ソーシャルレンディング

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ソーシャルレンディング(Peer-to-peer lending、Social Lending)とは『ネット上でお金を借りたい人、企業』(ボロワー)と『ネット上でお金を貸したい人、企業』(レンダー)を様々な方法で結びつける融資仲介サービスである。日本でサービスが始まった当初はソーシャルレンディングというサービス名が一般的であったが、クラウドファンディングという言葉が日本で広まるにつれ、その一分野である投資型クラウドファンディングという呼び名も使われるようになっている。

概要[編集]

個人と個人がネット上で小口の融資を行えるソーシャルレンディングの原型ともいえるサービスは2005年にイギリスのZOPAが開始した。その後米国でも同様のサービスを提供するProsper(2006) 、Lending Club(2007)が誕生し順調に事業を拡大させている。 上記のサービスは大きくマーケット型とオークション型に分けられ、ZOPAがマーケット型、Prosper、Lending Clubgaがオークション型である。国内でもmaneo(2008)がオークション型、AQUSH(2009)、SBIソーシャルレンディング(2011)がマーケット型としてサービスを開始したが、法整備や文化の問題から個人間の融資を行うサービスはいずれも撤退、休止状態を強いられている。その代わりに国内では個人、企業から集めた資金を企業(事業者)に融資して、返済の際の元利、もしくは配当を資金提供者に配分するサービスが一般的になりつつある。これら日本独特とも言えるサービスは貸付型・ファンド型とも言われている。長く上記3社のみによるサービスが続いてきたが、国内でクラウドファンディングの機運が高まるのに連れて2013年にはクラウドバンク、2014年にはクラウドクレジットラッキーバンクが参入して市場に活気が出てきている。2015年には7月にはmaneoがそのシステムを他社に提供する形で、新たにサービスの立ち上げが予定されている。 日本では貸金業法2条1項により、金銭の貸借の媒介で業として行うものに該当し、貸金業としての登録が必要となる。また、知らない人同士の融資仲介形式となる場合、匿名組合出資契約を募集するための金融商品取引業の登録も必要になる[1]

マーケット型[編集]

サービスの運営会社が審査をし、借り手個人の格付けを行うが、貸し手個人がどの格付けにいくら、どのくらいの金利で貸付けを行うかを決定する。格付けを得るために、融資希望者は借りたい額と必要な個人情報を運営会社へ送信することが求められ、運営会社は送られてきた個人情報と信用情報機関への問い合わせによって格付けを決定する。貸す側は希望するリスクリターンに見合った格付けと金利、融資額を自分で決め、貸付けを行う。運営会社はこのように出資された金額を束ね、貸付け希望条件にあった借入をマッチングさせる。

この形式がマーケット型と呼ばれるのは、貸し手のリスク許容度や希望利回りに応じて金利がタイムリーに変動し、あたかも株式市場のような動きをするからである。もちろん、資金需要者として借り手が貸し手の金利設定に影響するので、金利がマーケットシステムによって公正に決定される仕組みになっている。

オークション型[編集]

融資を希望する側は借り入れの目的や信用度をコミュニティ内にアピールし,貸し手側はそれらを判断材料として投資・融資先を決定する。

利率オークション形式、すなわち貸し手側による入札(ビッディング)で決まり、通常、一番安い利率でビッドした貸し手(一人とは限らない)が貸し付けの権利を得ることができる。貸し手は、借り手の借り入れの目的・信用度・バックグラウンド等を考慮して利率を入札するが、その際、名前、住所等の個人情報は一切公開されない。金融市場の相場や一般利率に左右されないので、優良な借り手であれば低金利で資金調達が可能である一方、高利率のビッドが確定し、貸し手が高い利息を受け取れる可能性もある。この他にも家族間・友人間での貸借を行う場としても活用されている。

貸付型・ファンド型[編集]

サービスの運営会社が借り手の企業を審査をし金利、金額、期間等を決定する。貸し手はその条件を見てその案件にいくら出資をするかを決定する。融資希望者は借りたい額と必要な企業情報、事業計画を運営会社へ開示することが求められ、また場合によっては保証人を立てること、担保の提出を行う。運営会社は上記情報をもとに厳しく審査した上でファンドの形で貸し手に案件を提出する。日本の文化、実態に合わせて生まれたソーシャルレンディングの新しい型といえる。なお国内事業者に貸金業法に基づき融資してその利息を収益とする形式を貸付型、同法に基づかず国内・海外の事業者などに融資してその配当を収益とする形式をファンド型と呼ぶ分け方が提唱されているが、一般に根付いているとは言いがたい。

市場規模[編集]

2005年頃から同様のサービスが始まっている欧米ではソーシャルレンディングは拡大傾向にあり、金融業界でその地歩を固めつつある。ソーシャルレンディングの総融資残高は、2005年1億1800万ドル、2006年2億6900万ドル、2007年には6億4700万ドルにものぼり、2010年においては総額58億ドル規模になると予想されている[要出典]。 また「2015CF Crowdfunding Industry Report」においてはクラウドファンディングのうち貸付型と株式型は以下の数値が報告されている。

2012年 貸付型 11億9000万ドル、株式型 1億1800万ドル 2013年 貸付型 34億4000万ドル、株式型 3億9500万ドル 2014年 貸付型 110億8000万ドル、株式型 11億1000万ドル

リスク管理と可能性[編集]

個人間ではあっても金銭の貸し借りである以上、貸し倒れのリスクがある。返済の遅延や回収不能等のトラブルが生じた場合、運営会社が督促・回収、保険等の法的手続きを行う。運営会社の審査や格付けと行った仕組みの精度が高さにより、延滞などの取引に係るリスクが軽減される。

ソーシャルレンディングは、従来の物流革命と同様にウェブを使って金融流通を効率化し、商品の提供者と受益者を直接結びつけてコストメリットを生み出す考え方を採用している[2]。個人融資のハードルの高い銀行と、借り入れしやすくとも高金利でネガティブなイメージがある消費者金融の、それぞれの利点を併せ持ち、従来の銀行消費者金融の中間に位置するものとして、新しい金融ビジネスの可能性を秘めている。

ただ、諸外国のソーシャルレンディングのビジネスモデルをそのまま日本に持ち込むのは、法的な面から難しいとの指摘もある[1]

脚注[編集]

  1. ^ a b maneo妹尾氏が明かす「国産ソーシャルレンディングサービスmaneo」ができるまでCNET Japan、2008年9月5日
  2. ^ AQUSH(握手)はソーシャルの力を使って日本の個人ローン市場に新しい選択肢を与える TechCrunch Japan 2010年1月26日

外部リンク[編集]

ブログ等[編集]