酸化タングステン(VI)
酸化タングステン(VI) | |
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三酸化タングステン | |
別称 三酸化タングステン | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 1314-35-8 |
RTECS番号 | YO7760000 |
特性 | |
化学式 | WO3 |
モル質量 | 231.84 g/mol |
外観 | 黄色の粉末 |
密度 | 7.16 g/cm3 |
融点 |
1473 °C |
沸点 |
~1700 °C |
水への溶解度 | 不溶 |
他の溶媒への溶解度 | アルカリ性溶液には溶け、酸性溶液には若干溶ける |
構造 | |
結晶構造 | 単斜晶系 |
配位構造 | 三角平面 |
危険性 | |
安全データシート(外部リンク) | External MSDS |
主な危険性 | 目、皮膚、呼吸器官、消化器官を刺激 |
Rフレーズ | R22, R36/37/38 |
Sフレーズ | S26, S36 |
引火点 | N/A |
関連する物質 | |
関連物質 | WO2, H2WO4 (タングステン酸) |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
酸化タングステン(VI)(Tungsten(VI) oxide)または三酸化タングステン(tungsten trioxide)、無水タングステン酸(tungstic anhydride)は、化学式がWO3の無機化合物である。鉱物からのタングステン回収時の中間体として得られる[1]。タングステン鉱石はWO3を作るために、アルカリで処理される。さらに、炭素もしくは水素ガスを三酸化タングステンに反応させることによって純粋な金属タングステンに還元される。
2WO3 + 3C + heat → 2W + 3CO2
WO3 + 3H2 + heat → W + 3H2O
酸化タングステン(VI)は天然には、重石華(WO3・H2O)、メイマカイト(WO3・2H2O)、加水重石華(組成はメイマカイトと同じだが組成式はH2WO4と書かれる)のように水和物の形で存在する。これらの鉱物は非常に稀少である。
合成
CaWO4または灰重石を塩酸と反応させ、高温で水と反応してWO3に分解するタングステン酸を作る[1]。
CaWO4 + 2HCl → CaCl2 + H2WO4
H2WO4 + heat → H2O + WO3
酸化条件でパラタングステン酸アンモニウム(APT)を焼成することによって合成することもできる[2]。
(NH4)10[H2W12O42]・4H2O → 12 WO3 + 10NH3 + 11H2O
構造
三酸化タングステンの結晶構造は温度に依存する。740℃以上では正方晶系、330℃から740℃では斜方晶系、17℃から330℃では単斜晶系、-50℃から17℃では三斜晶系となる。WO3の一般構造は空間群がP21/nの単斜晶である[2]。
用途
三酸化タングステンは日常生活において様々な用途で使われている。X線スクリーンの蛍光面や建物の不燃加工に使われるタングステン酸塩が三酸化タングステンから工業的に製造されている[3]。鮮やかな黄色をしているため、陶磁器や顔料にも使われる[1]。
最近では、三酸化タングステンはエレクトロクロミックウインドウやスマートウインドウの製造に採用されている。これらウインドウは光の透過性を電荷の印加によって切り替えることができる[4]。
脚注
- ^ a b c Patnaik, Pradyot. Handbook of Inorganic Chemicals. New York: McGraw-Hill, 2003.
- ^ a b Lassner, Erik and Wolf-Dieter Schubert. Tungsten: Properties, Chemistry, Technology of the Element, Alloys, and Chemical Compounds. New York: Kluwer Academic, 1999.
- ^ "Tungsten trioxide." The Merck Index Vol 14, 2006.
- ^ Lee, W.J.; Fang, Y.K.; Ho, J.; Hsieh, W.T.; Ting, S.F. J. Electron. Mater. 2000, 29 (2), 183.