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「タラスコ語」の版間の差分

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==歴史==
==歴史==
 タラスコ語の[[辞書]]は、少なくとも二種類が知られている。[[フランス]]出身の[[フランシスコ会]]会士[[マトゥリノ・ヒルベルティ]]{{enlink|Maturino_Gilberti||es|a=on}}の手により[[1559年]]に''&quot;{{lang|es|Diccionario de la lengua Tarasca ó de Michoacán}}&quot;''また[[1978年]]には[[パブロ・ベラスケス・ガリャルド]]({{lang|es|Pablo Velásquez Gallardo}})の手による辞書''&quot;{{lang|es|Diccionario de la lengua phorhepecha: Español-Phorhépecha, Phorhépecha-Español}}&quot;''が出版されている。<br />
 タラスコ語の[[辞書]]は、少なくとも二種類が知られている。一つは[[フランス]]出身の[[フランシスコ会]]会士[[マトゥリノ・ヒルベルティ]]{{enlink|Maturino_Gilberti||es|a=on}}の手により[[1559年]]に出版された''&quot;{{lang|es|Diccionario de la lengua Tarasca ó de Michoacán}}&quot;''もう一つは[[パブロ・ベラスケス・ガリャルド]]({{lang|es|Pablo Velásquez Gallardo}})の手による''&quot;{{lang|es|Diccionario de la lengua phorhepecha: Español-Phorhépecha, Phorhépecha-Español}}&quot;''([[1978年]])である。<br />


===地名に関して===
===地名に関して===
 [[グアナフアト]]や[[ケレタロ]]といった地名の語源はタラスコ語によって解釈する事が可能である。例えば、前者は&quot;{{lang|pua|kuanhasï}}&quot;<[[カエル]]>と&quot;{{lang|pua|juáta}}&quot;<[[山]]>の合成語で<カエルがいる山がちな場所>と解釈する事が出来、また後者は&quot;{{lang|pua|k'éri}}&quot;<大きな>と&quot;{{lang|pua|ireta}}&quot;<集落>に<場所>を表す&quot;{{lang|pua|-rhu}}&quot;を足し合わせ&quot;{{lang|pua|K'erietarho}}&quot;<大きな集落に>、もしくは&quot;{{lang|pua|kérenda}}&quot;<[[岩]]>と&quot;{{lang|pua|-rhu}}&quot;で&quot;{{lang|pua|Kerendarhu}}&quot;<岩場に>等と解する事ができる<ref>{{Cite web|url=http://noticiasdequeretaro.com.mx/informacion/noticias/22/88/opinion/2014/07/28/78674/a-vuela-pluma-cuatrocientos-ochenta-y-tres-anos-nos-observan.aspx|title=''A VUELA Pluma (Cuatrocientos ochenta y tres años nos observan)''|date=2014-07-28|accessdate=2014-11-29}}</ref>。
 [[グアナフアト]]や[[ケレタロ]]といった地名の語源はタラスコ語によって解釈する事が可能である。例えば、前者は&quot;{{lang|pua|kuanhasï}}&quot;<[[カエル]]>と&quot;{{lang|pua|juáta}}&quot;<[[山]]>の合成語で<カエルがいる山がちな場所>と解釈する事が出来、また後者は&quot;{{lang|pua|k'éri}}&quot;<大きな>と&quot;{{lang|pua|ireta}}&quot;<集落>に<場所>を表す&quot;{{lang|pua|-rhu}}&quot;を足し合わせ&quot;{{lang|pua|K'erietarho}}&quot;<大きな集落に>、もしくは&quot;{{lang|pua|kérenda}}&quot;<[[岩]]>と&quot;{{lang|pua|-rhu}}&quot;で&quot;{{lang|pua|Kerendarhu}}&quot;<岩場に>等と解する事ができる<ref>{{Cite web|url=http://noticiasdequeretaro.com.mx/informacion/noticias/22/88/opinion/2014/07/28/78674/a-vuela-pluma-cuatrocientos-ochenta-y-tres-anos-nos-observan.aspx|title=''A VUELA Pluma (Cuatrocientos ochenta y tres años nos observan)''|date=2014-07-28|accessdate=2014-11-29}}</ref>。


