バサラ (栗本薫)

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バサラ』は、栗本薫による時代小説

概要[編集]

安土桃山時代を舞台として、天下一の踊り手として知られていた出雲の阿国と、バサラ衆を名乗る謎の男・弥勒丸を中心として織りなされる物語。1993年9月に角川書店カドカワノベルズ)から書き下ろしで刊行が開始された。表紙、口絵、挿絵は若菜等+Kiが担当している。

第1巻巻末の「あとがき」によれば、本作品はもともと舞台の脚本として構想されたものだという。当初、本作品は三部作となることが予定されており、第1部で出雲の阿国と弥勒丸の物語を、第2部で天草四郎とバサラ衆の物語を、第3部で現代のパンクロックバンド「バサラ」の物語を描く構想となっていた。しかし、刊行は第1部の途中、第3巻を以て中断し、作者の死去により未完となった。

あらすじ[編集]

天下一の踊り手ともてはやす人々の熱狂とは裏腹に、阿国の踊りへの情熱は薄れつつあった。もっと踊りに狂っていきたいのに、以前のように狂うことができなくなっていたのだ。そんな時、阿国の踊りを「つまらぬ座興」「手抜きの踊り」と嘲笑う声が観客の中から聞こえてきた。それは、誰よりも自らの踊りに違和感を覚え、狂いたくとも狂えないもどかしさを感じていた阿国の心を正面から貫く言葉であった。

屈辱の怒りを噛みしめて楽屋に戻った阿国の前に、その声の主が現れた。狼のような飢えた目をした端正な顔立ちのその男は、バサラ衆の弥勒丸と名乗り、手抜きと評した言葉だけを謝罪すると、「バサラのことを知りたければ山へ来い」と言い残し、阿国のもとを去っていった。

それからしばらく後、再び弥勒丸が阿国の前に現れた時、その面からは狼のような凄みは消え、底知れぬ悲哀が漂っていた。思わず駆け寄って弥勒丸を抱きしめた阿国のもとに血の匂いが漂ってきた。そしてその一瞬後、何者かが弥勒丸を阿国の腕の中からもぎ取り、去っていった。

夢とも現ともつかぬようなその出来事に心奪われた阿国は、その翌朝、洗濯女の一団が弥勒丸の名を口にするのを耳にした。その洗濯女に弥勒丸のことを阿国が尋ねていたまさにその時、弥勒丸が三度阿国の前に現れた。そしてその夜、阿国は弥勒丸に誘われ、バサラ衆の住む山へと入っていった。そこで目にした狂わんばかりのバサラ衆の踊りに、阿国は自身が求めるものを見いだしていた。

主要な登場人物[編集]

出雲の阿国
天下一の呼び声高い、ややこ踊りの踊り手。
弥勒丸
飢えた目をしたバサラ衆の男。
蒲生氏郷
会津若松の領主。偉丈夫にして美丈夫。
名護屋山三郎
天下の美童として知られる踊り手。蒲生氏郷の色小姓。
京極弾正高俊
京都所司。小柄で痩身の目つきが悪い男。
大松寺道犬
大柄な僧侶。京極弾正の弟。
小四郎
阿国の忠実な付き人。
孫右衛門
小屋主の老人。
ぼたん
阿国一座の娘。

刊行リスト[編集]

カドカワノベルズ(角川書店)刊