芽殖孤虫
芽殖孤虫 Sparganum proliferum | ||||||||||||||||||||||||
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分類 | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Sparganum proliferum (Ijima, 1905) Stiles, 1908[1] | ||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||
芽殖孤虫 |
芽殖孤虫(がしょくこちゅう、英:Sparganum proliferum)は、ヒトに寄生する人体寄生虫の1種。条虫綱擬葉目裂頭条虫科に属する扁形動物。成虫は同定されていないため、孤虫の名が付けられている。
特徴
移動性の腫瘤を形成し患者から摘出された虫体は数〜10数mmで不定形である。かつてはマンソン裂頭条虫にある種のウイルスが感染したものという報告がなされたが、遺伝子解析の結果、マンソン裂頭条虫に近縁ではあるが異なるものであることがわかっている。
発症者には両生類、爬虫類の喫食経験者が多い事から両生類、爬虫類が原因となっている可能性を示唆している。
分布
報告も少なくはっきりしたことはわかっていないが、日本での感染報告例が多い。2000年の時点で14例の症例が報告されている。そのいずれもが死亡例であり、内訳は日本が6例、台湾3例、アメリカ2例、カナダ、パラグアイ、ベネズエラが各1例である。
生活史
成虫が発見されていないため、生活史は全く不明である。
ヒトに寄生した場合、体内では成虫にはなれないため、幼虫移行症を起こす。また、この類ではよくある事であるが、幼虫のままで宿種体内で分裂して増殖する。
宿主
ヒトの体内では成虫になれないため、他に終宿主が存在すると思われるが、全く不明である。ヒトへの感染経路が不明であるため、ヒト以外の中間宿主も明確ではない。
症状
寄生した幼虫は皮下で増殖し、やがて全身の皮膚に膨隆が見られるようになり、内臓や脳へ至り慢性化する。臓器や脳の破壊により、喀血、嘔吐、下痢、腹痛、胸痛、脳障害などさまざまな症状を呈する。
治療法
治療法は確立していない。幼虫移行症を起こす寄生虫は手術で幼虫を摘出するしかないのだが、芽殖孤虫は幼虫が分裂するためにそれも困難。つまり今のところ致死率は100%である。
予後
現在のところ、芽殖孤虫に感染した患者を救命できたという報告はない。
脚注・参考文献
- 倉持利明. “謎の寄生虫 第五話”. 2011年5月9日閲覧。
- わが国におけるマンソン孤虫症患者発生の現状 国立感染症研究所
外部リンク
- 長期間にわたって寄生したマンソン孤虫症の1例皮膚の科学 Vol.9 (2010) No.1 P82-86, JOI:JST.JSTAGE/skinresearch/9.82
- マンソン裂頭条虫 食品安全委員会