シュプリーム (ブランド)
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業種 |
アパレル産業 ![]() |
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設立 | 1994年[1] |
創業者 |
ジェームス・ジェビア[2] (創業者 & CEO) |
本社 | 、 |
拠点数 |
11[4] |
製品 |
衣類、靴、アクセサリー、 スケートボード、帽子 |
純資産 | 1億ドル[5] (2017年) |
親会社 | VF Corporation |
ウェブサイト |
www |
シュプリーム(英語: Supreme)は、アメリカ合衆国のスケートボードショップおよびファッションブランド。ニューヨークで1994年に創業し[6]、スケートボード文化やヒップホップに影響を受けたアイテムで知られる。アメリカ国内ではブルックリン、ロサンゼルスにも店舗を展開している。
ブランドのトレードマークである赤地にFutura書体の白い文字というボックスロゴは、アメリカの現代アーティストバーバラ・クルーガーの作品からインスパイアされたものである[7]。
歴史
[編集]1994年にニューヨーク出身のイギリス人であるジェームス・ジェビア(James Jebbia)によって設立されたブランド。
1994年4月、ラファイエット・ストリートの古いオフィススペースにシュプリームの1号店がオープンした[8][9]。スケーターを意識してデザインされた店舗レイアウトは、店舗の外周に洋服を配置することで、中央に広いスペースを確保し、バックパックを持ったスケーターが店内に入っても違和感なくスケートができるようになっている[10]。この店には、1994年にチームを務めたスケーターが中心となっており[10]、その中には俳優のジャスティン・ピアースやハロルド・ハンターが含まれており、最初の従業員はラリー・クラークの映画『キッズ』のエキストラだった[1]。当初はスケーター・ブランドのセレクトショップであったが、ジェビアがデザインしたオリジナルのTシャツが人気を博すようになった。
同年、ケイト・モスをモデルに起用したカルバン・クラインのモノクロ広告にSupremeロゴステッカーを貼るプロモーションで知名度を上げた。
2004年には、カリフォルニア州ロサンゼルスのノース・フェアファックス・アベニューに2店舗目をオープンした。この店舗は、ニューヨークのオリジナル店舗の約2倍の大きさで、屋内スケートボウルを備えている[11]。その他、2016年にオープンしたパリ、2011年9月にオープンしたロンドン、東京(原宿・代官山・渋谷)、名古屋、大阪、福岡などの店舗がある[12]。ラファイエット・ストリート店のデザインを模した店舗では、回転式のアートディスプレイが特徴で、ビデオや音楽を使って注目を集めている[9][1]。
シュプリームは、自社のウェアレーベルをはじめ、Vans、Nike SB、Spitfire、Thrasher、Girl Distribution Companyなどのスケートボードブランドをストックしている[13]。ジェームス・ジェビアは、Supremeがリリースするものは「限定品」に分類されることはないと述べているが、「誰も欲しがらないものに手を出したくない」という理由で製品の小ロット生産を行っていると指摘している[10]。
2017年10月、シュプリームはニューヨークで11店舗目、ブルックリンのウィリアムズバーグ地区に2号店をオープンした[14][15]。2017年10月6日、ジェームス・ジェビアは、同レーベルがプライベート・エクイティ企業のザ・カーライル・グループに約50%(約5億ドル)の株式を売却したことを確認した[16][17]。2019年2月25日、Supremeは元のマンハッタンの場所を274 Lafayette Streetから190 Boweryに移転した[18]。
2019年10月、サンフランシスコのマーケットストリートにシュプリームは12号店をオープンした[19][20]。
2020年11月、VansやTHE NORTH FACEなどを傘下に置くアメリカのアパレル企業VFコーポレーションが、シュプリームを21億米ドル、全額現金取引で買収することで合意したと発表[21][22]、12月28日に買収を完了した[23]。
2024年7月17日、レイバンなどのブランドを持つフランスの眼鏡大手エシロール・ルックスオティカが、シュプリームをVFコーポレーションから現金15億ドルで買収すると発表した[24][25]。
商標
[編集]シュプリームは、北米、ヨーロッパ、アジアを含む多くの国で商標を取得している[26]。
商標問題として単純なコピー商品のほか、商標制度の穴を突いたいわゆる「リーガルフェイク(合法的な偽物)」の「Supreme Italia」の問題があった。Supreme Italiaは2015年11月にSupremeの商標をイタリアで出願。ブランドはイギリスの企業International Brand Firm(IBF)が管理していた[27]。以後本家のシュプリームとは無関係に「シュプリーム」のアイテムを販売。2017年に本家シュプリームの当時の親会社Chapter 4はSupreme Italiaを訴え、2017年4月にミラノの裁判所は商品の販売を差し止める判決を下す[28]。
