アニ峰

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アニ峰
標高 2,504 m
所在地 フランスの旗 フランスアキテーヌ地域圏ピレネー=アトランティック県
位置 北緯42度56分40秒 西経0度43分14秒 / 北緯42.94444度 西経0.72056度 / 42.94444; -0.72056座標: 北緯42度56分40秒 西経0度43分14秒 / 北緯42.94444度 西経0.72056度 / 42.94444; -0.72056
山系 ピレネー山脈
初登頂 François Flamichon
(1771年7月28日)
アニ峰の位置(ピレネー山脈内)
アニ峰
アニ峰
アニ峰の位置(フランス内)
アニ峰
アニ峰
プロジェクト 山
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アニ峰フランス語: pic d'Anie)は、ピレネー山脈中西部の。標高は2504m。バスク語ではアウニャメンディ(AuñamendiまたはAhuñamendi)[1]であり、「エビの山」という意味を持つ。山頂はスペインフランス国境からややフランス側にあり、この場所はバスク地方の最東端部にあたる。アスプ谷のレスカン圏谷フランス語版(レスカン・カール)の中でもっとも高い山である。エウスコ・イカスクンツァ(バスク研究協会)バスク語版が手掛けるアウニャメンディ百科事典スペイン語版の名称はこの山のバスク語名に由来している。

地理[編集]

地形[編集]

アニ峰はアキテーヌ地域圏ピレネー=アトランティック県に位置しており、レスカン圏谷フランス語版西部のピエール・サン=マルタン道に近い。アニ峰の東のピークであるラーラ・ベラグアは壮大なカルスト地形であり、白亜紀に遡る巨大な石灰岩によって形成されている[2]。表面にはわずかな水の痕跡もなしに穴や亀裂が生じており、この場所はアレス・アニ(les Arres d'Anie)と呼ばれる。

山頂までの主要な登山道3本は、それぞれフランス語でベラグア道、ピエール・サン=マルタン道、レスカン道として知られている。

地質[編集]

アレス・アニのカルスト地形は約200メートルの厚みを持つ。炭酸カルシウムは溶解度が高いため、雨の影響で炭酸カルシウムによる縦割れは拡大している。縦割れから侵入した水は、頁岩からなるヘルシニア造山期の基岩の表面に到達し、この基岩はより深い部分への水の浸入を阻んでいる。アニ峰のピークのドームは、このカルスト組織を基盤としている。かつてのレスカン氷河は、カンプロンの岩壁に囲まれた巨大なU字型の谷を形作っており、Cap de la Baitchに羊飼いの石積み小屋が位置する[3]

伝承・歴史[編集]

バスク神話の中では、アニ峰の頂上は「赤い領主」ハウナゴリフランス語版の領地とされ、不死の果実を実らせる素晴らしい果樹園があった。しかし、神が引き金となった激しい雷雨や雹の嵐によって、ハウナゴリの領地は奪われた。

1771年7月28日、地理学技師のFrançois Flamichonによって歴史上に知られる限りの初登頂が記録された。Flamichonは著書『地球の理論』で以下のように記録している。

翌朝の登頂に備えて、アニ峰の麓にある羊飼いの小屋で夜を過ごした。翌日である(1771年)7月28日、私は午前3時に麓を離れた。多くの困難を超え、多くの雪の橋を超えた後、午前9時に頂上に達した。 — Jean Latapie, Théorie de la Terre, déduite de l’organisation des Pyrénées et des pays adjacens, Pau, Tonnet, 1816, pp.117-118.

登山道[編集]

フランス側[編集]

アスプ谷フランス語版レスカン圏谷フランス語版にあるAbérouat小屋から頂上に登ることができる。GRハイキングコース英語版10番の先に登山道が伸びており、カンプロンの岩壁に達する前にBraca d'Azunsの森を横切る。Cap de la Baitchにある羊飼いの石積み小屋からはケアン(道標となる積み石)に従って歩くと頂上に至る。

副次的なルートとして、ラ・ピエール・サン=マルタンフランス語版スノーリゾートからの登山道がある。アレス・アニを横切り、再び頂上までのルートに合流する。

スペイン側[編集]

スペイン・ナバーラ州北端部のベラスペイン語版からも頂上に登ることができる。

脚注[編集]

  1. ^ スベロア方言ではAhüñemendi。出典はPère Pierre Lhande, Dictionnaire basque-français et français-basque, 1926。
  2. ^ Jacques Labeyrie, Les découvreurs du Gouffre de la Pierre-Saint-martin, éditions Cairn, 2005.
  3. ^ Teisseire-Dufour, Patrice (2015) (Franch). 44-46. ISSN 1252-2783