ハイドンの舞台作品一覧

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本項はフランツ・ヨーゼフ・ハイドンが作曲したオペラ劇付随音楽ジングシュピールなどの作品の一覧である。ホーボーケン番号 (Hob.) では28番 (XXVIII) から30番 (XXX) までが舞台作品である。

オペラ (Hob. XXVIII)[編集]

ハイドンはオペラを13曲残しているが、うち10曲はエステルハーザのオペラハウスで特別の機会のために上演されたものであり、その後は再演されなかったものも多い。ハイドンの没後は忘却され、楽譜も散逸していたが、20世紀にはいってから校訂が進んだ。1970年代から1980年にかけてアンタル・ドラティが8曲を録音する偉業をなしたが、その後も一般的なレパートリーになったとはいい難い。

ホーボーケン番号(Hob.番号)順
XXVIII 作品タイトル 作曲年代 ジャンル 台本 備考
1 アチデとガラテア
(Acide e Galatea)
1762 祝祭劇 1幕
(3幕)
G.B.ミリャヴァッカ 『アキス』とも。断片のみ現存。1773年に第2版も作られているが、未完に終わっている。
2 歌姫
(La canterina)
1766 インテルメッツォ
(オペラ・ブッファ)
2幕 不明
(C.ゴルドーニ?)
ブラチスラヴァ(当時はハンガリー領)で上演された
3 薬剤師
(Lo speziale)
1768 ドラマ・ジョコーゾ 3幕 C.ゴルドーニ 本作から『アルミーダ』まではエステルハーザで初演。第3幕は完全な形では残っていない
4 漁師の娘たち
(Le pescatrici)
1769 ドラマ・ジョコーゾ 3幕 C.ゴルドーニ 第1・2幕は完全な形では残っていない
5 勘違いの不貞
(L'Infedeltà delusa)
1773 オペラ・ブッファ
(ブルレッタ・ペル・ムジカ)
2幕 M.コルテッリーニ 『当てはずれの不貞』、『報われぬ不実』、『裏切られたまこと』などとも呼ばれる
6 突然の出会い(意外なめぐりあい)
(L'incontro improvviso)
1775 ドラマ・ジョコーゾ 3幕 K.フリーベルト 台本はグルックのオペラ『思いがけないめぐりあい』を原作とする。
7 月の世界
(Il mondo della luna)
1777 ドラマ・ジョコーゾ 3幕 C.ゴルドーニ
8 真の貞節
(La vera costanza)
1777/78 ドラマ・ジョコーゾ 3幕 F.プッティーニ
(P.トラヴァリア編)
初稿は焼失、第2稿のみ現存
9 無人島
(l'isola disabitata)
1779 アツィオーネ・テアトラーレ 2部 P.メタスタージオ 1802年にフィナーレの部分を改訂。
10 報われた誠
(La fedeltà premiata)
1780 ドラマ・パストラーレ・ジョコーソ 3幕
(2幕)
G.B.ロレンツィ 『酬いられたまこと』とも。
11 騎士オルランド
(Orlando Paladino)
1782 ドラマ・エロイコミコ 3幕 N.ポルタ 『シャルルマーニュの騎士オルランド』、『オルランド・パラディーノ』とも
12 アルミーダ
(Armida)
1783 ドラマ・エロイコ 3幕 J.ドゥランティ
13 哲学者の魂、またはオルフェオとエウリディーチェ
(L'anima del Filosofo ossia Orfeo ed Euridice)
1791 ドランマ・ペル・ムジカ 4幕
(5幕)
C.F.バディーニ ロンドン公演用に作曲されたが、作曲者の生前には上演されず。1951年初演

マリオネット・オペラ(人形歌劇)、ジングシュピール (Hob. XXIX)[編集]

マリオネット・オペラ (XXIXa) とジングシュピール (XXIXb) などの多くは紛失し、おおむね残っているのは『フィレモンとバウチス』のみである。またジングシュピールは偽作(かどうかは疑問)も多い。

XXIXa(マリオネット・オペラなど)[編集]

