ティンガティンガ
ティンガティンガ (Tingatinga )は、1960年代にタンザニア・ダルエスサラームにおいてエドワード・サイディ・ティンガティンガ、1932年 - 1972年) が生み出したアートの手法。主に動物や植物などのタンザニアの自然が多く描かれてる。ティンガティンガ アートやティンガティンガ絵画ともいう。
ティンガティンガは1960年代後半、タンザニアの首都ダルエスサラームでエドワード・サイディ・ティンガティンガが創作した動物画を起点として成立した。初期の作品は、メゾナイト板などの入手しやすい支持体に自転車用エナメル塗料を重ねて描く手法を特徴とし、強い発色と簡潔な図像表現が成立の条件となった。
創始者エドワードの不慮の死後、親族や弟子によって技法と図像が反復され、制作の担い手が増えることで、個人作家の表現から「様式(スクール)」としての輪郭が明確化した。ダルエスサラームに創設された Tingatinga Arts Cooperative Society(ティンガティンガ・アート協同組合) は、制作・販売・後進育成の枠組みとして機能し、ティンガティンガを継続的に生産される文化表現として制度化したとされる。日本でもインターネット通販などの手段で一部のアーティストの作品を入手することが可能である。
1980年〜1990年代 日本各地の百貨店で「黄金のアフリカ S .G .MUPATA展」が開催
2007年 スターバックスコーヒーの銀座マロニエ通り店において展示
2015年「ティンガティンガアートの世界」多摩美術大学美術館主催[1]
2018年 銀座三越「ティンガティンガ・アート展」
2021年 GALERIE PARIS「アフリカン現代アート ティンガティンガ原画展2011」
作風
[編集]描かれる対象としては鳥やサル、ヘビなどの身近な動植物から、自然における神聖とされているゾウ、サイ、カバまで多岐にわたるが、一般に人工物よりも自然物が多く描かれる。創始者エドワードの自由な作風が特徴的である。
ペンキで一定程度描いては屋外で乾かすという工程を繰り返すことで作品を作っていくことに特徴がある[2]。
ティンガティンガは、観光市場の需要に応答して広く流通したことから、いわゆる観光向け絵画として言及される場合がある一方で、色彩設計、装飾性、反復パターン、戯画的・風刺的要素などを特徴とする独自の視覚言語として、美術史・美術研究の文脈で分析対象ともなってきた。こうした二重の位置づけ(商業流通の広さと、表現様式としての分析・評価)が、ティンガティンガの評価史の特徴として指摘される。
ティンガティンガ工房
[編集]エドワード・サディ・ティンガティンガの死後、彼の親族や弟子たちによってその絵画様式は継承され、ダルエスサラームには Tingatinga Arts Co-operative Society(ティンガティンガ・アート協同組合) が設立された。
この組織はティンガティンガ・アーティストの共同工房として機能しており、アーティストが制作活動を行うとともに、若手画家の育成や作品の販売などを行っている。
ティンガティンガ工房は現在もダルエスサラームに拠点を置き、多くの画家がここで作品制作を続けている。運営はルブニ・ラシディ(Rubuni Rashidi)を会長とし、少数人のボードメンバーによって取り仕切られている。
国際的評価
[編集]1980年代以降、東アフリカのポピュラー・ペインティングとして海外で紹介される機会が増え、展覧会や出版物を通じた周知が進んだ。日本では、多摩美術大学美術館のコレクションを基盤に、1970〜1990年代に隆盛したタンザニアのポップ・ムーブメントとしてのティンガティンガを紹介する展示が行われたことがある。こうした学術機関・美術館のコレクション形成と展示は、ティンガティンガを「地域の流通絵画」から「現代アフリカを代表する視覚芸術」として位置づけ直す要因の一つとなった。[3]
作品は観光文化の一部として広く流通しているほか、S.G.MupataやMaurus Malikitaのような世界的に知られるアーティストも輩出しており、世界各地のギャラリーや展覧会で紹介されている。
外部リンク
[編集]脚注
[編集]- ^ “多摩美術大学美術館”. museum.tamabi.ac.jp. 2026年3月5日閲覧。
- ^ “一般社団法人アフリカンアート支援機構 | ティンガティンガについて”. 一般社団法人アフリカンアート支援機構. 2023年12月8日閲覧。
- ^ “Tama Art University Museum Kenji Shiraishi Africa Collection - The World of Tinga Tinga Art (Tama Art University Museum)” (英語). Tokyo Art Beat. 2026年3月5日閲覧。