ジョン・ダンスタブル

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ジョン・ダンスタブル(John Dunstable またはDunstaple, 1390年ごろ - 1453年12月24日)は、中世からルネサンス期に活躍したイングランドの作曲家である。その生涯についてはほとんどわかっていない。中世西洋音楽からルネサンス音楽の移行期に重要な役割をした。

イングランドのベッドフォードシャー州ダンスタブル(Dunstable)で生まれたといわれている。音楽家の他に、外交官、天文学者であったといわれる。ノルマンディー知事であるベッドフォード公爵ジョンに仕えた。百年戦争の休戦時にフランスに滞在し、イングランド独自の3度・6度を用いた和声法フォーブルドンをヨーロッパ大陸に伝えるとともに、逆に大陸の音楽をイングランドに伝えた。ダンスタブルによって大陸に伝わった新しい和声法は、大陸の音楽に取り入れられることでポリフォニーに発展し、ルネサンス音楽開始のきっかけとなった。

死去した1453年は、コンスタンティノープルが陥落し、中世の終わりであるといわれ、その年のクリスマスイブに他界したことは象徴的である。

ルネサンス音楽は、ダンスタブルの影響をうけたデュファイによりブルゴーニュ楽派へと発展していく。

ダンスタブルはミサ曲モテットを多く書いたが、その大部分は大陸側で発見されている。モテットとしては「Veni sancte spiritus」が有名である。当時のイギリスの作曲家としては、他にリオネル・パワー(Leonel Power)などがおり、誰が作曲したのかはっきりしていない作品も多く、ダンスタブルの作品の正確な数をあげることはできない。

主要曲[編集]

モテット[編集]

  • 来たれ聖霊(4声)
    ダンスタブルの作品中、最も頻繁に演奏されている。
  • アヴェ・レジナ・チェロルム(3声)
  • おお栄光の十字架(3声)
  • 聖なるマリアよ(3声)
  • あなたは何者にもまして美しく(4声)
  • 祝福されし御母(3声)
  • 恵み深き救い主の御母(3声)

シャンソン[編集]

  • おお、美しいばらよ(3声)
    バラータ形式。図式であらわすとAbbaAとなる。しかし、Aの部分で半終止的な終わり方をしている。そのような歌い方になると、全曲が半終止的に完結することになってしまう。それを避けるため、今日ではA、bを通し一度ずつ繰り返しして終わるのが普通である。ダンスタブルの代表的なシャンソンと言われてきたが、今日ではジョン・ベディンガム(John Bedyngham)の作品とも言われる。
  • わが愛ゆえ(3声)
  • 私は心からお願いします(2声)

なお、正確な作曲年代が伝わっている作品は皆無であり、作曲の経過や背景なども推測に過ぎない作品ばかりである。