ノート:保険金不払い事件/変更案

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保険金不払い事件(ほけんきんふばらいじけん)または保険金不払い問題(ほけんきんふばらいもんだい)とは、2005年(平成17年)2月20日に発覚した明治安田生命保険による死亡保険金の不当な不払いを発端とし、数多くの保険会社生命保険会社、損害保険会社問わず)が起こした、保険金(この場合、厳密には保険金とは言えない給付金や配当金なども含める例が多い)を支払わなければならない事案や事故に対して正当な理由無く保険金を支払わずにいた事件。1つの保険会社だけならず、数多くの保険会社がこのような保険金の不当な不払いを行っていたことから、保険業界全体の著しい腐敗が明らかになり、社会問題にまで発展した。

その特徴から、一部からは保険会社による保険金詐欺とまで比喩される。

事案の種類[編集]

マスコミ等では「保険金不払い事件」もしくは「保険金不払い問題」などとして一括りにされることが多いが、内容が異なる事案が混在していることに注意が必要である。2006年12月現在、保険金の支払いに関する金融庁行政処分は、生損保合わせて6回・28社にわたり発出されているが、これらは不適切な不払い事案と支払い漏れ事案に分けることができる(さらに厳密には、この他に契約上の不備による支払い拒否といった事案もある)。ただし、これらのどの事案であっても結果として不正に保険金が支払われないことには変わりはない。

不適切な不払い[編集]

「不適切な不払い」事案は、正当な理由に基づかずに保険会社が支払いを拒否していたものであり、明治安田生命や三井住友海上火災保険の行政処分はこれを理由としている。

不適切な不払いには、次のような例がある。

  • 告知事項とは因果関係のない保険事故にもかかわらず、告知義務違反を理由に支払いを拒否
  • 医師からの確定診断がない(したがって被保険者に病気の認識がない)病気を告知していなかったとして、支払いを拒否
  • 医師に確認することなく、保険責任開始以前に発病したものとして保険会社の免責を適用
  • 告知義務違反による契約解除が可能な期間を過ぎているにもかかわらず、保険会社が契約を解除

支払い漏れ[編集]

主契約に基づく保険金請求があったときに特約部分については請求がないため支払いを行わない、といった事象が典型例として挙げられ、損害保険会社26社に対し発出された行政処分はこれに該当する。 すなわち、保険会社側は「請求があったものだけ支払えばよい」と考えていたのに対し、金融庁は「請求が類推される保険金については請求がなくとも支払うべき」と判断したこととなり、金融庁の要求水準に保険会社が達していなかった事案であると言える。

契約の不備を理由にする支払い拒否[編集]

これらの不払い問題が広がりを見せるにつれ、保険会社の販売員や保険代理店が新規契約の獲得に走り、本来受け入れるべきではないリスクを孕んだ契約を安易に結んできた事、獲得契約数を1つでも多くするために違法に契約を締結してきた事などが問題となり、支払いの段階だけの問題ではなく、保険販売員や保険代理店のモラル低下による契約段階の不適正もクローズアップされてきた。

これは、契約段階で営業職員や代理店が不実記載や告知義務違反などを教唆し、保険会社としての事実の確認を疎かにしておきながら、後で不備を指摘して契約の無効を主張する、といったケースが該当するものであり、実際、三井住友海上火災保険の行政処分の理由として「代理店が被保険者本人からの告知を受けずに契約を行う等会社側に法令違反等があるにもかかわらず、告知義務違反が適用された事例」が挙げられている(金融庁による報道発表)。

厳密には支払いの段階での不適正ではないが、その原因は販売時の保険会社側もしくは販売員・代理店の法令違反であり、どちらの場合においても保険としての機能を果たさず、保険金が正しく支払われない結果となっている。

補足[編集]

保険会社が正当な理由を挙げて支払いを拒否する事は直ちに問題とはならない。しかし、今次は正当な理由を挙げなかったり、些細な理由をもって支払いを拒否したり、契約者が特約の存在に思い至らない事につけこんで支払いを免れる事が問題となった。また、契約の不備を理由にする支払い拒否では、新規契約獲得に傾注して契約の不備を見逃して本来は排除すべきリスクを受け入れてしまい、後からこれを排除する行為が支払い拒否の形で現れる事が問題となる。

背景[編集]

事件の誘因(生命保険会社)[編集]

バブル景気崩壊以後の低金利により、生命保険会社は1992年以降、多額の逆ざやを抱えることとなった。すなわち、生命保険会社の主要な3利源である「費差」「死差」「利差」のうち、利差がマイナスとなったのである。さらに、保有契約の減少に伴い費差益も悪化が続いたため、残る「死差」の確保が生命保険会社の至上命題となった。

この結果、死差益を増やす手段として、支出である保険金を正当な事由であっても払い渋るという、保険の存在意義を自ら失わしめるような行為に出ることとなった。

事件の誘因(損害保険会社)[編集]

1998年保険料の自由化以降、損害保険会社の競争は激化していった。 特に自動車保険においては、各社が特約という形での独自の保障を競い合った結果、支払い体制の整備が追いつかない状況になってしまった。こうして、臨時費用保険金をはじめとした付随的な保険金の支払い漏れが続々と生じることとなった。

これに加え、事態をさらに悪化させたのが第三分野保険の解禁である。

2001年、それまで外資系生保だけが販売することができた単品の医療保険を国内の生損保が発売することが可能となった。これを受け、既存の損害保険領域の競争激化により新たな収益源を求めていた損保各社は、いっせいに医療保険の販売を開始した。しかし、医療保険の査定に慣れていなかった損保各社は、ここでも支払い体制の不備を露呈することとなった。

問題の本質[編集]

生損保で多少異なるものの、いずれも問題の本質として保険会社を筆頭とした保険業界の「利益至上主義」がある。

従来から保険会社の新契約偏重で既存契約を軽視する傾向、そして保険販売員や代理店への過大なノルマや新契約重視の募集手数料体系および待遇などの販売態勢について、契約者を顧みず金銭を稼ぐことに注視した利益先行型の姿勢として問題指摘がなされてきた。

しかし、このような利益先行の姿勢が正される事はなく、保険販売員や代理店の一部が保険会社と同様の利益先行姿勢に走るようにまでなり、ついにはそれが保険の入口たる販売の面だけでなく、出口にあたる支払いの面にまで至り、保険が保険として機能しないという異常な状態を作り上げてしまった。ある意味で保険業界の腐敗が極まった姿と言える。

歴史[編集]

(省略)


(以下省略)