逆流性食道炎

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逆流性食道炎(ぎゃくりゅうせいしょくどうえん、英:reflux esophagitis)とは、胃酸十二指腸液が、食道に逆流することで、食道の粘膜を刺激し粘膜にびらん・炎症を引きおこす疾患名。胃食道逆流症(Gastroesophageal Reflux Disease:GERD)の一つ。現在では、未治療の逆流性食道炎は狭心症よりもQOLを損なう疾患とされており、胃酸関連疾患の中で非常に重要な疾患として位置づけられる[1]

発症メカニズムと現状[編集]

食道との接合部には、食道内に胃内容物が逆流することのないよう、下部食道括約筋(LES)などの流防止機構がある。しかし、加齢による下部食道括約筋の働きの低下と食道自体のぜん動運動と唾液の減少[2]食道裂孔ヘルニアによる逆流防止機構の破壊、一過性LES弛緩、腹圧の上昇による胃内圧の上昇などの要因により、胃食道逆流をきたしやすくなる。日本では、食事生活習慣の欧米化及びヘリコバクター・ピロリ菌感染者の減少に伴い増加傾向にある。1970年代後半には、逆流性食道炎の頻度は1.6%~2.9%であったが、1990年代後半に至り16.3%に増加した。内視鏡検査では異常のない症候性GERDも逆流性食道炎と同等に存在することから、胃食道逆流症は30%前後の高い頻度でみられるありふれた疾患となっている[1]。かつては高齢者に多かった病気だったが、近年は年齢にかかわりなく増加している[2]

食事・生活様式は胃食道逆流症と深く関わっている。炎症を悪化させる食べ物に高脂肪食をはじめ、アルコールコーヒー炭酸飲料、柑橘系ジュース、玉ねぎチョコレートあん饅頭香辛料などが挙げられる。脂肪分の多い食べ物はは消化に負担がかかることから、コレシストキニンという脂肪の消化に関わるホルモン物質が大量に分泌され、下部食道括約筋を弛緩させ胃液を逆流しやすくする。予防や治療的観点からはこれらの食べ物を避けることも重要である。喫煙もLES圧を低下させ、胃食道逆流症の増悪因子となる。前屈位などの体位や、食後すぐに横になることなどは腹圧の上昇を招き、逆流の原因、増悪因子となる。反対に就寝時の上半身挙上は、胃酸逆流を抑制させるため有効な治療法ともなる[2][1]

症状[編集]

以下のような症状がある。

  • 胸焼け英語版、みぞおちや上胸部痛などが起こる
  • 食事中・後、横になったとき、前屈したときに喉や口に胃酸が逆流する
  • 胸部違和感、不快感
  • 喉の違和感、声のかすれ
  • 腹部膨満感
  • 嘔吐・多くは過度のおくび(げっぷ)を伴う。
  • 流涎
  • 食物による食道痛
  • 就寝中逆流物の気道への誤嚥による呼吸器症状

要因[編集]

以下のような要因が知られている。

重症度[編集]

「逆流性食道炎」は内視鏡による重症度分類は様々なものが提唱されているが、ロサンゼルス分類が一般に広く用いられている。なお、グレードNとグレードMCは日本独自の分類である。

  • Grade N:正常粘膜
  • Grade M:明らかなびらんや潰瘍がなく、発赤だけを認めるもの
  • Grade A:粘膜障害が粘膜ひだに限局し、5mm以内のもの
  • Grade B:粘膜障害が粘膜ひだに限局し、5mm以上で相互に癒合しないもの
  • Grade C:複数の粘膜ひだにわたって癒合し、全周の75%を超えないもの
  • Grade D:全周の75%以上にまたがるもの

検査[編集]

内視鏡検査
食道上皮に発赤やびらん(びらん)・潰瘍、腫瘍がないか検査する。
分光画像内視鏡
胃・バレット食道・正常食道の粘膜の色調の変化から判別を行う。
拡大内視鏡
血管走行や腺構造の違いが調べる。
食道内pHモニタリング
食道への胃酸逆流を評価する。24時間検査し、食道内pHが急速に4以下に低下したときに酸逆流と認める。

診断[編集]

症状から胃酸逆流を疑い、食道内pHモニタリングで確定診断する。内視鏡は重症度分類の助けとする。

治療[編集]

日常生活においては消化の良いものを取り、過食を避け、食後横になるなどの逆流を増強する行為を避け、就寝時には頭を高くする(Fowler体位)。 一般的な薬物療法では、胃酸を抑える目的で、最も効果が強いプロトンポンプ阻害薬(PPI)の投与が選択され、場合によってはH2ブロッカーを使用あるいは併用する。消化管運動賦活薬なども併用される。PPIに対する日本の保険適用は胃潰瘍としては8週間までと定められている。難治性の逆流性食道炎には、PPIの長期投与が保険上も認められている。 食道裂孔ヘルニアを併発し、症状が著しい例では手術(噴門部形成術など)を行う場合もあるが、一般には施行されないことが多い。原因がはっきりしている場合を除いては、ストレスによって発症する例が大部分を占めるため、薬物療法に加えて根治を目的とした精神科的治療を平行して行う場合もある。治療は長期化する場合が多い。

胸焼け英語版消化不良英語版には、対症療法としてアルギン酸ナトリウム炭酸水素ナトリウム炭酸カルシウムなどが胃酸過多に対して制酸剤として使用されている。

脚注[編集]

  1. ^ a b c d 守口敬仁会病院公式サイト - 逆流性食道炎について”. 2018年8月24日閲覧。
  2. ^ a b c d e ロート製薬公式サイト”. 2018年8月24日閲覧。

関連項目[編集]