野口喜一郎
のぐち きいちろう 野口 喜一郎 | |
|---|---|
| 生誕 |
1887年9月18日 北海道小樽市 |
| 死没 | 1972年2月11日（84歳没） |
| 住居 | 北海道小樽市 |
| 国籍 |
 日本 |
| 出身校 | 小樽中学校 |
| 活動拠点 | 北海道小樽市 |
| 前任者 | 野口吉次郎 |
| 後任者 | 野口誠一郎 |
| 子供 | 野口誠一郎 |
| 親 | 野口吉次郎 |
| 親戚 | 西尾長光（いとこ） |
野口 喜一郎（のぐち きいちろう、1887年〈明治20年〉9月18日 - 1972年〈昭和47年〉2月11日[1]）は、日本の実業家[2]。2015年[3]（平成27年）まで北海道小樽市に存在した酒造会社・北の誉酒造の2代目社長であり、同社創業者である野口吉次郎の次男。北海道小樽市出身[4]。
経歴
小樽中学校（後の北海道小樽潮陵高等学校）卒業後[2]、間もなく旭川市の第7師団に入隊した[5]。除隊後の1908年（明治41年）、父の経営する野口吉次郎商店（後の北の誉酒造）を継ぎ[6]、社長として酒造部門を拡張させた[2]。
1924年（大正13年）、アルコール4社合併の合同酒精に相談役で迎えられ、1929年（昭和4年）から1958年（昭和33年）まで同社社長、1964年（昭和39年）まで会長を務めた[1][2]。1935年（昭和10年）には小樽酒造の組合長も務めたほか[5]、焼酎酒造組合中央会、合成酒組合などの役員としても活躍した[2]。なお酒造関連の実業家でありながら、自身は酒が飲めず、宴会の席では銚子に白湯を入れて飲んでいたという[7]。
酒造以外の実業として、1916年（大正5年）には北海道で最初のホテルである北海ホテルの建設に参加し、1920年（大正9年）には北樺太での北洋商行の設立や、北海ホテル旭川支店の建設にも携わった[4]。1931年（昭和6年）の札樽自動車道の改修と平磯岬のトンネル開通にあたっては、東小樽地区の40万坪もの大規模な都市開発に取り組んだ。小樽の観光名所の一つである銀鱗荘は、当初は余市町に建設されたが、この開発に伴い野口が買い取り、眺望の良い平磯岬に移築されて現在に至っている[8]。
小樽市内のスキージャンプ台「樽中シャンツェ」「小樽シャンツェ」建造の敷金を援助し、自身の敷地内に建造した「小樽記念シャンツェ」を市に寄贈するなど、地元還元にも尽くした[7][9]。後に地域社会への貢献に対し、小樽市功労者の称号が贈られた[2]。また、芸術を愛する一面もあり、若い画家たちへは惜しみない援助を与え、作品を購入して自邸に飾っていた。その中には、日本水彩画会研修所小樽支部の設立に参加した平沢貞通の初期の代表作もあった[10]。
1972年、満84歳で死去[1]。没後は息子の野口誠一郎が3代目、孫（誠一郎の子）の野口禮二が4代目を継いだ[7]。また野口自らが設計を手掛けた自邸の和光荘は、小樽を代表する建築物の一つとして後に伝えられている[7]。
脚注
- ^ a b c 『日本人名大辞典』上田正昭他監修、講談社、2001年12月6日、1464頁。ISBN 978-4-06-210800-3。2018年5月6日閲覧。
- ^ a b c d e f 日外アソシエーツ編 編『20世紀日本人名事典』 下、日外アソシエーツ、2004年7月26日、1936頁。ISBN 978-4-8169-1853-7。2018年5月6日閲覧。
- ^ 山岡正和他「北の誉酒造 工場と「酒泉館」閉鎖へ 創業の地 惜しむ声」『北海道新聞』北海道新聞社、2015年10月16日、樽A朝刊、24面。
- ^ a b “昭和の産業史その7”. 流山市 (2017年9月15日). 2018年5月6日閲覧。
- ^ a b 脇哲「小樽豪商列伝」『月刊おたる』第17号、月刊おたる社、1965年11月1日、49頁、NCID AA11792438。
- ^ STVラジオ編 編『ほっかいどう百年物語 北海道の歴史を刻んだ人々──。』 第5集、中西出版、2004年12月27日、223頁。ISBN 978-4-89115-134-8。
- ^ a b c d 西山由佳子「日曜インタビュー 野口礼二さん(56) 北の誉酒造の創業家出身の新社長」『北海道新聞』、2004年2月29日、樽B朝刊、35面。
- ^ “長昌寺の坂と銀鱗荘”. 小樽市 (2009年). 2018年5月6日閲覧。
- ^ 『小樽スキー連盟100周年記念誌』（PDF）小樽スキー連盟、2013年9月7日、35頁。2018年5月6日閲覧。
- ^ 「平沢貞通初期の風景画 84年前に入手、保管 小樽「和光荘」」『読売新聞』読売新聞社、2006年7月4日、東京夕刊、12面。