一方、2018年に同様に訴訟となったスペインではIBFの「Supreme Spain」の商標が認められ[27]、また2018年5月には欧州連合知的財産庁が、「シュプリーム」は一般消費者にとって「最高の品質」を意味する言葉であり独自性を欠くとして本家シュプリームの商標登録を拒否した[28][29]。Supreme Italiaはイタリア、スペイン、中国などで本家「シュプリーム」とは無関係に「シュプリーム」のアイテムを販売した[30]。2018年12月にはサムスンが中国での製品発表会においてSupremeとのコラボレーションを発表したが、相手が「Supreme Italia」だったことが発覚し[31][32]、その後業務提携を解除する[33]という事態も起きた。
その後、2020年8月、シュプリームは欧州連合知的財産局から欧州連合全体の商標を取得し、欧州連合加盟27カ国すべてでの商標の独占的な権利と所有権を与えられた[34]。2020年にSupremeは中国での商標を取得した[26]。
2021年、ロンドンの裁判所はSupreme Italiaを運営するIBFにSupremeに対する損害賠償金支払いを、またIBFの経営者親子に実刑判決を言い渡したと報じられている[35]。
マーケティング
[編集]コラボレーション
[編集]他ブランドやアーティストとのコラボレーションをよく行うことで知られている。コラボレーションしたブランドはナイキ、エア・ジョーダン、コム・デ・ギャルソン、ザ・ノース・フェイス、ティンバーランド、リーバイス、ルイ・ヴィトン、ア・ベイシング・エイプ、ヒステリック・グラマー、アンダーカバーなどが挙げられる。スケートボードのアートワークを提供したアーティストとして、ハーモニー・コリン、H・R・ギーガー、デビッド・リンチ、マウリッツ・エッシャー、ラリー・クラーク、ダミアン・ハーストなどの名前が挙がっている。
海外展開
[編集]イギリスのロンドン、フランスのパリに直営店がある。日本では東京に3店舗(原宿、代官山、渋谷)、名古屋、大阪、福岡に各1店舗と計6店舗が存在している。イタリアのミラノ、ドイツのベルリン、中国の上海にも店舗がある。
オンライン
[編集]公式オンラインストアを展開している。人気アイテムのリリースの際には、リリース時刻に全世界から数億アクセスがあるといわれており、botによる決済や、手動購入による攻略法が多数行われている。
その他
[編集]前述の商標問題のほか、日本の支店にて一部の客が店側とトラブルになり、制止した警備員が暴行被害を受ける事件が発生している[36]。
出典
[編集]- ^ a b c “Charting the Rise of Supreme, From Cult Skate Shop to Fashion Superpower” (英語). Vogue 2018年5月25日閲覧。
- ^ “Supreme's Buyout Reportedly Values the Brand at $1 Billion USD”. HYPEBEAST 2018年5月25日閲覧。
- ^ Woolf, Jake (2017年10月5日). “James Jebbia Wants Shopping at Supreme to Be Easier” (英語). GQ 2018年5月25日閲覧。
- ^ “Supreme stores” (英語). www.supremenewyork.com. 2018年5月25日閲覧。
- ^ “Supreme Just Became a Billion-Dollar Streetwear Brand” (英語). Complex. 2018年5月25日閲覧。
- ^ “Supreme Clothing, Looking Behind the Hype of a Supreme NYC Drop”. The Dapifer. 2017年2月20日閲覧。
- ^ “50 Things You Didn't Know About Supreme”. Complex. 2017年11月16日閲覧。
- ^ “Supreme about”. www.supremenewyork.com. 2017年11月16日閲覧。
- ^ a b “How Supreme Managed to Stay True to Skateboarding, Despite Everything” (英語). Vice (2018年11月16日). 2019年10月8日閲覧。
- ^ a b c “50 Things You Didn't Know About Supreme”. Complex. 2017年11月16日閲覧。
- ^ Abrams, Micah (2006年4月16日). “Into L.A.'s Deli Land, Enter the Skaters”. The New York Times. 2012年9月29日閲覧。
- ^ “Supreme stores”. www.supremenewyork.com. 2017年11月16日閲覧。
