いつもどこでも忍2ニンジャ

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いつもどこでも忍²ニンジャ』(いつもどこでもにんにんにんじゃ)は、阿智太郎によるライトノベル。イラストは宮須弥が担当。2003年第1巻発行(メディアワークス電撃文庫)。略称は「いつどこ忍ニン」。

当初のタイトルは『僕の血を吸わないで』や、『僕にお月様を見せないで』と同様に、『僕に手裏剣を投げないで』だったらしいが、関係者から「いくらなんでもしつこいぞ」と言われ、このタイトルになったらしい。

ストーリー[編集]

戦国の世、血で血を洗うこの時代。小国・藤嵐の国は無茶な戦を起こし、結果として滅ぶこととなった。焼け落ちる城から抜け出したのは、若殿・藤嵐誠之進と護衛のくノ一草影涼葉のみ。二人は国境にある神隠し峠まで落ち延びた。しかし、そこで藤嵐の国を襲った血桜忍群に見つかり危機に陥る。あわや二人の命もここまで。そう思われたとき、血桜の忍者たちと二人を包むように、強烈な落雷が起こった。

藤嵐の国の乱の一件など遠い歴史の果てに置いていかれた現代。ひまわり市にある向日葵高校に通うごく普通の高校生、春日マコトは、ある日バスで寝過ごしてしまい、市郊外のド田舎・上加峠(かみかとうげ)に来てしまう。せっかくだからと気まぐれを起こし、通りがかりの上加神社で祈りをささげたとたん、いきなり雷のようなものが落ちてきた。気づいた彼の前には意識を失った忍装束の女の子が。程なく意識を取り戻した彼女は、マコトに「誠之進さま~」と抱きついてきた。実は彼女は落雷のショックによって500年の時を越えてきた草影涼葉その人。そしてマコトは他ならぬ藤嵐誠之進に生き写しの少年だったのだ。こうして彼らの奇妙な共同生活が始まる。

主な登場人物[編集]

春日マコトside[編集]

春日 マコト(かすが まこと)
この作品の主人公。のほほんとした性格。両親が海外に行っているため、一人暮らしをしていたが、涼葉やかなでという同居人ができ、騒がしいながらも楽しい毎日を送っている。藤嵐誠之進にそっくりだという理由で、血桜忍群に命を狙われている。
後に誠之進の血を引く直系の子孫である事が明らかになる(詳細は後述)。
草影 涼葉(くさかげ すずは)
500年前、誠之進を守るくノ一だった少女。実は誠之進を慕っていた。タイムスリップしてからは彼にそっくりなマコトを守ることを自ら任務としている。当初は誠之進に似ていることからマコトに惹かれたが、最終的にマコト自身の人格に触れたことで誠之進ではなくマコトのことが好きになる。現代の生活習慣には当然慣れておらず、勘違いや早とちりからさまざまなトラブルを引き起こすことも。
木桜/血桜 かなで(きざくら/ちざくら かなで)
血桜忍群の元中忍。マコトを暗殺する命を受け、血桜の秘術(催眠術)を利用してマコトのクラスに転入してきた。あの手この手を繰り出すが、本人が天然ということもあり、すべて失敗に終わる。そのせいで血桜忍群にもいることができなくなり、マコトの家に居候することに。最初は気づいていなかったが、マコトのことが好き。胸の谷間にはさまざまなものが入っていたり、入れたりすることができるため、四次元ポケットと言われている。現代人以上に現代人っぽい。好きな食べ物はアイスクリーム
木桜姓は当初マコトに正体を知られないために名乗っていた偽名であり、高校転入もこの名前を使用している。そのため学校における学籍上および向日葵高校関係者(桃花やクラスメートなど)からは木桜姓で呼ばれる。また、交友関係も広くなっており親しい友人からは「かなちゃん」と呼ばれている。
花滝 啓司(はなたき けいじ)
マコトの先輩で付き合いのいい大学生。文系の学部に進学したハズなのに理系の知識と技術に明るく、様々な難しい計算を一瞬でこなす。高校時代は歴史研究会に所属し、そのために郷土の歴史にも詳しい。涼葉の身元が解らず困っていたマコトに、彼女の正体を看破して示唆した。アフロヘア(一時期リーゼントだったことも)。何かにつけてマコトに良くしてくれる。しかしマコトに関わったため、愛車をスクラップ寸前にされたりしている。
側小路 桃花(そばのこうじ とうか)
マコトの一年先輩である良家のお嬢様。その正体は藤嵐の隣国・桑の実の国の姫君「桃姫」で誠之進の許婚である杏姫の妹。涼葉たちの後にタイムスリップしたが、彼女らよりも前の時代に流れ着いたため、マコトより年上になっている。側小路家の養女になってから、ある意味で籠の鳥の如く大事に育てられたため、本来活発な性格が抑えられてしまい、心の拠り所を幼い頃の思い出に求めるようになってしまった。誠之進を慕うあまり、マコトのことは「マコト兄様」と呼ぶ(誠之進のことは「せー兄様」と呼ぶ)。

