携帯基地地球局

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携帯基地地球局(けいたいきちちきゅうきょく)は、無線局の種別の一つである。

定義

総務省令電波法施行規則第4条第1項第20号の5に「人工衛星局の中継により携帯移動地球局と通信を行うため陸上に開設する無線局」と定義している。 また、第3条第2項第3号には、携帯移動衛星業務を「携帯移動地球局と携帯基地地球局との間又は携帯地球局相互間の無線通信業務」と定義している。

関連する定義が無線設備規則

  • 「携帯移動衛星データ通信」を第3条第8号に「電気通信業務を行うことを目的として開設された携帯基地地球局と携帯移動地球局との間で、主としてデータ伝送のために行われる無線通信及びその無線通信を制御するために行われる無線通信」
  • 「携帯移動衛星通信」を第3条第9号に「電気通信業務を行うことを目的として開設された携帯基地地球局と携帯移動地球局との間で、主として通話のために行われる無線通信及びその無線通信を制御するために行われる無線通信」
  • 「防災対策携帯移動衛星通信」を第3条第9号の2に「公共業務を行うことを目的として開設された携帯基地地球局と携帯移動地球局との間で、主として防災対策のために行われる無線通信及びその無線通信を制御するために行われる無線通信」

とある。

概要

インマルサットワイドスターなどの可搬型衛星電話やデータ通信の親局である。 地上の通信網との接続のための設備も併設されている。地球局の一種であり、携帯移動業務における携帯基地局に相当するものでもある。 具体的には、KDDI山口衛星通信センタースカパーJSAT横浜衛星管制センターのことである。

沿革にみるように従前は基地地球局とよばれ、陸上移動業務における基地局に相当するものであった。 後に携帯移動衛星業務が定義され、携帯基地局に相当するものとなった。 従前は陸上のみで使用されていた可搬型衛星電話などを海上や上空で使えるよう制度を改正した形となる。 これは、電波法令制定時には移動業務の中に携帯移動業務が無く、後に追加された形に似ている

免許

外国籍の者に免許は原則として与えられないことは電波法第5条第1項に定められているが、第2項に例外が列挙され

  • 第8号 電気通信業務を行うことを目的として開設する無線局

が規定されているので、外国籍の者にも免許されることがある。

種別コードTYP。 免許の有効期間は5年。 但し、当初に限り有効期限は4年をこえて5年以内の11月30日 [1] となる。

用途

局数の推移に見るように、電気通信業務用がすべてであったが、防災対策携帯移動衛星通信が定義された後は防災対策用にも使用が開始された。

旧技術基準の機器の免許

無線設備規則スプリアス発射等の強度の許容値に関する技術基準改正 [2] により、旧技術基準に基づく無線設備が免許されるのは「平成29年11月30日」まで [3]、 使用は「平成34年11月30日」まで [4] とされた。

旧技術基準の無線設備とは、

  • 「平成17年11月30日」[5]までに製造された機器
  • 経過措置として、旧技術基準により「平成19年11月30日」までに製造された機器[6]

である。

新規免許は「平成29年12月1日」以降はできないが、使用期限はコロナ禍により「当分の間」延期[7][8]された。

詳細は無線局#旧技術基準の機器の使用を参照。

運用

無線局運用規則第9章 宇宙無線通信の業務の無線局の運用による。

操作

携帯基地地球局は、陸上の無線局であり、電波法施行規則第33条に無線従事者を要しない「簡易な操作」として次にあげられているものを除き、最低でも第二級陸上特殊無線技士以上の無線従事者の管理を要する。

  • 第4号(1) 陸上に開設した無線局の無線設備の通信操作
    • 携帯基地地球局も含まれる。
  • 第8号 その他に別に告示するもの

検査

  • 落成検査は、一部を除き登録検査等事業者等による点検が可能でこの結果に基づき一部省略される
  • 定期検査は、電波法施行規則別表第5号第22号により周期は5年。一部を除き登録検査等事業者等による検査が可能でこの結果に基づき省略される
  • 変更検査は、落成検査と同様である。

沿革

1992年(平成4年) 

  • 基地地球局が「人工衛星局の中継により陸上移動地球局と通信を行うため陸上に開設する無線局」と、陸上移動衛星業務が「陸上移動地球局と基地地球局との間又は陸上移動地球局相互間の無線通信業務」と定義された。[10]
  • 陸上移動衛星データ通信が「電気通信業務を行うことを目的として開設された基地地球局と陸上移動地球局との間で、主としてデータ伝送のために行われる無線通信及びその無線通信を制御するために行われる無線通信」と規定された。[11]

