酒乱
酒乱(しゅらん)は、アルコール摂取に伴う意識障害。突然、飲酒をきっかけに性格が変わり粗暴な発言や、無意味または理不尽な暴力行為に及ぶなど。飲酒はスイッチ的なものであり、酒乱の度合いは酒量に比例しないことがある。時間が経過し、酔いがさめれば過去の発言や暴力行為を記憶していないことも多い。
概要
飲酒により、大脳皮質が麻痺することにより道徳的な規範などが守れなくなる。酒乱の基盤や誘因には、体内のアセトアルデヒド脱水素酵素およびアルコール脱水素酵素の遺伝子型[1]のほかアルコール依存症、脳器質性障害、ストレス、肉体疲労などが挙げられる。アルコールの血中濃度に対応しない著しい興奮や幻覚などの精神症状を伴うため、Binderの酩酊分類では単純酩酊とは異なり異常酩酊(病的酩酊)として分類される。善悪の判断のつかない状況で、事故や事件を生じさせる危険性が高いため、断酒をすることが勧められる[2]。
帝京科学大学の眞先敏弘『酒乱になる人、ならない人』(新潮新書)2003年によれば、酒乱になりやすい要因には、環境的なものと遺伝的な要因とがあるという。
歴史上の人物
- 稲葉通重 - 美濃清水藩藩主であったが、酒乱による乱暴行為により改易。
- 溝口政親 - 越後沢海藩藩主であったが、家臣より酒乱として訴えられ改易。
- 芹沢鴨 - 新選組局長であったが、角屋での暴挙など酒席での乱暴を働く。後に泥酔時に暗殺される。
- 黒田清隆 - 開拓長官時代、酔って小樽市沖合の船上から大砲を撃ち沿岸の民家を破壊して死者を出すなど。
脚注
- ^ “原因は遺伝子? 酒乱になる人とならない人、何が違う”. 日経gooday. 2018年7月23日閲覧。
- ^ “e-ヘルスネット 酔い方の異常”. 厚生労働省. 2018年7月23日閲覧。