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'''ダイレクトストリームデジタル'''({{lang-en|'''D'''irect '''S'''tream '''D'''igital, '''DSD'''}})とは、[[Super Audio CD|スーパーオーディオCD]](SACD)が[[アナログ]]音声を[[デジタル]]信号化する際の方式。オーディオの世界においては[[CD-DA]]に用いられる{{要出典|date=2016年10月|範囲=[[リニアPCM]]方式に代わる新技術であ}}が、原理自体は新しいものではなく、古くからある[[パルス変調]]の一つであるPDM方式(パルス密度変調方式)に商標を付けただけである。
'''ダイレクトストリームデジタル'''({{lang-en|'''D'''irect '''S'''tream '''D'''igital, '''DSD'''}})とは、[[Super Audio CD|スーパーオーディオCD]](SACD)が[[アナログ]]音声を[[デジタル]]信号化する際の方式。オーディオの世界においては[[CD-DA]][[リニアPCM]]方式に代わる新技術」、専門家2人によれば「キャッチーな名前などと言われのは侮辱的で不愉快、どうせ、どこの誰書いたかもわからないウィキペディアの記述ですから記にはしません」とのことだが(当記事のノート参照)、原理自体は新しいものではなく、古くからある[[パルス変調]]の一つであるPDM方式(パルス密度変調方式)に商標を付けただけである。


== 概要 ==
== 概要 ==

2017年4月5日 (水) 03:13時点における版

ダイレクトストリームデジタル英語: Direct Stream Digital, DSD)とは、スーパーオーディオCD(SACD)がアナログ音声をデジタル信号化する際の方式。「オーディオの世界においては、CD-DAリニアPCM方式に代わる新技術」、専門家2人によれば「キャッチーな名前などと言われるのは侮辱的で不愉快、どうせ、どこの誰が書いたかもわからないウィキペディアの記述ですから記にはしません」とのことだが(当記事のノート参照)、原理自体は新しいものではなく、古くからあるパルス変調の一つであるPDM方式(パルス密度変調方式)に商標を付けただけである。

概要

ソニーフィリップスにより命名された。原理についてはΔΣ変調を参照されたい。

オーディオ用途で主に用いられるサンプリング周波数はCD-DAの規格である44.1kHzの64倍=2.8224MHz。他のデジタルフォーマット48kHzなどとも周波数比が単純な整数比となるので、変換を行っても大きな破綻が無く相性が良いとされる。

「1bitオーディオ」の別名でDATに替わる高音質ポータブルオーディオとして期待されている。KORGのレコーダーMR-1000とMR-2000Sは、2.8224MHzの他に5.6448MHzというさらに倍のサンプリング周波数で録音が可能である。このフォーマットはDSD128(CDフォーマットの128倍という意味)と呼ばれる事もある。

特徴

100kHzまでカバーする周波数帯域(ただしフラットではなく上限に向かって下降する特性)と低ノイズ、瞬発力の高さ、そして音の情報量が多いにも関わらず周波数帯域が近い192kHzサンプリングと比較した場合データが軽く済むという特長がある。

また、DSDからのDA変換もアナログローパスフィルターを通すだけの非常にシンプルなハード設計が可能で、アナログ→DSD変換のLSIのコストが低く消費電力も抑えられるので、SACDや録音だけでなくデジタルパワーアンプにも使われている。

短所としては、まず「高周波数になるほど量子化ノイズが増える」というものがある。この特性によりSACDの製品化初期の頃、スーパーツイーターの破損が頻発したため、現在では35kHz~45kHz程度のローパスフィルタを搭載した再生機器が一般的であり、実際に100kHzは再生されない。なお、サンプリング周波数が非常に高いので、人間が聴取可能な周波数帯域という意味ではこの問題は感知されない。変換誤差や高調波ひずみが発生しやすいという点は回路設計上大きな課題となっている。

もう一つの短所としては、DSDの特性上ケーブルも1ビットを高速伝送するシリアル系のケーブルでなければ正確な伝送が出来ない点である。パラレル系でもシリアル系ケーブルでも正確な伝送が可能なPCMとの大きな違いでもある。実際にパイオニアやソニーなどのメーカー各社では、SACDとAVアンプとをデジタルにてシリアル伝送するためにiLINKを採用していた。