==音声==
==音声==


===母音===
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* [[Wikt:tsïtsïki|ts'''ï'''ts'''ï'''ki]] <[[花]]>
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==表記体系==
==表記体系==
 タラスコ語の表記は[[ラテン文字]]によってなされる。但し、[[16世紀]]のヒルベルティの辞書と[[20世紀]]以降とでは表記の内容に差が見られる。たとえば、<[[手]]>を表す言葉はヒルベルティの辞書においては[[スペイン語]]の[[正書法]]に則り&quot;hahqui&quot;<ref name="mg1559"></ref>と表されているが、2007年の語彙集においては&quot;{{lang|pua|jájki}}&quot;<ref name="ml2007"></ref>と表されている。また、ヒルベルティの辞書においては特定の同じ語であっても20世紀以降のタラスコ語に見られる帯気音などが表されていない場合がある(語例: &quot;patamu&quot; → &quot;{{lang|pua|[[Wikt:p'atamu|p'atamu]]}}&quot; [[ヨシ|葦]]」)
 タラスコ語の表記は[[ラテン文字]]によってなされる。但し、[[16世紀]]のヒルベルティの辞書と[[20世紀]]以降とでは表記の内容に差が見られる。たとえば、<[[手]]>を表す言葉はヒルベルティの辞書においては[[スペイン語]]の[[正書法]]に則り&quot;hahqui&quot;<ref name="mg1559"></ref>と表されているが、2007年の語彙集においては&quot;{{lang|pua|jájki}}&quot;<ref name="ml2007"></ref>と表されている。また、ヒルベルティの辞書においては特定の同じ語であっても20世紀以降のタラスコ語に見られる帯気音などが表されていない場合がある(語例: &quot;patamu&quot; → &quot;{{lang|pua|[[Wikt:p'atamu|p'atamu]]}}&quot; [[ヨシ|葦]]>)


===アルファベット===
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===動詞===
===動詞===
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* [[動詞]]の不定形は&quot;{{lang|pua|-ni}}&quot;で終わる(例: &quot;[[Wikt:exeni|exe'''ni''']]&quot;<見る>; &quot;[[Wikt:pireni#タラスコ語|pire'''ni''']]&quot;<歌う>)。
* [[動詞]]の不定形は&quot;{{lang|pua|-ni}}&quot;で終わる(例: &quot;[[Wikt:exeni|exe'''ni''']]&quot;<見る>; &quot;[[Wikt:pireni#タラスコ語|pire'''ni''']]&quot;<歌う>)。


===形容詞===
===形容詞===
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* {{Cite book|last=Gilberti|first=Maturino|year=1559|title=Diccionario de la lengua Tarasca ó de Michoacán|ref=harv}}
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* [[ジャン=マリ・ギュスターヴ・ル・クレジオ|ル・クレジオ]] 原訳・序、[[望月芳郎]] 訳『チチメカ神話―ミチョアカン報告書―』新潮社、1987年。ISBN 4-10-515002-2
* [[ジャン=マリ・ギュスターヴ・ル・クレジオ|ル・クレジオ]] 原訳・序、[[望月芳郎]] 訳『チチメカ神話―ミチョアカン報告書―』新潮社、1987年。ISBN 4-10-515002-2
* {{Cite web|last=Lathrop|first=Maxwell|year=2007|url=http://www-01.sil.org/mexico/tarasca/G026-VocabularioPurepecha-tsz.pdf|title=''VOCABULARIO DEL IDIOMA PURÉPECHA''|accessdate=2014-11-29|ref=harv}}
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==関連項目==
==関連項目==
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* {{Ethnologue|code=pua|label=Western Highland Purepecha}}
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;タラスコ語学習サイト:
;タラスコ語学習サイト:
* {{Es icon}} [http://purhepecherka.tripod.com/id8.html ''Federacion Purhepecha California'']. {{Accessdate|2014-11-29}}
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* {{Es icon}} [https://archive.org/details/diccionariodelal00gilbuoft ''Diccionario de la lengua Tarasca ó de Michoacán (1559)'' の復刊の電子版。] {{Accessdate|2014-11-29}}
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2014年11月29日 (土) 17:04時点における版

タラスコ語(プレペチャ語)
P'urhépecha
発音 IPA: [pʰuˈɽepet͡ʃa]
話される国 メキシコの旗 メキシコ
地域 ミチョアカン州
民族 タラスコ族
話者数 13万6388人(2000年)[1]
13万5000人(2005年)[2]
12万4494人(2010年)[1]
言語系統
表記体系 ラテン文字
言語コード
ISO 639-1 -
ISO 639-2 -
ISO 639-3 各種:
pua — 西山地プレペチャ語
tsz — プレペチャ語
消滅危険度評価
Vulnerable (Moseley 2010)
テンプレートを表示

