バレット食道

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Barrett's esophagus
Barretts esophagus.jpg
分類および外部参照情報
診療科・
学術分野
消化器学
ICD-10 K22.7
ICD-9-CM 530.85
Patient UK バレット食道
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バレット食道: Barrett's esophagus)とは、下部食道粘膜扁平上皮英語版から円柱上皮に変化したもの。

歴史[編集]

1950年ロンドン大学の胸部外科医Norman Barrettによって報告され、呼ばれるようになった。

病理[編集]

Barretts alcian blue.jpg

厳格な組織学的、病理学的な定義としては「バレット食道(Barrett's esophagus)とは食道内に存在する円柱上皮で腸上皮化生を伴ったもの」と定義される。 円柱上皮化生と、粘膜筋板の2層化とを特徴としている。

分類[編集]

実臨床で用いられる上部消化管内視鏡観察による診断定義は様々存在している。 食道接合部(EGJ)を超えて食道扁平上皮部分に腺円柱上皮を認めるものとされている。

プラハ分類[編集]

2003年に日米欧を中心とした国際的な研究組織である「IWGCO(International Working Group for the Classification of Oesophagitis)」から発表された分類。

「Prague C & M classification(プラハ分類)」と言われている。

  • Esophago gastric junction(EGJ:食道胃接合部):tops of gastric mucosal folds(胃の襞の上端)
  • circumferential extent(C-extent):EGJから全周性の食道円柱上皮(腸上皮化成)までの距離
  • maximum extent(M-extent):EGJから食道円柱上皮(腸上皮化成)の舌状部分を加えた最大距離

日本食道学会[編集]

日本食道学会による分類定義は以下である。

  • Esophago gastric junction(EGJ:食道胃接合部):下部食道の柵状血管の下端
  • squamocolumnar junction(SCJ:扁平円柱上皮接合部):食道扁平上皮と胃円柱上皮の境界

SSBE・LSBE[編集]

バレット食道をその後のバレット腺癌の発生確率から「長さ」によって簡易的に以下のように大別して表現されている

  • SSBE(short segment Barrett esophagus)
EGJから連続した円柱上皮が全周性に3cm以内認めるもの
  • LSBE (Long segment Barrett esophagus)
EGJから連続した円柱上皮が全周性に3cm以上認めるもの

要因[編集]

胃食道逆流症(GERD)によって生じており、胃酸と十二指腸液の双方が関与しているとされている。

経過[編集]

逆流性食道炎症状があれば、制酸薬投与等が行われる。 実臨床においては、その後に発生しうる「バレット腺癌」の発生を早期に発見することと、そのための定期的な上部消化管内視鏡検査での定期観察が行われる。

SSBEからは食道癌の発生頻度は稀であるが、LSBEからは食道癌の発生頻度が多い。

欧米ではLSBEが比較的多く、日本ではSSBEが多い。日本の「バレット食道」のほとんどが「SSBE」であり、「LSBE」は稀である。ただ消化器専門医でも、厳格には「SSBE」とされる症例でも、安易に「LSBE」という診断がなされていることが多い。

治療[編集]

高周波アブレーションは、バレット食道の安全で効果的な治療法であることが示されています。バルーンベースの高周波処置は、1999年にRobert A. Ganz、Roger Stern、Brian Zelicksonによって発明されました(人間の食道の異常組織を治療するためのシステムと方法)。人が鎮静されている間、カテーテルが食道に挿入され、高周波エネルギーが病変組織に送達されます。この外来処置は通常、15分から30分かかります。手順の2か月後、医師は上部内視鏡検査を行って、食道の残存バレット食道を評価します。バレット食道が発見された場合、病巣は局所RFA装置で治療できます。 多数の臨床試験で80〜90%以上の人がバレット食道の完全な根絶を示し、約2〜3回の治療で安全なプロファイルが得られています。 RFAによるバレット食道の治療は、最長5年間持続します。[1][2][3][4][5]

関連[編集]

脚注[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ “Complete Ablation of Esophageal Epithelium Using a Balloon-based Bipolar Electrode”. Gastrointestinal Endoscopy 60 (6): 1002–10. (2004). doi:10.1016/s0016-5107(04)02220-5. PMID 15605025. 
  2. ^ “Endoscopic radiofrequency ablation for Barrett's esophagus: 5-year outcomes from a prospective multicenter trial”. Endoscopy 42 (10): 781–89. (2010). doi:10.1055/s-0030-1255779. PMID 20857372. 
  3. ^ “Radiofrequency Ablation in Barrett's Esophagus with Dysplasia”. New England Journal of Medicine 360 (22): 2277–88. (2009). doi:10.1056/NEJMoa0808145. PMID 19474425. 
  4. ^ “Durability of Ablation in Barrett's Esophagus with Dysplasia”. Gastroenterology 141 (2): 460–68. (2011). doi:10.1053/j.gastro.2011.04.061. PMC: 3152658. PMID 21679712. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3152658/. 
  5. ^ “Stepwise radical endoscopic resection versus radiofrequency ablation for Barrett's oesophagus with high grade dysplasia or early cancer: a multicentre randomised trial”. Gut 60 (6): 765–73. (June 2011). doi:10.1136/gut.2010.229310. PMID 21209124.