脊椎側彎症

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手術前後の少女のX線写真(正面から撮影、当時16歳)

脊椎側湾症(せきついそくわんしょう)とは、脊椎(背骨)が側方に湾曲する病気である。「脊柱側湾症」(せきちゅう-)や、「側彎」表記も多く見られる。

側方への湾曲以外に、前後に湾曲した後彎症もある。


概要

脊椎とは、正常な状態であればまっすぐに伸びているものであるが、この病気の場合には、側方(横方向)に湾曲していたり、脊椎がねじれている。痛みを伴うことは稀なため初期における発見は難しく、ある程度成長してしまってから気がつく場合が多い。肩やウェストの高さが左右で違うなどの外見上の問題の他、高度の湾曲になると、腰背部痛に加えの圧迫と変形による呼吸器障害・循環器障害など内臓にも影響を及ぼしたり、皮下脂肪型肥満の女児でもなりやすい。

日本では1980年(昭和55年)年頃より小学5年生や中学1年生を対象にしたモアレ検査による検診が普及し、早期発見が可能になった。およそ1:7の割合で、女子に多く発症する。

原因

原因の分からない「特発性側湾症」が大部分を占めている。発症時期により、

  • 乳幼児側湾症
  • 学童期側湾症
  • 思春期側湾症

に細分され、10代初期に発症する思春期側湾症が最も多い。

原因の特定ができているものとして、

  • 先天性側湾症 - 先天的または発育段階に生じた脊椎の異常による発症
  • 神経原性側湾症 - 脊髄の異常による発症
  • 筋原性側湾症 - 筋肉の異常により正常な姿勢を保てないことによる発症
  • 間葉性側湾症 - マルファン症候群にみられる
  • 神経線維腫症
  • 外傷性側弯症

があげられる。

治療

装具による矯正の例(56度から27度に改善)

湾曲の大きさ(コブ角/Cobb angle)を測り、おおむね

  • 軽度(30度未満)
  • 中度(30度以上50度未満)
  • 高度(50度以上)

に分類され、定期的なレントゲン撮影による経過観察の他、25度以上では装具(コルセット)による維持療法、さらに高度では手術をすることとなる。手術ではスクリューやロッドを挿入して、脊柱を矯正する。いずれの場合も湾曲が完全になくなる(完治する)ことは無い。

民間療法である整体カイロプラクティックヨガなどで、腰背部痛などが緩和される場合があるものの、側湾角度の改善・完治に関して医学的な根拠は無いとされる。日本側彎症学会も民間療法が無効であるとの立場を取っている。

参考文献

関連項目

外部リンク


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