素数階乗

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階乗(黄色)と素数階乗(赤)の値の推移

素数階乗(そすうかいじょう)は n# という記号で表される演算もしくは自然数 n関数であり、2 以上 n 以下の素数総乗をとったものである(ただし n ≧ 2)。例えば 10 以下の素数は 7, 5, 3, 2 であるので、10# = 7 × 5 × 3 × 2 = 210 である。とくに、小さい方から n 番目の素数を pn と書けば、pn# は 2 から pn までの素数の積である。例:3 番目の素数は 5 であるので、p3# = 5# = 5 × 3 × 2 = 30.

数学的性質

  • 5# 以上の素数階乗数は全て一の位が 0 であり、十の位は 1, 3, 7, 9 のいずれかに限られる。
5# = 30 以上の数に、7 以上の素数(一の位に 5 を含まない奇数)を掛けても、十の位が 5 や偶数になることはない。
簡単な解説:最大の素数の存在を仮定し、それを pmax とおくと pmax# + 1 は pmax 以下の約数をもたない。したがって pmax# + 1 は素数であることになるが、これは pmax を最大の素数とした仮定に反する。したがって最大の素数は存在しない。
このように背理法を用いて最大の素数の存在を否定する方法は紀元前から知られていた。
実際には、素数 p に対し p# + 1 は p よりも大きい素数のみの積で表されることになる。一例として、p として 13 を取った場合を示す[1]
p = 13
p# + 1 = 13# + 1 = 30031 = 59 × 509
上記のように 13# + 1 (= p# + 1) は 59 と 509 で素因数分解されるが、59 も 509 も 13 (= p) 以下の数ではなく、13 (= p) よりも大きな素数が得られる。

最初の20個の素数階乗数 pn#

p1# = 2# = 2
p2# =3# = 6
p3# = 5# = 30
p4# = 7# = 210
p5# = 11# = 2310
p6# = 13# = 30030
p7# = 17# = 510510
p8# = 19# = 9699690
p9# = 23# = 223092870
p10# = 29# = 6469693230
p11# = 31# = 200560490130
p12# = 37# = 7420738134810
p13# = 41# = 304250263527210
p14# = 43# = 13082761331670030
p15# = 47# = 614889782588491410
p16# = 53# = 32589158477190044730
p17# = 59# = 1922760350154212639070
p18# = 61# = 117288381359406970983270
p19# = 67# = 7858321551080267055879090
p20# = 71# = 557940830126698960967415390

関連項目

  1. ^ 「13# + 1」は「素数階乗 + 1」が素数にならない最初の数であり、この構成法が素数を探す簡単な方法としては使えないことを示す例(反例)である。一般に大きな数の素数判定や素因数分解は簡単ではない。