制作側から見た場合、1bit・ΔΣ変調の原理からミキシングはおろかイコライジングさえ出来ず、2対ないし4対パラレルでマルチビット伝送するLANケーブルを用いるDante規格などのパラレル系機器が(制作音源の品質上)使い物にならない。現状では光ファイバーを用いるMADI規格かthunderbolt対応機器を使用して伝送する、PyramixやSonomaなどのマルチトラックダイレクトストリームデジタル録音システムを用いながらミキシング/イコライジングなどのプロセスはアナログ機器に頼るか、DSD-Wide、Digital eXtreme Definition英語版などのマルチビット信号にデジタル変換して行われている。

DSDの記録方式

記録方式には以下の方法が存在している。DSD規格では以下のいずれかの方法が用いられている。そのため、SACDのソフトによっては、録音・記録方法が異なっている。

DSDレコーディング
オリジナルレコーディングからすべてDSD方式で録音されているマスターを使用。 DSD方式で音楽情報を余すことなく録音することで、 DSDの持つ高いサウンドクオリティをスーパーオーディオCDで再現することが可能。
DSDミキシング
アナログあるいはデジタルのマルチチャンネル・レコーダーから直接DSDにミックスダウンされたマスターを使用する方式。スーパーオーディオCDでは、ミキシングによって増大するダイナミックレンジやリミッタ処理によって発生する高調波などもそのまま収録することが可能となった。
DSDマスタリング
アナログあるいはデジタルのオリジナルマスターから、直接DSD方式でマスタリングしたマスターを使用。例えばハイビット・ハイサンプリングのマスターのサウンドもクオリティを損なわずにスーパーオーディオCDに収録可能。

DSDディスク

後述のDSFファイルをDVD±R、DVD±RWに記録するためのフォーマット。「Sound Reality」搭載のVAIOおよびKORGのPC用アプリケーションソフト「AudioGate」で作成することができるほか、音楽配信サイトからDSD音源を購入し、市販のライティングソフトでDVD±R、DVD±RWに記録して作成することもできる。

SACDとは完全に別物であるため、通常のSACDプレーヤーで再生することはできないが、ソニーのSCD-XA5400ESやSCD-XE800など一部のSACDプレーヤー、ティアックのPD-501HRなど一部のCDプレーヤー、SIEプレイステーション3(SACD再生非対応モデルを含む)は再生に対応している。なおVAIOで作成したDSDディスクには、PCMへの変換出力のDirectShowプラグインが書き込まれているので「Sound Reality」搭載のVAIO以外のPCでも再生できる。

ファイルフォーマット

DSDには様々なファイルフォーマットが存在している。いずれにおいても互換性はない。

DSDIFF (Direct Stream Digital Interchange File Format)
主に業務用に用いられており、DSDファイルフォーマットの中で最も使われている。PyramixやSonomaなどの業務用機器に対応製品が多い。民生用では、KORGのPC用アプリケーションソフト「AudioGate」か同社のMRシリーズ、TASCAMのレコーダーなどで再生できる。
DSF (DSD Stream File)
ソニーが2005年秋モデルのVAIO向けに開発した民生用途向けファイルフォーマット。「Sound Reality」搭載のVAIOに付属しているソフトウェア「DSD Direct」を用いることによりWAVから変換でき、DSDディスク作成に用いられる。再生には「Sound Reality」搭載のVAIO、あるいはKORGのPC用アプリケーションソフト「AudioGate」か同社のMRシリーズで再生可能。
WSD (Wideband Single-bit Data)
「1ビットオーディオコンソーシアム(早稲田大学パイオニアシャープ共同の推進グループ)」が策定したファイル・フォーマット。チャンネル数やサンプリング周波数に制限がなく、あらゆる形式のデータに対応できることを特長としている。仕様が公開されているのも特徴である。KORGのPC用アプリケーションソフト「AudioGate」か同社のMRシリーズで再生可能。

関連項目