タラスコ語あるいはプレペチャ語P'urhépecha)とは、メキシコミチョアカン州パツクァロ (enおよびその周辺で暮らす先住民(インディヘナ)タラスコ族の言語である。

分類

 ISO 639-3による分類では「西山地プレペチャ語」と「プレペチャ語」の二種類の言語があり、この二者が「タラスコ語族」を形成するとしている。しかし、一方では両者を一つの言語と見る向きもあり、この場合は「孤立した言語」という扱いとなる。

歴史

 タラスコ語の辞書は、少なくとも二種類が知られている。一つはフランス出身のフランシスコ会会士マトゥリノ・ヒルベルティ (esの手により1559年に出版された"Diccionario de la lengua Tarasca ó de Michoacán"で、もう一つはパブロ・ベラスケス・ガリャルド(Pablo Velásquez Gallardo)の手による"Diccionario de la lengua phorhepecha: Español-Phorhépecha, Phorhépecha-Español"1978年)である。

地名に関して

 グアナフアトケレタロといった地名の語源はタラスコ語によって解釈する事が可能である。例えば、前者は"kuanhasï"<カエル>と"juáta"<>の合成語で<カエルがいる山がちな場所>と解釈する事が出来、また後者は"k'éri"<大きな>と"ireta"<集落>に<場所>を表す"-rhu"を足し合わせ"K'erietarho"<大きな集落に>、もしくは"kérenda"<>と"-rhu"で"Kerendarhu"<岩場に>等と解する事ができる[3]

音声

母音

 基本的な母音は[a], [e], [i], [ɨ][4], [o], [u]の六種類である。このうち[ɨ]非円唇中舌狭母音)は[s][ts]の後に現れる傾向が強い。

語例:

子音

 子音には帯気音とそうではない音との区別が存在する。また、有声音は基本的に鼻音の後にしか現れない。

語例:

アクセント

表記体系

 タラスコ語の表記はラテン文字によってなされる。但し、16世紀のヒルベルティの辞書と20世紀以降とでは表記の内容に差が見られる。たとえば、<>を表す言葉はヒルベルティの辞書においてはスペイン語正書法に則り"hahqui"[6]と表されているが、2007年の語彙集においては"jájki"[5]と表されている。また、ヒルベルティの辞書においては特定の同じ語であっても20世紀以降のタラスコ語に見られる帯気音などが表されていない場合がある(語例: "patamu" → "p'atamu" <>)。

アルファベット

表記[5][8]
A B Ch Ch' D E G I Ï J K K' M N Nh O P P' R Rh S T T' Ts Ts' U X
a b ch ch' d e g i ï j k k' m n nh o p p' r rh s t t' ts ts' u x
音価
a b t͡ʃ t͡ʃʰ d e g i/j ɨ x k m n ŋ o p ɾ ɽ s t t͡s t͡sʰ u/w ʃ

文法

名詞

  • 名詞の複数形を作る場合には"-cha"という接尾辞をつける。また、接尾辞"-rhu"が語尾に付くと、<~という場所で>の意味を表す(例: "auandarhu"<空>)。

動詞

  • 動詞の不定形は"-ni"で終わる(例: "exeni"<見る>; "pireni"<歌う>)。

形容詞

言語文化

  • ピレクア (en(「歌」の意)という伝承歌が知られている。

脚注

  1. ^ a b ORGULLOSAMENTE MEXICANO: IDENTIDAD NACIONAL”. 2014年11月30日閲覧。
  2. ^ エスノローグにおける2005年の「西山地プレペチャ語」の話者数は13万5000人「プレペチャ語」は同年4万人となっている。
  3. ^ A VUELA Pluma (Cuatrocientos ochenta y tres años nos observan)” (2014年7月28日). 2014年11月29日閲覧。
  4. ^ なお、Lathrop (2007)においてはこの音は[ə]中舌中央母音)で表されている。
  5. ^ a b c Lathrop (2007)
  6. ^ a b Gilberti (1559)
  7. ^ ル・クレジオ、1987年。
  8. ^ CURSO DE LENGUA P'URHÉPECHA 2014年11月29日閲覧。

参考文献

関連項目

外部リンク

タラスコ語学習サイト:
辞書サイト: