ナショナル・ローフ

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ナショナル・ローフ
種類 パン
発祥地 イギリスの旗 イギリス
主な材料 全粒粉
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ナショナル・ローフ(英語:National loaf)とは、全粒穀物を材料とし、カルシウムビタミンを加えたパン第二次世界大戦期のイギリスにおいて、パン製造業者連盟によって導入された[1]。戦時中の精白小麦粉や砂糖の不足に対応すべく、ナショナル・ローフ(今日の茶色パンに似ている)は全粒粉を材料としていた。1942年に導入され、1956年10月に廃止された[2]

英政府と協働して、パン製造業者連盟は全粒粉パンの4つの調理法を発表した。これは、当時のイギリスで合法的にパンを製造する唯一の調理法となった。ナショナル・ローフは、灰色でぼそぼそした食感であり美味とは言えず、入手不可能となった白パンよりナショナル・ローフを好む人は7人に1人しかいなかった。英政府がナショナル・ローフ導入に拘ったのは、イギリスへの食糧輸送のスペースを節約できると共に、既存の備蓄小麦をより活用できるからであった[3]

1942年にバッキンガム宮殿を訪れたアメリカのファーストレディー、エレノア・ルーズベルトは「料理こそ金や銀の皿に盛り付けられたものの、パンはどこの家庭でも食べているような戦時の代用パンであった。」と記している[4]

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ The 1940s House: The Kitchen”. Discovery Communications, Inc (2010年). 2012年3月15日閲覧。
  2. ^ The 20th Century”. Federation of Bakers (2007年). 2007年7月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年3月15日閲覧。

    - Derek J. Oddy (2003). From plain fare to fusion food: British diet from the 1890s to the 1990s. Boydell Press. p. 171. ISBN 978-0-85115-934-8. https://books.google.com/books?id=hLlYiS8xwF0C&pg=PA171 2012年3月15日閲覧。 
  3. ^ "Unconventional Ingredients". The Great British Bake Off. シーズン4. Episode 8. 8 October 2013. BBC Two
  4. ^ Edna Healey (2012). The Queen's House: A Social History of Buckingham Palace. Pegasus Books. p. 275. ISBN 9781453265277. https://books.google.com/books?id=XISeDvSS_rAC&pg=PT275 

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