- ^ Bahney, Anna (2003年10月31日). “Get 'Em While They're Cool: Footwear for the Few”. The New York Times 2012年9月29日閲覧。
- ^ “Supreme Is Opening a Store in Brooklyn This Week” (2017年10月3日). 2017年11月16日閲覧。
- ^ “Here's Why Supreme Decided to Open a Second Store in New York” (2017年11月16日). 2017年11月16日閲覧。
- ^ “BoF Exclusive - Supreme Confirms Investment From Carlyle Group” (2017年10月6日). 2017年11月16日閲覧。
- ^ “How Supreme Grew a $1 Billion Business with a Secret Partner” (2017年10月10日). 2017年11月16日閲覧。
- ^ “Supreme news”. 2019年11月3日閲覧。
- ^ “Supreme to Open San Francisco Store”. WWD. 2018年11月19日閲覧。
- ^ “Supreme's World Domination Tour Starts in San Francisco”. GQ. 2018年11月19日閲覧。
- ^ “VF to Buy Supreme for $2.1 Billion to Boost Apparel Brands” (英語). Bloomberg.com. (2020年11月9日) 2020年11月9日閲覧。
- ^ “米アパレルVF、「シュプリーム」を21億ドルで買収へ-株価急伸”. ブルームバーグ. (2020年11月10日)
- ^ “VF Corporation Completes Acquisition of Supreme®” (Press release). VF Corporation. 28 December 2020.
- ^ “レイバン手がける仏眼鏡大手、人気ブランド「シュプリーム」買収 2340億円”. CNN. (2024年7月18日)
- ^ “EssilorLuxottica to Acquire Supreme® from VF Corporation” (Press release). VF Corporation. 17 July 2024.
- ^ a b Clark, van (2020年5月5日). “Supreme Secures Chinese Trademark”. Women's Wear Daily 2020年5月12日閲覧。
- ^ a b “Battle of Supremes: How ‘legal fakes’ are challenging a $1B brand”. CNN (2019年3月18日). 2025年5月11日閲覧。
- ^ a b “無印もシュプリームも……ファッションにおける「パクリ」はなぜなくならないのか”. 文春オンライン (2019年2月17日). 2025年5月11日閲覧。
- ^ “Europen [sic] Union refuses to register Supreme as trademark”. nss magazine. 2019年6月12日閲覧。
- ^ “Italian Court Rules Against Supreme in Counterfeit Case” (英語). Supreme California (2018年8月2日). 2019年5月24日閲覧。
- ^ Etienne, Stefan (2018年12月10日). “Samsung angers hypebeasts by partnering with fake Supreme brand in China”. The Verge. 2019年5月24日閲覧。
- ^ Meek, Andy (2018年12月10日). “Samsung teams up with a fake, knock-off brand of Supreme to make products in China” (英語). BGR. 2019年5月24日閲覧。
- ^ “中国サムスン、やっとSupremeのパチモンとの業務提携をキャンセル”. www.gizmodo.jp (2019年2月5日). 2023年12月27日閲覧。
- ^ “EUIPO Supreme Trade Mark Information”. EUIPO. 2020年11月9日閲覧。
- ^ ““合法的な偽物”を販売していた Supreme Italia の運営者に懲役8年と3年の判決”. HYPERBEAST. 2025年5月11日閲覧。
- ^ “人気ブランドショップで暴行、中国籍の男ら6人逮捕 相次ぐ買い物トラブル (1/2ページ)”. 産経ニュース (2018年5月16日). 2023年12月27日閲覧。