血桜忍群[編集]

頭目のわに太朗を筆頭に、上忍、中忍、下忍と完全な縦社会になっている。なお、血桜忍群のキャラクターはすべて苗字が「血桜」なので、苗字の表記はしていない。

わに太朗(わにたろう)
前の頭目・血桜修羅菊の弟であったため、血桜忍群の頭目になった男の子。ただし本人はすこぶるいい子で、残虐なこの集団の筆頭に座るタイプではない。よくワニの着ぐるみの中に入っている。子供だがその能力は半端ではない。とあるきっかけでマコトと知り合ってからは、彼を「マコト兄ちゃん」と呼び慕っている。

上忍[編集]

圧倒的な力や特殊能力を持つ忍者。その代わり、社会性や常識をなくしていたりと人間を捨てている者がほとんど。

虎牙(べんがる)
血桜忍群の副頭目で下忍の教育係。ベンガルの名のとおり、非常に容姿が怖い(肝試しに素顔で出て子どもたちを絶叫させたほど)。誠之進成敗を誰よりも願っており、さまざまな策を仕掛ける。下忍たちと一緒に工事現場でアルバイトをしている。下忍に対しては容赦がない。
カバネ丸(かばねまる)
名前の由来は対した相手を一瞬で屍にしてしまうことから。特殊な力はないがオーソドックスな戦闘では血桜最強とも言われる。血桜忍群の中ではかなりの常識人。
いっぽく堂(いっぽくどう)
赤面症のため、腹話術を使い、人形の「にん吉」と「にん美」を介して行動する。
変面丸(へんめんまる)
顔が餅のように伸び、自在に顔を変えることができるため、それを使って他人に成りすますのが得意。ただし、戦闘能力は下忍並。
素顔は本人も忘れてしまっている。
どんこ之介(どんこのすけ)
自らの体にキノコを植えており、体中がキノコで覆われている。戦いの際は毒キノコを飛ばして攻撃したり、薬になるキノコで仲間を治したりする。ただし、普段は寝てばかりいて、一度寝ると2~3年は起きない。
上忍の中でも特に人間を捨てている忍者。
体に生えているキノコの9割は毒キノコ。

中忍[編集]

