アランカ

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アランカ
生息年代: 100.0–93.5 Ma
他のアズダルコ科動物を参考に修復されたアランカの顎
保全状況評価
絶滅(化石
地質時代
約1億–約9350万年前
中生代白亜紀後期
カンパニア階
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
亜綱 : 双弓亜綱 Diapsida
下綱 : 主竜形下綱 Archosauromorpha
階級なし : 主竜類 Archosauria
階級なし : 鳥頸類 Ornithodira
: 翼竜目 Pterosauria
亜目 : 翼指竜亜目 Pterodactyloidea
上科 : アズダルコ上科 Azhdarchoidea
: アズダルコ科 Azhdarchidae
: アランカ属 Alanqa
学名
Alanqa Ibrahim et al.2010
タイプ種
A. saharica
和名
アランカ

アランカAlanqa)は、モロッコ白亜紀後期の地層から発見された大型翼竜の属の一つ。模式種 Alanqa saharica のみで知られる。属名はペルシャ神話に出てくるシームルグの一つでフェニックスに似たアランカ(العنقاء al-‘anqā’)という怪物に由来する。種小名は「サハラの」という意味である[1]

発見[編集]

2008年4月から12月にかけてモロッコケムケム層で地元の探検隊による調査が行われ、数種類の異なる翼竜の化石が発見された。アランカの標本は断片的であった。化石が見つかったのはトーズ (Taouz) の北東10kmにある Begaa村近くの Aferdou N'Chaft という場所である[1]

記載[編集]

ホロタイプ (FSAC-KK 26)

アランカは前上顎骨と下顎骨の断片と恐らく頸椎とされる断片的な骨のみで知られる。模式種はアランカ・サハリカ(Alanqa saharica)[1]。これら二つの断片は1999年に分類不明のプテラノドン類としてビュフェトーらによって記載された[2]。それから、3つの追加の顎の標本(上顎骨はより良好な保存状態)が2010年にイブラヒムらによって記載された[1]。クチバシ状の顎はまっすぐで尖っており、アズダルコ科ケツァルコアトルスチェージャンゴプテルスに似ている。この顎を基に近縁の種のプロポーションから推定して、アランカ・サハリカの翼開長はおよそ4mと見積もられた。しかしイブラヒムと学生によると、脊椎はもっと大きい個体のものであることを示し、翼開長は約6mになったのではないかと指摘されている[1]

新たなクチバシの断片が2015年に cf. Alanqa として記載された。この断片は、顎の開閉に関わる2つの骨突起を有し、以前からアランカとされていた顎の隆起と一致している。これらは、この翼竜における異常なほどの機能的特化を示唆する。考え得る機能には、ビジュアルディスプレイ、軟組織の付着部、そして硬い殻をもった獲物の粉砕が挙げられる[3]

出典[編集]

  1. ^ a b c d e Ibrahim, N., Unwin, D.M., Martill, D.M., Baidder, L. and Zouhri, S. (2010). "A New Pterosaur (Pterodactyloidea: Azhdarchidae) from the Upper Cretaceous of Morocco." PLoS ONE, 5(5): e10875. doi:10.1371/journal.pone.0010875
  2. ^ Wellnhofer, P. and Buffetaut, E. (1999). "Pterosaur remains from the Cretaceous of Morocco." Palaeontol Z, 73: 133–142.
  3. ^ Martill, D.M., and Ibrahim, N. (2015). "An unusual modification of the jaws in cf. Alanqa, a mid-Cretaceous azhdarchid pterosaur from the Kem Kem beds of Morocco." Cretaceous Research, 53: 59-67. doi:10.1016/j.cretres.2014.11.001