アンティパスト

アンティパスト(イタリア語: Antipasto)は、イタリア料理のコースで、アペリティーヴォ(食前酒)に次いで提供される料理(前菜)である[1]。トラットリアなどでの簡易的なコースの場合、食前酒かアンティパストのどちらかのみということもある[1]。
概要
[編集]プリモ・ピアットに先立って、食欲増進を目的として提供される料理で、塩気、酸味、甘味が強い料理が多い[1]。また、プリモ・ピアットやセコンド・ピアットを食べる際の妨げとならないように、アンティパストの量はさほど多くはない[2]。
決まった食材や調理法は無いため、さまざまな料理がアンティパストとして提供される[1]。自由度が高いことから、調理するシェフの個性が最も出るメニューとされる[1]。
一部にはアンティパストからセコンド・ピアットまで魚介なら魚介、肉なら肉と統一することにこだわりを持つ人もいて、そういった人は、例えばイワシのマリネをアンティパストに食べたら、その後のプリモ・ピアットのパスタにパンチェッタとチーズを用いたカルボナーラというのは良い組み合わせとは思わない[2]。
料理店のメニューでは以下のように細分されることもある[3]。
- アンティパスト・ミスト(Antipasto Misto)[3]
- 「Misto」は「盛り合わせ」の意で、盛り合わせ形式で提供される。
- アンティパスト・フレッド(Antipasto Freddo)[3]
- 冷たいアンティパスト。
- アンティパスト・カルド(Antipasto Caldo)[3]
- 温かいアンティパスト。
名称について
[編集]ラテン語で「ante」は「前」、「pastus」は「食事」を意味し、「食事の前の一品」の意となる[2][4]。
代表的な料理
[編集]伝統的なアンティパストには、肉、オリーブ、トウガラシ、キノコ、アンチョビ、アーティチョークの芯、様々なチーズ(プロヴォローネやモッツァレッラ等)の塩漬け、肉や野菜の酢漬けやオイル漬け等がある。
アンティパストの内容は、地域によりかなり異なる。
北イタリアでは、アジアーゴ・チーズ、フォンティーナ、ゴルゴンゾーラといったチーズがアンティパストに提供される頻度が多い[4]。モルタデッラ、小さなタマネギのバルサミコ酢漬け、冷えたポレンタを角柱に成形した揚げたものなどが提供される[4]。
中央イタリアではクロスティーニが代表的であり、サラミなども提供される[4]。
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ポレンタのフリッタ
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カプレーゼ
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カポナータ
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生ハムメロン
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ブルスケッタ
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タコのサラダ
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ムール貝の白ワイン蒸し
歴史
[編集]プロシュットとメロンのアンティパストは、古代医学に基づくとされている[5]。
参考文献
[編集]- Scicolone, Michele (1998). The Antipasto Table. HarperCollins 2012年4月20日閲覧。 ISBN 0880016272
出典
[編集]- ^ a b c d e f g Rui (2021年7月18日). “極める! イタリアン歴史街道|前菜(アンティパスト)の歴史”. さかのした合同会社. 2025年4月6日閲覧。
- ^ a b c d e f g “これだけは知っておきたい!イタリアンのコースの構成と順番”. mapolissimo. 2025年4月6日閲覧。
- ^ a b c d e 沈唱瑛 (2023年12月23日). “アンティパストミストとは?イタリアンのメニュー用語の見方!”. All About. 2025年4月6日閲覧。
- ^ a b c d e “アンティパストの魅惑とは?”. CHEESE FM. 野澤組 (2023年5月9日). 2025年4月6日閲覧。
- ^ Wilkins, J.; Nadeau, R. (2015). A Companion to Food in the Ancient World. Blackwell Companions to the Ancient World. Wiley. p. 11. ISBN 978-1-4051-7940-9 2016年5月19日閲覧。