火山帯
火山帯(かざんたい、volcanic belt)とは、地質学・火山学上は、プレートの沈み込み帯に海溝と平行に帯状に分布する火山群のこと[1]。一方、日本では過去に国内の火山を地理的な観点から7つの火山帯に区分していたが、火山学的には全く関連のない火山までまとめていることもあり、この7つの火山帯の呼称は使われない傾向にある。
概要
火山帯は、プレートの沈み込み帯に海溝と平行に帯状に分布する火山群のことである[1]。
第四紀以降の地球上の火山をみると、帯状になっていたり、限られた地域に集まって分布している[2]。海洋プレートの沈み込みで海洋地殻から脱水した水がマントルウェッジのかんらん岩の融点を下げ、マグマを形成し、それが地表から噴出することで火山が形成される[1]。こうして形成される火山は沈み込み境界に平行で帯状に分布する火山帯となる[1]。
火山帯をさらに細分する場合は、火山フロントからの距離に応じた細長い火山列(かざんれつ、volcanic chain)に区分するのが合理的である。これは沈み込んだ海洋プレートの到達深度によって発生するマグマの成分が異なるからである。
環太平洋火山帯
太平洋の周縁に分布するものは「環太平洋火山帯」と呼ばれている[2][3]。
ニュージーランド
ニュージーランドの場合、北島の中央部にあるタウポ火山帯の山々などがこれに属する[3]。火山活動や地熱活動が活発でワイラケイは地熱発電で有名なほか、タウポ火山帯の中央部にはワイオタプ地熱帯がある[3]。
日本
日本も大きくは環太平洋火山帯に属する[3]。なお、日本ではかつて、千島、那須、鳥海、富士、乗鞍、白山、霧島などの火山帯の区分があったが、地理的な記載上の便宜が始まりとされ、境界が曖昧なこと、マグマの発生の仕組みとの関係が薄いこと、年代測定や地質調査が進んで火山帯に属しない火山がいくつもあることが明らかになったことなどからこの区分は使われなくなった[4]。日本ではこれらに代わって太平洋プレートが関係するものを東日本火山帯、フィリピン海プレートが関係するものを西日本火山帯と呼ぶようになっている[4]。
脚注
- ^ a b c d 高橋雅紀. “東西日本の地質学的境界【第七話】 火山フロントのずれ”. 産業技術総合研究所. 2019年12月12日閲覧。
- ^ a b 吉川圭三. “霧島火山帯の火山活動(京大防災研究所年報第12号A)”. 京都大学. 2022年3月7日閲覧。
- ^ a b c d “地下資源調査所ニュース vol.6 No.1”. 2022年3月7日閲覧。
- ^ a b “火山学者に聞いてみよう -トピック編-”. 日本火山学会. 2022年3月7日閲覧。