普通の忍者の力の他に何か一つ優れた能力を持つ忍者達。

オロチ、ミカゲ
オロチが兄で、ミカゲが妹の通称蛇腹兄妹。蛇の扱いが得意な蛇使い。わに太朗の護衛役でありわに太朗至上主義を唱えてはばからず、わに太郎のこととなるとダメになってしまう。
毛田五郎(けだごろう)
ケモノ使いの異名を持ち、大抵のケモノならば短期間で調教し使いこなす。ただし、毛のない動物のことはあまり知らない。
泥ブナ(どろブナ)
物心ついた時から水中で暮らしていたため、水中戦ではかなり強く、水の魔物とも呼ばれる。
ただし、陸上では三歩歩くだけで疲れたり、体が乾くだけでダメージを受ける等、かなり役立たず。
木端微塵之介(こっぱみじんのすけ)、大山火事燃造(おおやまかじもえぞう)、爆発太郎(ばくはつたろう)
通称火達磨三兄弟。木端微塵之介が長男、大山火事燃造が次男、爆発太郎が三男。火薬の扱いでは右に出る者はいないが、一日一回は火薬のにおいを嗅がないと発狂してしまう。

下忍[編集]

一般的な能力を持つ忍者

下忍の方々
血桜忍郡の下っ端。毎日、虎牙にスパルタ式に鍛えられているがその分ストレスも溜まっている。現代のファッションが全くわかっていないため、全身タイツやパジャマなどとんちんかんな格好で街を歩くなど、普段は間抜けな面が多い。
全員がお仕着せの忍び装束に覆面とお揃いの恰好をしているため一見すると区別がつかないが、1/3は女性(つまりくの一)である。
何人かは名前も出ているが省略する。

その他[編集]

時田(ときた)
桃花の家の執事。しかしそれは表向きの顔で、実はエージェントをしている(コードネームは「ジェントルクロック」)。桃花にはそのことを隠していたつもりだったが、すでにばれていることが判明した。
青山 萌(あおやま もえ)
桃花の家のメイド。20代だが、そばかすがありその容姿は桃花より年下にも見える。訛りがある。
藤嵐 誠之進(ふじあらし せいのしん)
マコトの先祖だと思われる武将。藤嵐の国の若殿。
涼葉は彼に仕えていたが、タイムスリップ騒ぎで離れ離れとなってしまう。そのため、落雷によって死亡したと思われていた。しかし花滝によって「同時にタイムスリップに巻き込まれたとしても、別の時代に流れ着く可能性」が示唆されており、その生死は不明となっている。
実は涼葉たちよりも前の時代にタイムスリップして生き延びていた。本文内では巧妙に隠されているが、実はマコトの父親であり、最終回におけるマコトの幼い頃のアルバムを見た血桜の面々の反応でそれを示唆してある。時を越えて様々な重責から逃れる事ができ、現代では打って変わってラテンノリのフランクで明るい性格に代わっている。
マコトの父親としては缶詰製造会社の派遣工場長として東南アジアに在するパンチパパイヤ島に妻と共に赴任しているが、謎の行動が多く本当にそうなのかは不明。
血桜 修羅菊(ちざくら しゅらぎく)
500年前の血桜忍群の頭目で、わに太郎の姉。冷酷な性格。時を越えた際に行方不明になったため、誠之進同様に死亡したと思われていた。
しかし冷酷なその性格は素のものではなく、父に代わって血桜を束ねるための強い責任感が演じさせたもの。実際は厳しくも優しい少女であり、実は誠之進の本当の恋人であった。なお、この事実はカバネ丸のみが把握していた。
実は誠之進と共に同じ時を越え、涼葉たちよりも前の時代にタイムスリップしていた。誠之進との恋は身分や互いの立場の違いのために結ばれることのない悲恋として終わるはずだったが、この事により全てが覆る。
つまりマコトの母親本人であり、この事はマコトの母親に関する思い出の中で暗喩的に示唆され、最終的に誠之進同様、マコトの幼い頃のアルバムを見た血桜の面々の反応で確定されるように表現されている。

既刊一覧[編集]

  1. 出会ったあの娘はくの一少女 ISBN 4840223572
  2. 暗殺デートは素敵にどっきゅん ISBN 4840223823
  3. 日本の夏、血桜の夏 ISBN 4840224897
  4. 極悪を再び! ISBN 4840226350
  5. ピンクなキノコの大事件 ISBN 4840226954
  6. 春日マコト抹殺指令! ISBN 4840227551