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感作

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
脱感作から転送)

感作(かんさ、sensitization)とは、繰り返される刺激によって、それに対しての反応が徐々に増大していく非連合学習プロセスである[8]。感作はしばしば、反復刺激であるというだけではなく、刺激のグループ全体に対しての応答強化として特徴付けられる。たとえば痛みを伴う刺激が繰り返されると、騒音に対してより敏感に受け取るようになるようなことである。

また脱感作(だつかんさ、desensitization)とは、ネガティブ、嫌悪的、ポジティブな刺激に繰り返し暴露されることによる感情的な反応と定義される。またそれは、とある感情に関連した行動傾向が、実際には無関係または不必要であると判明しながらも、その感情反応が繰り返し誘発される場合にも起こる。脱感作とは、主に個人が恐怖や不安を察知できないように変化していくプロセスであり、心理学者メアリー・カバー・ジョーンズによって発見された[9][10]ジョセフ・ウォルプ英語: Joseph Wolpe(1958)は、不安を引き起こす刺激について段階的なリストを開発し、患者はそれを順を追って克服していくとした[11]不安恐怖症などの管理には薬物療法も存在するが、経験的証拠によれば、脱感作はそれらへの治療率が高く、とりわけ抑うつ統合失調症の患者に対して有効とされる [12]

医学領域

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医学領域における感作とは、免疫系に生じる特異的・適応的な獲得免疫をする現象である。この反応によりさまざまなアレルギーを生じる。

脚注

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  1. ^ “Chapter 15: Reinforcement and Addictive Disorders”. Molecular Neuropharmacology: A Foundation for Clinical Neuroscience (2nd ed.). New York: McGraw-Hill Medical. (2009). pp. 364–375. ISBN 9780071481274 
  2. ^ Nestler EJ (December 2013). “Cellular basis of memory for addiction”. Dialogues Clin. Neurosci. 15 (4): 431–443. PMC 3898681. PMID 24459410. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3898681/. 
  3. ^ Glossary of Terms”. Mount Sinai School of Medicine. Department of Neuroscience. 9 February 2015閲覧。
  4. ^ “Neurobiologic Advances from the Brain Disease Model of Addiction”. N. Engl. J. Med. 374 (4): 363–371. (January 2016). doi:10.1056/NEJMra1511480. PMID 26816013. 
  5. ^ 中村春香、成田健一「嗜癖とは何か-その現代的意義を歴史的経緯から探る」『人文論究』第60巻第4号、2011年2月、37-54頁、NAID 120003802584 
  6. ^ 世界保健機関 (1957). WHO Expert Committee on Addiction-Producing Drugs - Seventh Report / WHO Technical Report Series 116 (pdf) (Report). World Health Organization. pp. 9–10.
  7. ^ 世界保健機関 (1994) (pdf). Lexicon of alchol and drug term. World Health Organization. pp. 6. ISBN 92-4-154468-6. http://whqlibdoc.who.int/publications/9241544686.pdf  (HTML版 introductionが省略されている
  8. ^ Shettleworth, S. J. (2010). Cognition, Evolution and Behavior (2nd ed.). New York: Oxford 
  9. ^ Stolerman, Ian (2010). Encyclopedia of Psychopharmacology. Berlin Heidelberg: Springer 
  10. ^ T.L. Brink (2008) Psychology: A Student Friendly Approach. "Unit 6: Learning." pp. 101
  11. ^ Coon (2008). Psychology: A Journey. USA: Thomson Wadsworth Corporation 
  12. ^ Nemeroff, C.B. (2001). The Corsini Encyclopedia of Psychology and Behavioral Science. Canada: John Wiley & Sons 

関連項目

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