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'''ミオシン'''({{Lang-en-short|myosin}}<ref>{{Cite book|和書
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== 概要 ==
ミオシンIIは2本ずつの重鎖 (Heavy chain) と個々の重鎖に2本ずつの軽鎖 (Light chain) の合計6本のポリペプチド鎖からなる複合体である。はじめは[[骨格筋]]から単離された。[[筋繊維]]に多量に存在し[[筋肉]]の収縮等に関与するほか、様々なタイプのミオシンがあり、細胞の移動や[[細胞分裂]]にも関わっていることが明らかにされている。筋収縮ではII型ミオシンが関与している。
ミオシンIIは2本ずつの{{仮リンク|重鎖|en|Heavy chain}}個々の重鎖に2本ずつの{{仮リンク|軽鎖|en|Light chain}}合計6本の[[ポリペプチド鎖]]からなる[[複合体]]である。はじめは骨格筋から単離された。[[筋繊維]]に多量に存在し[[筋肉]]の収縮等に関与するほか、様々なタイプのミオシンがあり、[[細胞]]の移動や[[細胞分裂]]にも関わっていることが明らかにされている。筋収縮ではII型ミオシンが関与している。


筋収縮は、ミオシンフィラメントとアクチンフィラメントの構造変化により起こる。まず[[アデノシン三リン酸|ATP]]がミオシンと結合する。[[加水分解]]により[[アデノシン二リン酸|ADP]]と[[リン酸]]に分解される。この分解でミオシンのヘッドの構造が変化し、アクチンに沿って移動し、新たな場所に弱く結合する。すると、リン酸が離れ、さらに強い結合となる。その後、ADPがミオシンから離れ、ミオシンの構造変化による引っ張りが、収縮となる。この機構はさらに細胞質中のカルシウムイオン濃度の変化により制御される。
筋収縮は、ミオシンフィラメントとアクチンフィラメントの構造変化により起こる。まずATPがミオシンと結合する。加水分解により[[アデノシン二リン酸|ADP]]と[[リン酸]]に分解される。この分解でミオシンのヘッドの構造が変化し、アクチンに沿って移動し、新たな場所に弱く結合する。すると、リン酸が離れ、さらに強い結合となる。その後、ADPがミオシンから離れ、ミオシンの構造変化による引っ張りが、収縮となる。この機構はさらに[[細胞質]]中の[[カルシウムイオン]]濃度の変化により制御される。


[[人類の進化]]の過程で、このミオシンの突然変異が顎の筋肉の進化に影響して、結果、他の霊長類と脳の発達において区別しているのではないかと考える学説がある<ref>{{cite journal | author = Stedman HH, Kozyak BW, Nelson A, Thesier DM, Su LT, Low DW, Bridges CR, Shrager JB, Minugh-Purvis N, Mitchell MA.| title = Myosin gene mutation correlates with anatomical changes in the human lineage.| journal = Nature| year = 2004| volume = 428| issue = 6981| pages = 415-8.Click here to read}} PMID 15042088</ref>が、この説に関しては論争もある<ref>[http://www.wired.com/medtech/health/news/2004/03/62807 Docs Drop Jaws Over Gene Mutation] - WIRED.com</ref>。
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== 注 ==
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== 関連項目 ==
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2012年3月30日 (金) 14:59時点における版

ミオシン: myosin[1])は、アクチンを制御するタンパク質である。ミオシンはATPase活性を持ち、ATP加水分解しながら、-端から+端に向かってアクチンフィラメント上を移動するモータータンパク質である。ミオシンが固定されている場合、ミオシンの位置は変わらず、引っぱられてアクチンフィラメントの方が動く。この典型的な例が、骨格筋の収縮である。

概要

ミオシンIIは、2本ずつの重鎖英語版と、個々の重鎖に2本ずつの軽鎖英語版の、合計6本のポリペプチド鎖からなる複合体である。はじめは骨格筋から単離された。筋繊維に多量に存在し、筋肉の収縮等に関与するほか、様々なタイプのミオシンがあり、細胞の移動や細胞分裂にも関わっていることが明らかにされている。筋収縮では、II型ミオシンが関与している。

筋収縮は、ミオシンフィラメントとアクチンフィラメントの構造変化により起こる。まず、ATPがミオシンと結合する。加水分解により、ADPリン酸に分解される。この分解で、ミオシンのヘッドの構造が変化し、アクチンに沿って移動し、新たな場所に弱く結合する。すると、リン酸が離れ、さらに強い結合となる。その後、ADPがミオシンから離れ、ミオシンの構造変化による引っ張りが、収縮となる。この機構は、さらに細胞質中のカルシウムイオン濃度の変化により制御される。

人類の進化の過程で、このミオシンの突然変異の筋肉の進化に影響して、結果、他の霊長類の発達において区別しているのではないかと考える学説がある[2]が、この説に関しては論争もある[3]

脚注

  1. ^ 文部省日本動物学会編『学術用語集 動物学編』(増訂版)丸善、1988年。ISBN 4-621-03256-9http://sciterm.nii.ac.jp/cgi-bin/reference.cgi 
  2. ^ Stedman HH, Kozyak BW, Nelson A, Thesier DM, Su LT, Low DW, Bridges CR, Shrager JB, Minugh-Purvis N, Mitchell MA. (2004). “Myosin gene mutation correlates with anatomical changes in the human lineage” (PDF). Nature (Nature Publishing Group) 428 (6981): 415-418. doi:10.1038/nature02358. ISSN 0028-0836. PMID 15042088. http://sapientfridge.org/chromosome_count/science_papers/myosin_gene_mutation.pdf. 
  3. ^ Docs Drop Jaws Over Gene Mutation” (英語). Wired.com (2004年3月25日). 2012年3月30日閲覧。

関連項目