藤沢薬品工業

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藤沢薬品工業株式会社(ふじさわやくひんこうぎょう、Fujisawa Pharmaceutical Co.,Ltd.)とは、かつて日本に存在した大手医薬品メーカー。通称「藤沢薬品」、「フジサワ」、「Fujisawa」。

概要[編集]

藤澤友吉が設立。大阪府大阪市中央区道修町3-4-7に本社と、東京都中央区日本橋本町にも東京本社を置いていた。主要取引銀行が三和銀行(現・三菱UFJ銀行)であるため三水会及びみどり会の会員企業であり三和グループに属していた[1][2]

1965年から晩年まで使用された「f」の字をあしらったシンボルマークは、U.G.サトーの作による[3]。アステラス製薬発足後、社章としては使われなくなったがドグマチール錠剤等旧藤沢由来の一部製品にfマークが表示されている。(一方、ガスター錠等旧山之内由来の一部製品に山之内製薬社章が表示されている。)

2004年10月1日一般用医薬品部門が、山之内製薬の一般用医薬品部門と事業統合および会社分割し、「ゼファーマ」が発足した。同社は後に第一三共に売却され、第一三共ヘルスケアとの合併で消滅している。

2005年4月1日に山之内製薬と合併し、医療用医薬品および新薬研究開発部門を担当する会社として「アステラス製薬」が発足した。

なお「藤沢」は創業者の名前が由来であり、神奈川県藤沢市とは無関係である。

事業内容[編集]

抗生物質を軸に循環器消化器等様々な分野の薬剤を製造・販売していた。抗生物質ではサワシリンとセフスパンとセフゾン、循環器ではシベノールとニバジール、消化器ではトランコロンやプリンペランガナトン北陸製薬(現在のアボットジャパン)が製造)やコロネル解熱鎮痛剤のソランタール、向精神薬ではドグマチールやオーラップやロドピンビタミン剤ではノイビタ(一般用医薬品として展開していた)やノイロビタンなど中枢神経ではグラマリールやトリモールが主力商品だった。

食品添加物等の化成品事業も展開していたが、2000年扶桑化学工業に化成品事業および米国子会社の全株式を譲渡した。

海外メーカーとの提携も盛んで、スミスクライン&フレンチ社(現在のグラクソ・スミスクライン)との合弁であるスミスクライン藤沢やアストラ(現在のアストラゼネカ)との合弁である藤沢アストラなどのグループ企業を擁していた。

免疫抑制剤タクロリムス(FK506)が国際戦略製品(藤沢の研究陣により茨城県筑波山土壌細菌から発見されたエピソードは有名)。アトピー治療薬としてプロトピック軟膏も発されている。

同社では「パイプマン」(パイプ洗浄剤)や「油っ固」(廃食用油凝固処理剤)、「ピコレット」シリーズ(便所用芳香剤)といった家庭用品を出していたが1985年9月に同事業から撤退、ライオンに事業譲渡した。

この他「気配館」(きくばりかん)というブランドで清涼飲料水事業も手掛けていたが、リストラのため撤退し、日本コカ・コーラへ売却した。気配館は栄養成分表示が前面に記載されているのが特徴だった。

創業から間もない1897年1月に発売された防虫剤の「藤澤樟脳」は、ゼファーマに引き継がれ、現在は第一三共ヘルスケアから販売されている。

沿革[編集]

事件[編集]

1983年、同社社員が新薬スパイ事件を起こし逮捕された。

スポンサー提供番組[編集]

※いずれも、テレビ番組。

在阪テレビ局在京テレビ局でもよく提供されていて、提供クレジットは「フジサワ」が多かった。

学術・広報映画作品[編集]

藤沢薬品が企画した学術・広報映画作品のうち、以下に列挙する作品については、現在、『科学映像館』に於いて無料公開されている《一部、他社との共同企画作品も存在する》。