1993年(平成5年)

  • 電波利用料制度化、電波法別表第6第4項の「人工衛星局の中継により無線通信を行う無線局」が適用される。
  • 電気通信業務用および公共業務用以外の基地地球局は無線業務日誌の備付けを要しないものとされた。[12]
  • 毎年一定の告示[13]で定める日が免許の有効期限となった。[14]
    • 以後、免許の有効期限は免許の日から4年を超えて5年以内の11月30日までとなる。

1995年(平成7年) 

  • 基地地球局が携帯基地地球局に、陸上移動衛星業務が携帯移動衛星業務に改められ定義が現行のものとなった。[15]
  • 国内移動衛星通信が「国内通信のための電気通信業務を行うことを目的として開設された携帯基地地球局と携帯移動地球局との間で、主として通話のために行われる無線通信及びその無線通信を制御するために行われる無線通信」と規定された。[16]

1997年(平成9年)- 陸上移動衛星データ通信が携帯移動衛星データ通信に、国内移動衛星通信が携帯移動衛星通信に改められ現行と同様に規定された。[17]

2005年(平成17年)- 携帯移動衛星データ通信と携帯移動衛星通信が改めて定義された。[2]

2009年(平成21年)- 携帯基地地球局は全て無線業務日誌の備付けを要しないものとされた。[18]

2017年(平成29年)- 防災対策携帯移動衛星通信が定義された。[19]

局数の推移
年度 平成13年度末 平成14年度末 平成15年度末 平成16年度末 平成17年度末 平成18年度末 平成19年度末 平成20年度末
総数 9 9 12 13 13 14 17 18
電気通信業務用 9 9 12 13 13 14 17 18
年度 平成21年度末 平成22年度末 平成23年度末 平成24年度末 平成25年度末 平成26年度末 平成27年度末 平成28年度末
総数 22 20 19 25 33 36 40 44
電気通信業務用 19 20 19 25 33 36 40 40
年度 平成29年度末 平成30年度末 令和元年度末 令和2年度末 令和3年度末     
総数 51 58 61 65 66    
電気通信業務用 46 48 51 55 56  
各年度の用途・局種別無線局数[20]による。

脚注

  1. ^ 平成19年総務省告示第429号 電波法施行規則第8条第1項の規定に基づく陸上移動業務の無線局等について同時に有効期間が満了するよう総務大臣が毎年一の別に告示で定める日 第2号(総務省電波利用ホームページ - 総務省電波関係法令集)に12月1日とあることによる。
  2. ^ a b 平成17年総務省令第119号による無線設備規則改正
  3. ^ 平成17年総務省令第119号による無線設備規則改正附則第3条第2項および平成19年総務省令第99号による同附則同条同項改正
  4. ^ 平成17年総務省令第119号による無線設備規則改正附則第3条第1項
  5. ^ 平成17年総務省令第119号による無線設備規則改正の施行日の前日
  6. ^ 平成17年総務省令第119号による無線設備規則改正附則第3条第2項
  7. ^ 無線設備規則の一部を改正する省令の一部改正等に係る意見募集 -新スプリアス規格への移行期限の延長-(総務省報道資料 令和3年3月26日)(2021年4月1日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project
  8. ^ 令和3年総務省令第75号による無線設備規則改正
  9. ^ 平成2年郵政省告示第240号 電波法施行規則第33条の規定に基づく無線従事者の資格を要しない簡易な操作第3項第5号(総務省電波利用ホームページ - 総務省電波関係法令集)
  10. ^ 平成4年郵政省令第53号による電波法施行規則改正
  11. ^ 平成4年郵政省令第55号による無線設備規則改正
  12. ^ 平成5年郵政省告示第217号による昭和35年郵政省告示第1017号改正
  13. ^ 平成5年郵政省告示第601号(後に平成19年総務省告示第429号に改正)
  14. ^ 平成5年郵政省令第61号による電波法施行規則改正
  15. ^ 平成7年郵政省令第58号による電波法施行規則改正
  16. ^ 平成7年郵政省令第60号による無線設備規則改正
  17. ^ 平成9年郵政省令第59号による無線設備規則改正
  18. ^ 平成21年総務省告示第321号による昭和35年郵政省告示第1017号改正
  19. ^ 平成29年総務省令第7号による無線設備規則改正
  20. ^ 用途別無線局数 総務省情報通信統計データベース - 分野別データ

関連項目

外部リンク

情報通信振興会