チオアニソール

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チオアニソール
識別情報
CAS登録番号 100-68-5
PubChem 7520
ChemSpider 7239
特性
化学式 C7H8S
モル質量 124.2 g mol−1
外観 無色液体
密度 1.0533 g/cm3
融点

−15 °C

沸点

193 °C

特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

チオアニソール (Thioanisole) は、化学式CH3SC6H5で表される有機化合物である。無色の液体で有機溶媒に溶ける。最も簡単なアルキルアリールチオエーテルである。化合物名は、本化合物がエーテル(つまり普通のアニソール)でなく、その硫黄アナログ(酸素原子を硫黄原子に置き換えたもの)のチオエーテルであることを示している。

チオアニソールは、チオフェノールメチル化によって生成される。

反応[編集]

アルキルリチウム試薬は、チオアニソールのメチル基の水素原子を引き抜いて(脱プロトン化)強い求核試薬である C6H5SCH2Li を生成する。それによってより複雑な鎖や構造を形成することができる。得られたホモログ化チオエーテルは、さまざまな方法で取り扱うことができる[2]

単一の酸素原子の付加による硫黄の酸化により、メチルフェニルスルホキシド英語版が得られる[3] ジメチルジオキシランなどの酸化剤滴定に有用な反応である[4]。その後、酸化が続くとスルホンになる。

脚注[編集]

  1. ^ Nomenclature of Organic Chemistry : IUPAC Recommendations and Preferred Names 2013 (Blue Book). Cambridge: The Royal Society of Chemistry. (2014). p. 707. doi:10.1039/9781849733069-00648. ISBN 978-0-85404-182-4 
  2. ^ Bailey, Simon "Thioanisole" e-EROS Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis, 2001, John Wiley & Sons. doi:10.1002/047084289X.rt093
  3. ^ Johnson, Carl R.; Keiser, Jeffrey E. (1966). “Methyl Phenyl Sulfoxide”. Org. Syntheses 46: 78. doi:10.15227/orgsyn.046.0078. 
  4. ^ Adam, Waldemar; Chan, Yuk Yee; Cremer, Dieter; Gauss, Juergen; Scheutzow, Dieter; Schindler, Michael (1987). “Spectral and chemical properties of dimethyldioxirane as determined by experiment and ab initio calculations”. J. Org. Chem. 52 (13): 2800–2803. doi:10.1021/jo00389a029.