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スフェンとマジック

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
スフェンとマジック
生物ジェンツーペンギン
性別ともにオス
死没スフェン:2024年8月
国籍オーストラリアの旗 オーストラリア
著名な要素同性カップル
ララ
クランシー
(ともに養子)

スフェンマジック(英:Sphen, Magic)は、シドニー水族館英語版で飼育されていたジェンツーペンギンのオス同士のつがいである。2018年に出会ってからこの2羽は2羽のひなを育てた。また、このつがいはオーストラリアゲイの権利運動の象徴となった[1]。スフェンは2024年に11歳で亡くなった。

スフェンはスフェーンとも表記される[2]

経歴

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スフェンはシーワールド英語版で生まれ、マジックはその3年後にメルボルン水族館英語版で生まれた[3]。2羽は2018年にシドニー水族館で初めて出会い[3][4]、ペンギンの群れの一員になった[3]。2羽は互いにお辞儀をしたり、小石を持ってきて受け取ったり、歌ったりして求愛した[3]。交尾期には2羽が巣を作っていた[3]

同水族館の飼育員は2羽にひなを育てさせることを決め、上層部もそれを認めた[3]。まず2羽にダミーの卵を与えると、2羽はうまく世話をした[3]。それを受けて、男女のつがいが自分たちの卵を放置したとき、スフェンとマジックにその卵を与えた[3]。同年の10月に卵は孵った[3]。重さは91グラム(3.2オンス)で、その群れ全体で唯一孵化した卵となった[3]。ひなはスフェンジック[5](もしくはスフェーンジック[6]、英:Baby Sphengic)と名付けられ、2019年の1月にはメスであることが明かされるとともにララ[7](英:Lara)と改めて命名された[8][9]

2019年11月、2羽目のひなの世話をスフェンとマジックがしていることが発表された[10]。別の男女のつがいが2つの卵を同時に孵すのを苦労しているのを同水族館のスタッフが見つけたためである[10]。このひなはクランシー[7](英:Clancy)と名付けられた[9]

2024年8月22日、スフェンが11歳で亡くなったことが公表された[4]。亡くなったスフェンをマジックのもとに持っていくとマジックは歌いだし、群れのペンギンたちもそれに応じた[9][11]

反響

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スフェンとマジックが出会った前年である2017年、オーストラリアにおいて同性結婚が合法化された[12]。2羽はこれの大きなシンボルとなり[3]、「パワー・カップル」と呼ばれていた[13]。シドニー水族館は歌ったり小石の巣を作る様子などの2羽の様子を映したビデオを公開していた。これに対する反応は様々で、2羽に「ゲイ」という言葉を使うべきではなく「ただの友達」である、「不自然」な関係であると論じるコメントもあった[3]保守的な人々からは2羽のペンギンが政治利用されているという主張もあった[14]

2羽はゲイ・アンド・レズビアン・マルディ・グラパレードのフロートに着想を与え、Netflixのコメディドラマ『ユニークライフ』にも登場した[4][15]。またオーストラリアの教育カリキュラムでも言及された[4]。同水族館の館長リチャード・ディリーは2羽のペンギンの名声のおかげで、生物保護、プラスチック汚染地球温暖化、募金活動を通じた野生のペンギンの保護についてのメッセージを共有することができたと述べた[14]

脚注

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  1. ^ Bowles, Nellie (24 January 2019). “The story of Australia's famous gay penguin couple” (英語). The Independent. 22 August 2024閲覧。
  2. ^ オス同士のペンギン夫婦、いまも円満 豪水族館で2個目の卵からひな」世界の雑記帳、『毎日新聞』2019年11月8日。2024年8月27日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i j k l Bowles, Nellie (15 January 2019). “The Gay Penguins of Australia” (英語). The New York Times. ISSN 0362-4331. https://www.nytimes.com/2019/01/15/style/gay-penguins-australia.html 22 August 2024閲覧。 
  4. ^ a b c d One half of world-famous gay penguin couple dies” (英語). BBC News (22 August 2024). 22 August 2024閲覧。
  5. ^ “ペンギンの同性カップルが育てるひな、雌と判明 豪水族館”. CNN.co.jp. (2019年1月21日). https://www.cnn.co.jp/fringe/35131528.html 2024年8月27日閲覧。 
  6. ^ “ジェンツーペンギンの同性カップル「スフェーンジック」が誕生、どのカップルよりもアツアツで卵を温める”. Gigazine. (2018年10月19日). https://gigazine.net/news/20181019-same-sex-penguin-couple/ 2024年8月27日閲覧。 
  7. ^ a b Golgowski, Nina「世界で愛されたペンギンのゲイカップル、1羽が死ぬ。6年間のラブストーリーは、最後も感動的だった」『ハフポスト日本版』2024年8月24日。2024年8月27日閲覧。
  8. ^ Gender of penguin raised by same-sex parents revealed” (英語). CNN (20 January 2019). 22 August 2024閲覧。
  9. ^ a b c Press (21 August 2024). “When globally famous gay penguin Sphen died in Sydney, his partner began to sing” (英語). The Guardian. ISSN 0261-3077. https://www.theguardian.com/australia-news/article/2024/aug/22/when-globally-famous-gay-penguin-sphen-died-in-sydney-his-partner-began-to-sing 22 August 2024閲覧。 
  10. ^ a b Sopelsa, Brooke (6 November 2019). “Gay penguin 'power couple' fostering second egg at Sydney aquarium” (英語). NBC News. 22 August 2024閲覧。
  11. ^ “有名なペンギンの同性カップル、片割れが死ぬ シドニー”. CNN.co.jp. (2024年8月23日). https://www.cnn.co.jp/fringe/35223085.html 2024年8月27日閲覧。 
  12. ^ Karp, Paul (7 December 2017). “Marriage equality law passes Australia's parliament in landslide vote” (英語). The Guardian. ISSN 0261-3077. https://www.theguardian.com/australia-news/2017/dec/07/marriage-equality-law-passes-australias-parliament-in-landslide-vote 22 August 2024閲覧。 
  13. ^ Hanson, Hilary「ゲイカップルのペンギン 盗んだ卵を大切にする姿に応援の声が上がる」『ハフポスト日本版』2019年11月19日。2024年8月26日閲覧。
  14. ^ a b Gay penguin Sphen dies in Australian aquarium” (英語). Deutsche Welle (22 August 2024). 22 August 2024閲覧。
  15. ^ Jackson, Lewis (22 August 2024). “Gay penguin Sphen dies in Sydney, leaving behind partner Magic”. Reuters. https://www.reuters.com/lifestyle/gay-penguin-sphen-dies-sydney-leaving-behind-partner-magic-2024-08-22/ 22 August 2024閲覧。 

関連項目

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外部リンク

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