江東官邸

平壌

江東

江東官邸の位置（北朝鮮）

座標: 北緯39度12分05秒東経126度01分14秒 / 北緯39.201381度東経126.020683度 / 39.201381; 126.020683

江東官邸（カンドンかんてい^[1]、강동 관저）は、平壌直轄市江東郡に所在する朝鮮民主主義人民共和国官邸。北朝鮮の最高指導者金正恩の夏の別荘で第2の邸宅^[2]。別名、32号招待所（32ごうしょうたいじょ）^[3]。

立地[編集]

この邸宅は、平壌郊外の江東郡にあり、金日成広場の北東約30キロメートルに位置している^[4] 。わずか1キロメートル北を大同江が流れている^[5]。建物群の敷地全体の規模はおよそ4平方キロメートルである。金正日のボディーガードだった李英国によれば、平壌郊外には少なくとも8つの北朝鮮指導者の邸宅がある^[6]。

解説[編集]

この建物群は1980年代に建設され、1990年代に金正日の命令で拡張された^[7]。金正日、夫人高容姫、妹金敬姫、義弟張成沢のための建物が入っていた^[8]。この地域は、主として夏の住居として休暇を過ごすため^[9]、あるいは、親しい閣僚などとの会合のために使用される^[7]。この地所には、多くの池の周りに手の込んだ庭園があり、ゲストハウスや宴会場も多数ある^[10]。敷地全体が最高レベルの警戒区域となっており、2条の装甲フェンスに囲まれ^[11]、警備員詰所や検問所も付設されている。金正日の料理人であった藤本健二は敷地内のゲストハウスで働きながら生活し、1989年には撮影した写真を公開した^[8]。その後の衛星画像の解析から、2006年には新しい建物や鉄道駅が建設され、この地域が大きく変化したことがわかる^[12]。ある脱北者は、邸宅や檀君陵からそう遠くない香木里（ヒャンモクリ）で金正恩の生家が建設されていると報告しているが^[13]、彼の実際の出生地は平安北道昌城郡である^[14]。

施設[編集]

センター棟、将軍棟（1号棟）ほか^[15]^{[注釈 1]}
家具付き娯楽施設（ボウリング、射撃、ローラースケート）^[8]^[15]^{[注釈 2]}
厩舎と競馬場^[4]
サッカー場^[16]
南4キロメートルに江東飛行場（英語版）^[10]

脚注[編集]

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注釈[編集]

^ 藤本自身は5号棟に寝泊まりしたという^[15]。2号棟は当時、金正日の実妹金敬姫と張成沢の夫婦が使用していた^[15]。
^ 藤本健二によれば、射撃場は、江東官邸のほか、元山官邸、昌城官邸、22号招待所などにもあり、そのなかの屋外射撃場では、標的が米兵や日本兵の人型になっているところがあったという^[3]。

出典[編集]

^ 이, 수경 (2010年1月11日). “김씨 왕조의 실체 김정일의 호화 별장” (朝鮮語). Radio Free Asia 2012年12月12日閲覧。
^ Ramstad, Evan (2009年5月22日). “Gulags, Nukes and a Water Slide: Citizen Spies Lift North Korea's Veil”. The Wall Street Journal 2012年12月12日閲覧。
^ ^a ^b 藤本（2008）p.134
^ ^a ^b “KWP Leadership Compound”. Wikimapia. 2012年12月12日閲覧。
^ Lubin, Gus (2010年6月2日). “House of the Day: The Countless Luxury Mansions Of Kim Jong Il”. Business Insider 2012年12月12日閲覧。
^ Macintyre, Donald (2002年2月18日). “The Supremo in His Labyrinth”. Time Magazine. オリジナルの2010年6月13日時点におけるアーカイブ。 2012年12月12日閲覧。
^ ^a ^b “North Korean Special Weapons Facilities: Command and Control”. Federation of American Scientists. 2012年12月12日閲覧。
^ ^a ^b ^c Han, Young Jin (2005年3月15日). “Kim Jong Il, Where He Sleeps and Where He Works”. DailyNK. オリジナルの2013年5月16日時点におけるアーカイブ。 2012年12月12日閲覧。
^ “Lavish Mansions of the Late North Korean Despot Kim Jong-Il”. Curbed. 2012年12月12日閲覧。
^ ^a ^b Prynne, Miranda (2009年6月21日). “North Korea uncovered: Palaces, labour camps and mass graves”. The Independent 2012年12月12日閲覧。
^ “North Korea by Google Earth: Kim Jong Il’s Largest Palace”. One Free Korea. 2012年12月12日閲覧。
^ “Kim family Kangdong compound updated”. North Korea Economy Watch. 2012年12月12日閲覧。
^ Kim, Yong Hun (2011年7月22日). “Idolization of Kim Jong Eun Began in January 2009”. DailyNK 2012年12月12日閲覧。
^ Shin, Joo Hyun (2010年10月14日). “Kim Jong Eun Birth Manipulation Well Underway”. DailyNK 2012年12月12日閲覧。
^ ^a ^b ^c ^d 藤本（2008）p.184
^ “Where KJI watches football–and recovers from adverse health events”. North Korea Economy Watch. 2012年12月12日閲覧。

参考文献[編集]

藤本健二『金正日の料理人―間近で見た独裁者の素顔』扶桑社〈扶桑社文庫〉、2008年12月。ISBN 978-4-594-05846-3。