝春秋〈文春新書〉、2009年、159頁。ISBN 4-16-660182-2 
  2. ^ 以下「基本情報」欄は、特記の無い限り (本間, 増井 & 山田 2009, p. 159) による。
  3. ^ a b c d 『チーズ入門』 日本食糧新聞社〈食品知識ミニブックスシリーズ〉、2017年、63-64頁。ISBN 9784889272604https://books.google.co.jp/books?id=FJcptAEACAAJ 
  4. ^ a b c Schloss, Andrew (2011). Fire it up : more than 400 recipes for grilling everything. Joachim, David., Miksch, Alison.. San Francisco: Chronicle Books. p. 197. ISBN 9781452100197. OCLC 748376423. https://www.worldcat.org/oclc/748376423. 
  5. ^ a b c Ehlers, Steve; Hurt, Jeanette (1 April 2008). The Complete Idiot's Guide to Cheeses of the World. DK Publishing. p. 66. ISBN 978-1-4406-3618-9. https://books.google.com/books?id=1WuifJuVavEC&pg=PA66. 
  6. ^ a b c EUR-Lex - 31996R1107 - EN - EUR-Lex”. 欧州連合. 2019年5月4日閲覧。
  7. ^ Larousse, Éditions. “Définitions : fontine - Dictionnaire de français Larousse” (フランス語). www.larousse.fr. 2019年6月4日閲覧。
  8. ^ St. Pierre, Brian. (2005). The wine lover cooks Italian : pairing great recipes with the perfect glass of wine. San Francisco: Chronicle Books. p. 210. ISBN 9781452131894. OCLC 854854500. https://www.worldcat.org/oclc/854854500. 
  9. ^ a b c d Cooperativa Produttori Latte e Fontina”. fontinacoop.it. 2014年7月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年5月4日閲覧。
  10. ^ a b The A-to-Z Guide to Cheese—Plus Pungent Pairings - WSJ”. ウォール・ストリート・ジャーナル (2016年3月9日). 2019年5月4日閲覧。
  11. ^ Rubino, R.; Sardo, P.; Surrusca, A. (eds.). Italian Cheese: 293 Traditional Types. 88-8499-111-0
  12. ^ Fontina”. www.fontina-dop.it. 2019年6月15日閲覧。
  13. ^ a b c d Fontina Val d'Aosta”. Cheese.com. 2016年4月11日閲覧。
  14. ^ Ehlers, Steve; Hurt, Jeanette (1 April 2008). The Complete Idiot's Guide to Cheeses of the World. DK Publishing. p. 39. ISBN 978-1-4406-3618-9. https://books.google.com/books?id=1WuifJuVavEC&pg=PA66. 
  15. ^ a b Carluccio, Antonio,. 100 pasta recipes. London. ISBN 9781446416389. OCLC 933733499. https://www.worldcat.org/oclc/933733499. 
  16. ^ a b Fontina” (英語). Co+op, stronger together (2014年9月1日). 2019年6月15日閲覧。
  17. ^ What good cooks know : 20 years of Test Kitchen expertise in one essential handbook. America's Test Kitchen. Brookline, MA: America's Test Kitchen. p. 391. ISBN 1940352673. OCLC 961351147. https://www.worldcat.org/oclc/961351147. 
  18. ^ 本間るみ子、主婦の友社編 『チーズの選び方 楽しみ方』 株式会社主婦の友社、2012年、117頁。ISBN 978-4-07-285215-6 
  19. ^ Office Régional du Tourisme (2010年9月18日). “Concerti enogastronomici in Valle d’Aosta.”. http://www.theflintstones.it/.+2019年6月4日閲覧。

外部リンク[編集]