りんの玉

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
りんの玉。中国語で陰道球。中国の古典に登場する性具「勉鈴」が元とされる
挿入図

りんの玉(りんのたま)は、女性の膣に挿入して使用する性具琳の玉と表記することもある[1]。別名・編鈴

直径1cm程度の金属製などの球殻で、内部にが封入されている。通常、これを2個に挿入して性交する。腰を動かすたびに鈴が鳴り、快感をもたらす[2]。大小1個ずつを使用すると記す文献もある[3]

沿革[編集]

一説に、玄宗帝楊貴妃と「やる」ために作らせたという[2]ロバート・ファン・ヒューリックは、中国の勉鈴緬鈴。べんりん)がりんの玉の原型ではないかと述べる。ただし、勉鈴がどのようなモノでどのように使用するのか、そもそもこのような性具が存在したのか、学者たちの間でも意見が割れている[1]。『金瓶梅』では勉鈴として登場し、豪商の西門慶が妻妾との睦みの際に使用する。

日本の古い文献では、『好色一代男』(1682年)に記述がみられる[4]。また、『色道重宝記』には「二ツ三ツを開(ぼぼ)に入れて置き、後よりへのこを入れて行う」とある[5]

欧米では2010年刊行のイギリスの官能小説『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』に登場し、同作の大ヒットにより、より広く知られるようになった。

画像[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b 邱海濤(きゅう・かいとう) 著、納村公子(なむら・きみこ) 訳『中国五千年 性の文化史』集英社、2000年11月7日、100-105頁。ISBN 4-08-781159-X 
  2. ^ a b 福田和彦『江戸の性愛学』河出書房新社〈河出文庫〉、1988年、19, 65頁。ISBN 4309471358 
  3. ^ 礫川全次『性愛の民俗学』批評社〈歴史民俗学資料叢書 第3期〉、2007年、84頁。ISBN 4826504691 
  4. ^ 前田金五郎『好色一代男全注釈 下巻』角川書店、1980年、470頁。 
  5. ^ 長友千代治 編著『江戸時代生活文化事典―重宝記が伝える江戸の知恵 下巻 た~わ行』勉誠出版、1581頁。ISBN 978-4-585-20062-8