セスは語る

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セスは語る』(セスはかたる、原題、Seth Speaks: The Eternal Validity of the Soul)は、作家ジェーン・ロバーツ英語版の著作[1]で、チャネリングによるものとされる。夫であるロバート・F・バッツが速記による口述筆記をしている。

概要[編集]

本書は、ジェーン・ロバーツがトランス状態のときに、「セス」と呼ばれる「人格を有するエネルギー存在」によって書かれたものであるとされる[2]。 それは1970年1月19日に行われた「セッション510」から 1971年9月27日の「セッション596」までの記録が基になっている[3]

ジェーン・ロバーツは本書の「はじめに」の中でこのように述べている。

1963年の暮れから、夫のロブ(ロバートの愛称)と私はウィジャボード(西洋の占い板で、コックリ板のようなもの)を使った実験を始めました。そのセッションを二度三度と繰り返すうちに、ウィジャボードの指針は意味のある内容を綴るようになったのです。そしてそれらは、「セス」と名乗る人格存在から送られていると告げるのでした。ロブも私も、超能力霊能力の類いとはそれまで縁がなかったので、ウィジャボードが何らかの反応を示すようになってからも、そうした答えはすべて自分の潜在意識からやってくるものと私は考えていました。しかし、ほどなく私はまるで何かに駆り立てられるように、声を大にしてものを言わなくてはと感じるようになりました。それからひと月もたたないうちに、私は自分をトランス状態にして、セスに代わって話をするようになっていたのです。 — ジェーン・ロバーツ、『セスは語る: 魂が永遠であるということ』紫上はとる訳、ナチュラルスピリット、1999年、8頁
セスが強く言わんとしているのは、「真実」は、師から師へ、あるいは宗教から宗教へ、宗派から宗派へ、さらには戒律から戒律へと渡り歩くことで得られるものではなく、自己の内なる部分を見据えることによってはじめて得られるということです。よって、意識に関する深遠なる教えや「宇宙の謎と真実」は、一般の人々から遠ざけておくべき秘儀などではないのです。こうした情報は人類にとって空気と同じくらい自然で、内なる自己の根源を見出さんと真摯に欲する人々が当然手にすることのできるものなのです — ジェーン・ロバーツ、セスは語る: 魂が永遠であるということ』紫上はとる訳、ナチュラルスピリット、1999年、22頁

本書の第2章〈 わたしを取り巻く環境、仕事、活動 〉の中で、セスはこう述べている。

いま、わたしを取り巻くこうした環境は、あなたがたがを迎えた直後に体験する環境とは別のものです。どうもこのような話は、つい面白おかしく語りたい衝動にかられてしまうのですが、あなたがたがこの特定の存在レベルに至るには、何度も何度も、これでもかというほどまでに繰り返し死ななければならないのです。(衝撃が莫大なのは、死の瞬間より、むしろ誕生の瞬間のほうで、前者の場合は死んだ本人がそれに気づかないことさえあります。一方、誕生は、必ずといってよいくらい鮮烈な突然の自覚を伴って起こります。ですから、あなたがたは死を恐れる必要などまったくないのです。数え上げればきりがないほど幾多の死をくぐりぬけてきたわたしが本書をしたためているのは、まさにそのことをあなたがたにお話したかったからです。 — セス、『セスは語る: 魂が永遠であるということ』紫上はとる訳、ナチュラルスピリット、1999年、61頁

また、意識と創造についてセスはこう語っている。

最初にあなたがたが理解すべきことは、客観的現実のなかに、意識によって創造されなかったものは存在しないということです。「形」は 常に意識によって作り出されるのであって、その逆は成り立ちません。したがって、わたしのいま在る環境とは、わたしや、わたしのような存在たちが創り出した実在する現実であり、わたしたちの進化レベルが顕現化したものでもあるのです。 — セス、『セスは語る: 魂が永遠であるということ』紫上はとる訳、ナチュラルスピリット、1999年、61頁

本書の第9章〈「死の体験」〉の中で、セスは次のように述べている。

あなたがたは後に残してきた直前の人生の骨組みを検証することで、生前の体験が自分のどんな思念や感情の結果であったのか、あるいはそれらがどのように他者に影響を及ぼしていたのかを理解するべく学んでいきます。この学びが完全に終了するまでは、みずからのより壮大な存在に気づくことはありません。あなたがたが後にしてきたばかりの転生の意義や目的に気づいてはじめて、それ以外の自己の存在についての知識を意識的に取り入れる準備ができるのです。そしてあなたがたは、拡大した気づきに通じることになります。自分が一体何者であるのかということに、他の転生での存在も統合されます。そこからもし再び肉体的存在を希望するのであれば、次はどのような存在を選ぶかという計画に着手します。あるいはそうする代わりに、別の現実レベルに入っていくこともできます。そしてその後で、再び肉体的な存在に戻ってくることも可能です。すべてはあなたの選択次第です。 — セス、『セスは語る: 魂が永遠であるということ』紫上はとる訳、ナチュラルスピリット、1999年、241頁

また、本書の第12章〈「輪廻する人間関係」〉の中で、セスは次のように語っている。

あなたがたが愛、健康、そして「ただ在ること」の感覚を拡張すれば、今世においても他の転生においても、そうした資質をみずからに引き寄せることになります。繰り返しますが、それは「あなたが意識の焦点を合わせるものが、あなたの体験するもの」だからです。戦争を憎む世代によって、平和がもたらされることはありません。平和を愛する世代によって、平和はもたらされるのです。憎しみの対象が主義主張であれ、特定の人物であれ、憎しみを抱いたまま死ぬということは、それが如何なる理由からであっても残念なことです。あなたがたがより有益な形でみずからの体験を創り上げ、そして世界を変えていく機会はすべて、現在のあなた自身のなかに開かれているのです。次回の転生では、現在の姿勢やものの感じ方を踏襲した人生を歩むことになります。それでも、現時点であくまでも憎しみを抱き続けることを譲らなければ、まず間違いなく別の転生でもそうすることでしょう。しかしその一方で、あなたがこれまでに獲得してきた真実の閃き、直感、愛、喜び、創造性、そして達成感といったものもまた、その転生において存続します。すでにおわかりのように、真実の閃き、直感、愛、喜び、創造性、そして達成感といったものこそが、唯一まことの現実であり、唯一まことの存在の「拠り所」なのです。 — セス、『セスは語る: 魂が永遠であるということ』紫上はとる訳、ナチュラルスピリット、1999年、328‐329頁

著者[編集]

  • ジェーン・ロバーツJane Roberts, 1929-1984)、ロバート・F・バッツ(記録)

著作[編集]

  • Seth Speaks: The Eternal Validity of the Soul (1972)

日本語訳[編集]

  • 『セスは語る: 魂が永遠であるということ』紫上はとる訳、ナチュラルスピリット、1999年6月、ISBN 978-4-931449-03-9

脚注[編集]

  1. ^ “The Seth Material”は1970年にプレンティスホール社より発行。“Seth Speaks”は1972年にプレンティスホール社より、また1994年にアンバーアレン出版のニューワールドライブラリーにより発行。『個人的現実の本質: セス・ブック』ナチュラルスピリット編集部/編訳、ナチュラルスピリット、2012年、17頁 注釈
  2. ^ 『セスは語る: 魂が永遠であるということ』紫上はとる訳、ナチュラルスピリット、1999年、7頁
  3. ^ ジェーン・ロバーツの序文の中に含まれた「セッション510」と本編の後に付けられた「補遺」を含まない純粋な意味での本編は、1970年1月21日の「セッション511」から1971年8月11日の「セッション591」までの全22章となっている。

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]