デケロス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

デケロス古希: Δέκελος, Dekelos)は、ギリシア神話の人物である。テーセウスと同時代の人物で、アッティカ地方の北東に位置するデケレイア英語版の名祖[1][2]。デケレイアは歴史家ピロコロス英語版によると初代アテーナイケクロプスが建設した12の都市の1つ[3]

神話[編集]

テーセウスはまだ幼いスパルタの王女ヘレネーを略奪し、デケレイアの北東のアピドナイ英語版に隠した。そのため彼女の兄弟ディオスクーロイはアッティカ地方に進軍し、ヘレネーを奪還しようとした[4][5][6][7]

ヘーロドトスによると、このときデケレイアの住民たち、あるいは名祖のデケロスがテーセウスに憤り、アッティカ地方を救うためディオスクーロイをアピドナイに案内した。さらにアピドナイでは土着の住人ティタコスがテーセウスを裏切り、町をディオスクーロイに明け渡した。この功績により、デケレイアの住民はスパルタで租税免除と特別観覧の特権を与えられた。そのため後代にアテーナイとペロポネーソス半島の間で戦争が起きた際に、スパルタ軍はデケレイアに攻め込むことはなかった[4]

プルタルコスの「テーセウス伝」では、アカデーモスがデケロスの役割を果たしている[8]

脚注[編集]

  1. ^ 『ギリシア・ローマ神話辞典』p.159b。
  2. ^ 松平千秋訳注(下巻)p.360-361。
  3. ^ ピロコロス断片(ストラボン、9巻1・20による言及)。
  4. ^ a b ヘーロドトス、9巻73。
  5. ^ アポロドーロス、3巻10・7。
  6. ^ シケリアのディオドーロス、4巻63・3。
  7. ^ パウサニアース、2巻22・6。
  8. ^ プルタルコス「テーセウス伝」32。

参考文献[編集]