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音響カプラ

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音響カプラ
電話機との結合例
音響カプラを搭載した端末

音響カプラ(おんきょうカプラ)とは電話機の受話器へスピーカーマイクロフォンを用いて音響結合し、データ通信を行う通信機器である。通信端末が自由化されていない国々や内線電話の特殊な回線インターフェースなどでモデム電話回線に直接接続できない場合に一旦音声に変換することによって、公衆交換電話網を利用してコンピュータ間の通信を可能にするものである。

モデムとの間は専用コードで接続し、電話機の受話器を音響カプラ本体にはめ込む。発信操作は、接続した電話機のダイヤルを手動で回す方法で利用する。この構造のため周りの振動や騒音に弱く、安定度も低い。初期の通信速度は300bps程度で、1989年頃には1200bps - 2400bps[1]、2005年現在では28.8Kbpsの製品が市販されている。現在も、電話網が十分整備されていない国や地域においては重宝されている通信手段でもある。

日本での歴史

1980年代前半、公衆交換電話網へのモデムの接続には制度的な制約が多く、加入者線を利用したデータ通信にはNCU(Network Control Unit)と呼ばれる網制御装置か音響カプラが利用されていた。

1985年に技術認定を受けた端末設備が自由に一般加入者線に接続できるようになり安定してデータ通信のできるNCUを内蔵したモデムが一般に使用されるようになったため、1989年頃にはあまり使用されなくなった[1]。以降はハンドヘルドコンピュータ等から、営業マンが出先の公衆電話を利用しての営業データを送信する等の用途に使われることが多かった。

その後、モジュラージャックでモデムが直結できるISDN対応公衆電話の整備、PHS携帯電話無線アクセスによるインターネット接続対応、ホテルなどのインターネット対応、公衆無線LANなどデータ通信環境が整備され、一般には殆どその役目を終えた。しかし、「アナログ一般電話や公衆電話はあるがモジュラージャックは存在せず、一般の無線アクセス環境が全てサービスエリア圏外」のような状況下では衛星電話やホテル等設備での固定通信利用、または音響カプラの他には外出時のデータ通信手段は存在しないという事になる。

2005年現在、用途が限られているが28.8Kbpsのものも発売されている。

脚注

  1. ^ a b ピクニック企画, 堤大介, ed. (1 March 1990). "音響カプラー". 『電脳辞典 1990's パソコン用語のABC』. ピクニック企画. p. 27. ISBN 4-938659-00-X

関連項目