タークーラ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

タークーラ英語: Tarcoola)は、オーストラリア南オーストラリア州にある集落オーストラリア大陸横断鉄道英語版と、大陸縦断鉄道に当たるアデレード=ダーウィン鉄道英語版が分岐する場所として知られる。この2つの路線は、タークーラでtriangular junctionで接続されている。タークーラ駅における列車の乗り換え需要は見られるものの、ほとんど住人はいない。しかし、かつては金鉱の町として賑わっていた。

地理[編集]

オーストラリアの主要鉄道路線[1]

オーストラリアの南岸に近いナラボー平原と、大鑽井盆地との間、南緯30度41分41秒 東経134度33分22秒 / 南緯30.694859度 東経134.55616度 / -30.694859; 134.55616座標: 南緯30度41分41秒 東経134度33分22秒 / 南緯30.694859度 東経134.55616度 / -30.694859; 134.55616に、タークーラは位置する[2]。この場所は、南オーストラリア州に属する[3][4]

なお、オーストラリア東海岸のシドニーと西海岸のパースを結ぶインディアンパシフィックと、オーストラリア南海岸のアデレードと北海岸のダーウィンを結ぶアデレード=ダーウィン鉄道英語版は、ポート・オーガスタとタークーラとの間の約413 kmの区間で、路線を完全に共有している[注釈 1]。このうち北側の分岐点に当たる場所が、タークーラである。このような鉄道交通の要衝で、列車の乗り換えも行われる場所ながら、タークーラ自体は小集落であり、2006年に実施されたオーストラリアの国勢調査では、タークーラの居住者は、38人であった[5]

気候[編集]

タークーラ付近は乾燥した気候で、気温も高い傾向にある。特に夏は暑く乾燥し、2019年1月24日の最高気温は49.1 ℃を記録した[6]。なお、乾燥した気候だとは言え、全く降雨が無いわけではなく、1年中パラパラと降雨が見られ[注釈 2]、2019年は合計で181.0 mmの降水量が観測された[6]

通信[編集]

タークーラの郵便物は、一般に鉄道を利用して輸送する。なお、2016年現在、タークーラの郵便番号は、5710である[7]

歴史[編集]

19世紀終盤にタークーラ付近では金(Au)が発見され、その金鉱は1893年には「Tarcoola Goldfield」と命名された。この金鉱のため、遅くとも1900年までには集落が形成され、1900年8月18日に郵便局も設置された[8]。なお、正式に「タークーラの町」として成立したのは、1901年2月21日であった[9][10]。つまり、鉱山の集落として誕生した町であり、タークーラの金鉱としての最盛期は20世紀の初頭であった。金鉱としての最盛期だった時期に当たる1915年には、オーストラリア大陸横断鉄道がタークーラまで延伸してきた。なお、タークーラでは1901年から1954年までに、約2.4トンの金が採掘された[11]。しかし、この当初の金鉱は閉山し、過去の遺物になった[12]。一方で、近くに新たにChallenger Mineが開山した[13]

名称[編集]

ここの地名は、1893年に競馬のメルボルンカップの優勝馬であった「Tarcoola」の名に由来する。競走馬のTarcoolaは、オーストラリア南東部のニューサウスウェールズ州のタークーラ牧場「Tarcoola Station[注釈 3]」で育成された。このタークーラ牧場の付近にはDarling川が流れており、この川の付近に住んでいたアボリジニの言葉で「タークーラ」とは「川底」を意味していた。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ クリスタル・ブルック英語版からタークーラ間を共有していると見た場合には、共有区間は約530 kmである。ただ、ピーターボロ英語版からポート・オーガスタとの間には、山岳路線が別に存在する。加えてピーターバラとアデレードとの間にも山岳路線が存在する。
  2. ^ 2019年は、降雨量が最多の月で26.4 mm、最少の月で9.8 mm、中央値は13.2 mmであった。つまり、降水の見られなかった月は無い。
  3. ^ 英語のオーストラリアの方言で、stationには「牧場」という意味が有る。

出典[編集]

  1. ^ オーストラリアの中央部を北上する路線と、オーストラリアの南岸部を東西に走る路線との交点が、タークーラの位置である。
  2. ^ Search results for 'Tarcoola, LOCB' with the following datasets selected - 'Suburbs and localities', 'Government Towns', 'Local Government Areas', 'SA Government Regions', 'Gazetteer' and 'Railways'”. Location SA Map Viewer. South Australian Government. 2019年4月16日閲覧。
  3. ^ Federal electoral division of Grey” (PDF). Australian Electoral Commission. 2015年7月24日閲覧。
  4. ^ District of Giles Background Profile”. Electoral Commission SA. 2016年5月14日閲覧。
  5. ^ Census 2006 AUS、ID = SSC45026、Tarcoola (State Suburb)
  6. ^ a b Climate statistics for Tarcoola Aero”. Bureau of Meteorology (2019年4月11日). 2019年4月17日閲覧。 “at Tarcoola Airport”
  7. ^ Postcode for Tarcoola, South Australia”. postcodes-australia.com. 2016年5月19日閲覧。
  8. ^ Premier Postal History. “Post Office List”. Premier Postal Auctions. 2011年5月26日閲覧。
  9. ^ TOWN OF TARCOOLA” (PDF). The South Australian Government Gazette. Government of South Australia. p. 368 (1901年2月21日). 2019年4月16日閲覧。
  10. ^ GEOGRAPHICAL NAMES ACT 1991 Notice to Assign Names and Boundaries to Places”. The South Australian Government Gazette. Government of South Australia. p. 2671 (2004年7月29日). 2019年4月16日閲覧。 “assign the names TARCOOLA, WOOMERA, PIMBA and IRON KNOB, to those areas Out of Councils and shown numbered 1 to 4 on Rack Plan 857 (Sheet 1).”
  11. ^ J.F. Drexel, Mining in South Australia: a Pictorial History (Department of Mines & Energy, Adelaide, 1982, p. 129)
  12. ^ Tarcoola Goldfield, Government Battery and Township (designated place of archaeological significance)”. South Australian Heritage Register. Department of Environment, Water and Natural Resources. 2016年2月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年2月12日閲覧。
  13. ^ Fowler, Courtney (2017年2月4日). “Tarcoola gold mine celebrates major milestone with first haul to Challenger”. ABC Rural (ABC News (Australia)). http://www.abc.net.au/news/rural/2017-01-27/tarcoola-gold-mine-celebrates-major-milestone-with-first-haul/8218278 2018年4月4日閲覧。