ホーボーケン番号(Hob.番号)順
XXIXa 作品タイトル 作曲年代 ジャンル 台本 備考
1 フィレモンとバウチス
(Philemon und Baucis)
1773 マリオネット・オペラ G.K.フェッフェル プロローグは紛失。他は1950年頃に発見
1a 序劇『神々の会議』
(Der Götterrat)
1773 P.G.バーダー 断片のみ。『神々の怒り』と呼ばれることもあるが、おそらく誤訳。序曲は交響曲第50番に転用。
2 魔女の饗宴
(Der Hexenschabbas)
1773? マリオネット・オペラ P.G.バーダー 紛失
3 捨てられたディド
(Didone Abbandonata)
1776 マリオネット・オペラ P.G.バーダー 紛失、現存する台本は1778年9月15日に再演されたものである
4 火事に遭った家(焼けた家のオペラ・コミック)
(Opera Comique vom abgebrannten Haus)
1773/79? オペラ・コミック 紛失。Hob. XXIXb.Aと同一の曲の説がある
5 ゲノフェーフェン第4部
(Genovevens vierter Theil)
1777 マリオネット・オペラ J.K.v.パウアースバッハ 紛失。数人の作曲家の合作、偽作説あり

XXIXb(ジングシュピール)[編集]

ホーボーケン番号(Hob.番号)順
XXIXb 作品タイトル 作曲年代 台本 備考
1a せむしの悪魔
(Der krumme Teufel)
1751 不明 J.クルツ-ベルナルドン 紛失
1b 新・せむしの悪魔
(Der neue krumme Teufel)
1758 2幕 J.クルツ-ベルナルドン 紛失、台本のみ現存
2 フィレモンとバウチス
(Philemon und Baucis)
1777 1幕 G.K.フェッフェル 同名のマリオネット・オペラからの編曲?
3 果たされた復讐(罰せられた復讐心)
(Die bestrafte Rachbegierde)
1779 3幕 P.G.バーダー 紛失、台本のみ現存。またはマリオネット・オペラ
A 大火事
(Die Feuersbrunst)
1775以前/78 不明 ? 偽作?
B 大演説家
(Le Glorieux oder Der Großsprecher)
1778以前/79 ? ? 偽作?
C アルプスでの結婚式
(Die Hochzeit auf der Alm)
1768 ? ? 偽作?
D 見捨てられたカプリソ島
(L'isola di Calypso abbandonata)
1783 ? ? 偽作?
E 緑色とバラ色
(Grün und Rosenfarb)
1786以前/88 ? ? 偽作?
F 旅の途のケレス
(Die reisende Ceres)
? ? ? 未完、一部欠落

劇付随音楽 (Hob. XXX)[編集]

劇付随音楽は、紛失と偽作が多く、現存するものは少ない。

ホーボーケン番号(Hob.番号)順
XXX 作品タイトル 作曲年代 台本 備考
1 侯爵夫人
(la Marchesa Nespola)
1762 1幕 N.エステルハージ 全体は断片、8つのナンバーのみ現存
2 大火事
(Die Freuerbrunst)
1774 不明 グロースマン 紛失、偽作?
3 うかつ者
(Der Zerstreute)
1774 不明 不明 序曲、アントラクト、フィナーレは交響曲第60番と同一
4 3曲の付随音楽 1793 不明 不明 劇の原題はいずれも不明。
5 アングロサクソンの王アルフレッド
(Alfred, oder Der patriotische Konig)
1796 ? 『アルフレッド』、『憂国の王』とも。
A リア王
(König Lear)
1806 ? シェイクスピア(原作) 偽作=シュテークマン、及びブルーメンタールの作?
B ハムレット
(Hamlet)
1774以前/76 ? シェイクスピア(原作) 紛失、偽作?
C ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲン
(Götz von Berlichingen)
1776以前? ? デーテ 紛失。ミヒャエル・ハイドン作?
D ソリマン2世
(Soliman II)
1777以前? ? C.S.ファヴァール 紛失。偽作説あり?

その他[編集]

いずれもホーボーケン番号が与えられていない作品である。

ホーボーケン番号(Hob.番号)順
作品タイトル 作曲年代 ジャンル 備考
茶盆 ? 喜劇 作品自体は不明

参考文献[編集]

  • 『作曲家別名曲解説ライブラリー ハイドン』(音楽之友社
  • 『Encyclopaedia MUSICA(音楽大事典)』第4巻(平凡社)