重版
重版(じゅうはん)は、出版物を初版と同じ版を使い、同じ判型・装幀にて刷り直すこと。重刻(じゅうこく)または再版(さいはん)ともいう。「増刷・重刷」とほぼ同義。重版が出来上がってその書籍が販売されることを「重版出来」(じゅうはんしゅったい)という[1]。
日本では、江戸時代の木版のときには、そのままの版木を使って刷り直すことが普通であった。ただし、挿絵などで、薄墨を使ったぼかしなどは、再版のときには再現されないことが多く、それを基準に版の前後を判定することも可能である。版木は出版者の財産として、大切に保管された。
明治になって活版印刷が一般的になると、重版のたびに活字を組み直していたら効率が悪いため、一度組み上がった版面を、型の残る強い紙質の紙に押し付けて、型を取ることにした。これを紙型(しけい)と呼んだ。重版の際には、紙型に鉛を流し込んで、組み上がった版面を再現するものだった。
重版出来
「重版出来」(じゅうはんしゅったい)とは、初版の発行部数を上回って、更に発行することを表す言葉で、「重版するくらいの出来」とする意味が込められる[2]。重版ありきで初版を抑えるケースもあると言われる[2]。また、2013年、松田奈緒子は漫画『重版出来!』で、漫画が出版されるまでの出版業界についてを描いた[3]。
21世紀の日本において、重版出来を「じゅうはん・でき」と誤読する例が確認された[1]。『週刊少年ジャンプ』2013年16号の『クロス・マネジ』では、「じゅうはんでき」とルビが振られた[4]。出版業界の業界用語としては、「でき」という誤読に厳しい会社や、逆に「でき」と読むようにしている会社があり、それは版元の企業文化により違う[4][2]。
出典
- ^ a b 坪井直樹. “vol.4 業界用語シリーズ 〜重版出来〜”. 『にほんご学習帳』. TV朝日. 2015年12月20日閲覧。
- ^ a b c “『重版出来』の読み方と意味とウラ事情”. Webマガジン KOTB[コトビー] (2015年3月22日). 2015年12月20日閲覧。
- ^ “松田奈緒子が出版業界の裏方仕事を描く「重版出来!」1巻”. コミックナタリー (Natasha,Inc.). (2013年3月29日) 2015年12月20日閲覧。
- ^ a b “WJで「重版出来」に「じゅうはんでき」とルビが振られたことから、「でき」をめぐる考察に”. ネルヤ (ネルヤ (nelja)). (2013年3月19日) 2015年12月20日閲覧。