タクロリムス軟膏

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タクロリムス軟膏 日本での軟膏の例

タクロリムス軟膏(タクロリムスなんこう、: Tacrolimus ointment)とは、免疫抑制剤タクロリムスを、アトピー性皮膚炎治療の外用剤に配合した軟膏である。1999年11月に藤沢薬品工業から「プロトピック軟膏」として、世界最初の製品が発売されたあと[1]後発医薬品も発売されている[2]

概要[編集]

日本皮膚科学会が定める「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」では、『現時点において、アトピー性皮膚炎の炎症を十分に鎮静しうる薬剤で、有効性と安全性が科学的に十分に検討されている薬剤は、ステロイド外用薬とタクロリムス軟膏』と記載されており[3]ステロイド外用薬とタクロリムス軟膏は、アトピー性皮膚炎治療の2本柱となっている。1999年世界に先駆けて日本で発売され、2001年アメリカ合衆国で発売、2014年の段階で世界75ヵ国で使用されている[4]

特徴[編集]

タクロリムス軟膏は、ステロイド外用薬の「strong」と同等の抗炎症作用を有す[5]。タクロリムス軟膏の分子量は800であり、正常皮膚からの吸収目安である分子量500より大きい[6]。そのため、タクロリムス軟膏はステロイド外用剤と異なり、バリア機能が破壊された皮膚のみ吸収され、正常皮膚からは吸収されない[6]。そのため、ステロイド外用剤で見られる皮膚の菲薄化の副作用がなく、ステロイド外用薬で鎮静化した皮膚にタクロリムス軟膏を用いることで、長期の再燃予防を目指すことができる[7]

タクロリムス軟膏を塗ると、初期にヒリヒリとした灼熱感が生じる[7]。これはサブスタンスPが遊離されることによる症状であり、唐辛子の成分であるカプサイシンを肌に塗っても、同様にサブスタンスPが生じる[8]。そのため、ヒリヒリ感は唐辛子を肌に塗った時と同様の感覚である。ただ、塗り続けるとサブスタンスPは枯渇するため、灼熱感は減弱する[7]

脚注[編集]

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  1. ^ “アトピー性皮膚炎治療剤「プロトピック®軟膏」の製造販売承認の承継のお知らせ” (プレスリリース), アステラス製薬, (2017年7月7日), https://www.astellas.com/jp/corporate/news/detail/post-262.html 2018年2月2日閲覧。 
  2. ^ タクロリムス軟膏0.1%「NP」”. ニプロ. 2018年2月2日閲覧。
  3. ^ アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2016年版
  4. ^ プロトピック軟膏”. マルホ. 2018年2月2日閲覧。
  5. ^ 「日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎診療ガイドライン作成委員会:日皮会誌 126(2), 121, 2016」
  6. ^ a b maruhoプロトピックポケットカード
  7. ^ a b c 臨床医薬.14(13):2405-32,(1998)
  8. ^ 東北薬科大学研究年報.42:175-83,(1995)

関連項目[編集]