『アレルギー』
1970年、ヨネ・プロダクション[4]。カラー・24分。パドヴァ大学国際科学教育映画祭ブロンズ牛頭賞(1971年)。日本医師会推薦。
体内に侵入した異物に反応する細胞免疫および液性免疫の働きを見ると共に、この免疫反応が時に生体を障害するアレルギーに転ずる機序について検証。進藤宙二・東京大学名誉教授および大島良雄・東京大学医学部教授の監修、日本アレルギー協会の後援の下で製作。解説役(ナレーター)は城達也
『脳と潰瘍』
1971年、ヨネ・プロダクション。カラー・22分。ベルリン医学映画祭グランプリ・ゴールドメダル(1973年)ほか。文部省選定、日本医師会および優秀映画鑑賞会推薦。増田正典(京都府立医科大学)監修。解説役(ナレーター)は城達也。
『セファメジン』
1971年、ヨネ・プロダクション。カラー・20分。
1945年にイタリアで発見された「セファロスポリウム」と称するカビから抗生物質をつくり出す為の研究を1960年に日本で初めて藤沢薬品に於いて着手、製作前年(1970年)に日本初のセファロスポリン系抗生物質「セファメジン」を生み出すに至るまでのプロセスを紹介。当該映画作品の開始から約2分25秒後のところで登場する「フジサワ薬品 富士工場」に於いて抗生物質「セファメジン」が開発された《「フジサワ薬品 富士工場」は、その後「静岡フジサワ」、「アステラス静岡」、「アステラス・ファーマ・テック富士工場」等を経て、2017年10月1日より「日医工 静岡工場」として存在する[5][6][7][8][9][10][11]》。
『感染』
1972年、ヨネ・プロダクション。カラー・19分。
黄色ブドウ球菌を例にとって感染による体内の反応などを観察すると共に、抗生物質・セファロスポリンの同菌への作用の観察も行っている。上田泰(東京慈恵会医科大学)監修。一柳慧が音楽を手がけ、城達也が解説役(ナレーター)を務めている。
『免疫を探る』
1979年、ヨネ・プロダクション。カラー・30分。
免疫の機構に焦点を当てて製作。当該作品では、細胞性免疫の中でリンパ球の果たしている役割を顕微鏡撮影によって追究したり、また「細胞融合」によってリンパ球の機能を拡大した新しいリンパ球と呼ぶべき細胞が誕生しつつある姿を観察したりしている。
『命と血管』
1981年、ヨネ・プロダクション。カラー・27分。
血管を形作る内皮細胞と平骨筋細胞[12]は、内外からの刺激に反応して血管の流れを調節する一方、リポ・タンパクの粒子LDL(コレステロール)を取り込む。この粒子は血管を支えるのに必要な因子である一方で、血管を傷める原因にもなるといわれる。当該作品では、ストレスなどの刺激に反応する血管の様子と、LDLと血管の関わりについて観察を試みている。
『THE BONE』
1982年、ヨネ・プロダクション。カラー・17分。帝人医薬(現・帝人ファーマ)[13]との共同企画。
骨の形成と破壊を繰り返す代謝の有様を観察。折茂肇(東京大学医学部)他3名の監修。一柳慧が音楽を手がけ、小林恭治がナレーターを務めた。
『THE BONE II』
1986年、ヨネ・プロダクション。カラー・21分。帝人医薬(現・帝人ファーマ)[13]との共同企画。第4回メディキナーレ国際医学科学映画祭秀作賞・優秀撮影賞ほか。
前出『THE BONE』が骨自体の様子を観察することが主眼だったのに対し、当該作品では生体内に於ける骨の役割についてより広く示されている[14]。折茂肇(東京大学医学部)他1名の監修、前出『THE BONE』と同じく、一柳慧が音楽を手がけ、小林恭治がナレーターを務めている。
なお、当該作品には色合い調整を経てHD化されたバージョンが別に存在する《内容は同一》。
『潰瘍の成因と治療-シメチジンの役割-』
1983年、ヨネ・プロダクション。カラー・25分。スミスクライン(現/グラクソ・スミスクライン)[15]との共同企画。日本医師会推薦。
胃酸分泌を抑える働きをするシメチジンの、その様子を具体的に観察。長尾房大(東京慈恵会医科大学)他2名の監修。『鉄腕アトム』で使用された効果音を手がけたこと等で知られる音響デザイナーの大野松雄が音楽を担い、小林恭治がナレーターを務めた。
『動脈硬化~カルシウムとのかかわり』
1989年、ヨネ・プロダクション。カラー・17分。
動脈硬化の病巣のもととなる平滑筋細胞の素性とカルシウムイオンの関係について観察。折茂肇(東京大学医学部)監修。城達也がナレーターを務めた。
なお、当該作品には英語版(題名『Calcium and Arterial Wall』)が存在する。

脚注[編集]

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  1. ^ 六大企業集団の無機能化 (PDF) - 同志社大学学術情報検索システム内のページ。筆者は経済学者田中彰
  2. ^ 2000年5月10日現在のみどり会のメンバー会社一覧
  3. ^ 藤沢薬品工業のシンボルマーク - U.G.サトーの公式サイト内の該当ページ。
  4. ^ ヨネ・プロダクションについて”. ヨネ・プロダクション. 2018年6月17日閲覧。
  5. ^ “藤沢薬品工業 工場・治験業務を分社化 従業員は転籍”. ミクスOnline. (2002年9月3日). https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/27071/Default.aspx 2018年6月17日閲覧。 
  6. ^ “藤沢薬が生産部門を分社化/早期退職200人を募集”. 四国新聞. (2002年9月3日). http://www.shikoku-np.co.jp/national/economy/20020903000711 2018年6月17日閲覧。 
  7. ^ “「富山フジサワ株式会社」及び「静岡フジサワ株式会社」設立のお知らせ” (PDF) (プレスリリース), 藤沢薬品工業(現・アステラス製薬), (2003年10月1日), https://www.astellas.com/jp/corporate/news/fujisawa/pdf/031001.pdf 2018年6月17日閲覧。 
  8. ^ “アステラス、富士工場売却を発表 新薬開発に経営資源集中”. 日本経済新聞. (2013年9月27日). https://www.nikkei.com/article/DGXNASDD270IU_X20C13A9TJ2000/ 2018年6月17日閲覧。 
  9. ^ “【アステラス製薬】富士工場を日医工に譲渡‐製造体制の効率化が狙い”. 薬事日報. (2013年10月1日). https://www.yakuji.co.jp/entry33019.html 2018年6月17日閲覧。 
  10. ^ “日医工、アステラスの富士工場取得で最終合意”. Logistics Today. (2013年12月16日). https://www.logi-today.com/82965 2018年6月17日閲覧。 
  11. ^ “日医工、子会社の日医工ファーマテック吸収合併”. Logistics Today. (2017年5月12日). https://www.logi-today.com/288177 2018年6月17日閲覧。 
  12. ^ 佐田政隆(東京大学大学院医学系研究科器官病態内科学・助手). “基礎研究最前線Vol.3『「動脈硬化」の原因、定説を覆す全く新しい治療法の開発が可能に』”. 戦略的創造研究推進事業. 科学技術振興機構. 2018年6月17日閲覧。
  13. ^ a b 企業情報~歴史”. 帝人ファーマ. 2018年6月17日閲覧。
  14. ^ 科学映画の制作~世界で初めて骨が生きている映像を捉えた人”. 科学映像館. 科学映像館を支える会. 2018年6月17日閲覧。
  15. ^ グラクソ・スミスクライン”. コトバンク. 朝日新聞社. 2018年6月17日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]