江戸家猫八
江戸家 猫八(えどや ねこはち)は、動物の声帯模写をする物真似師の名跡。2代目を除いては、初代の直系により受け継がれている。2代目はラジオで、3・4代目はテレビで人気者となった。
- 俗に初代 江戸家猫八(1868年4月3日 - 1932年4月6日) - 本名:岡田信吉。かつては歌舞伎役者片岡市之助(3代目片岡市蔵門の女形)。2代目の実父が発掘して寄席芸人に転じさせた。3代目柳家小さんの預かり弟子。
- 2代目 江戸家猫八(1912年7月6日 - 1986年5月25日) - 本名:長谷川栄太郎。後に木下華声に改名。
- 3代目 江戸家猫八(1921年10月1日 - 2001年12月10日) - 本名:岡田六郎。初代の六男。
- 4代目 江戸家猫八(1949年11月30日 - 2016年3月21日[1]) - 本名:岡田八郎。3代目の長男。
代外
岡田信吉の猫八や、上方の猫八以前に、鳥獣物真似、声帯模写で売った「三遊亭猫八」という人物が存在した。
三遊亭 猫八(さんゆうてい ねこはち)(1843年 - 1898年7月30日) - 本名:小林弥三郎。初めは大道で飴を売りながら八人芸(動物の鳴きまね)をしたが、後に明治10年代に「東京亭猫八」の名で寄席の高座へ出るようになる。おそらく明治20年代に初代三遊亭圓遊の門に入り、「三遊亭猫八」の名で鳥獣物真似を演じたほか、奇術も演じて人気を取った。
木下華声(2代目猫八)の著書『芸人紙風船』に書かれた、初代の名の由来となった「『猫八』という芸人」は、この三遊亭猫八のことと思われる。
猫八の名は、8種類のネコの鳴き真似をした江戸時代の物乞いの呼び名に由来するという。
別系統
- 上記の岡田信吉系統以前に、上方の江戸家猫三の師匠に、「猫八」を名乗る芸人がいたようである[2]。勝手自称したりしているため事績などは不明。多くは地方廻りの芸人だったようである。
- 猫八(通名:中村弥之助) - 神田同朋町の顔色が黒い人物でカラスのものまねが特に得意であった、ほかにも猫、犬、鶏、木挽屋、附木屋、箔打、糸車。アマガエル、アヒル、牛など得意とした。
- 歯力男の猫八(通名) - 岡田信吉の猫八や三遊亭猫八の猫八と別の人物、歯が強く重いものを口にくわえて喝采呼んでいた見世物小屋の芸人。
- 宗家猫八 - 生没年不詳、本名:橋爪博一。上記の江戸家猫三の師匠。
- 猫遊軒猫八
- 関東猫八
他少なくと計6人はいる。
脚注
- ^ “落語家の四代目江戸家猫八さん死去 66歳”. スポーツニッポン. (2016年3月31日) 2016年3月31日閲覧。
- ^ 丸善出版『ご存じ!! 古今東西噺家紳士録』「桂三玉(江戸家猫三)」の項目
参考文献
- 諸芸懇話会、大阪芸能懇話会共編『古今東西落語家事典』平凡社、ISBN 458212612X
- 木下華声『芸人紙風船』大陸書房