層雲峡

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層雲峡の位置(日本内)
層雲峡
層雲峡
銀河の滝
流星の滝 (2007/03)
流星の滝 非凍結時 (2006/05)
大函 (2001/07)

層雲峡(そううんきょう)は、北海道上川町にある峡谷である。大雪山国立公園に位置し、石狩川を挟み約24kmの断崖絶壁が続く。大雪山黒岳山麓にある層雲峡温泉は大型ホテルなどが立ち並ぶ北海道有数の規模を誇る温泉街で、層雲峡および大雪山観光の中心地となっている。

みどころ

大函・小函は層雲峡の峡谷美が最も素晴らしい場所である。約3万年前の大雪山の噴火により堆積した溶結凝灰岩が石狩川によって浸食されたことにより形成された、高さ200m前後の柱状節理の断崖を間近に見ることができる。

流星・銀河の滝(ともに日本の滝百選に選定)などといった大小様々な滝も見どころの一つである。かつては国道39号から眺めることができたが、下に述べる出来事により、トンネルが開通してからは旧道(遊歩道兼サイクリングロード)に入らないと見ることができなくなった。

大雪山黒岳(1984m)は、層雲峡温泉の温泉街からロープウェイリフトを乗り継いで7合目まで行け、そこから頂上までは1時間ほどで登ることができる。手軽に登ることができるが、毎年7月まで残雪があり、9月には初雪を迎えるため、それなりの装備が必要である。

大自然の脅威

国道39号線を旭川方面に向かって大函トンネルを過ぎると銀河トンネルという、長さ3,388mのトンネルがある。このトンネルができた経緯は実は自然がもたらした事故による。事故までは、現在の銀河旭川方面に向かって大函トンネルを過ぎると、途中に小函トンネルをはさみながら、石狩川をはさんでそびえ立つ柱状摂理の巨大な岩盤「天城岩」や、「流星の滝」「銀河の滝」、さらに巨大な岩壁が目と鼻の先に迫る「神削壁」などのダイナミックな光景を、車や自転車で見ながら旭川方面または北見方面へ通過することができていた。しかしその反面、落石事故の危険が常に付きまとうこととなっていた。

1987年(昭和62年)6月9日早朝、その天城岩の一部が崩落を起こした。石狩川を完全に埋め尽くし、隣の国道39号線を走っていたトラック2台、サイクリングの集団を直撃し、トラックなどを文字通り「ペシャンコ」に潰す格好となった。人的被害は岩盤の直撃を受けた3名が死亡、重軽傷者が6名という大惨事であった。この事故は「層雲峡小函天城岩崩落災害」とよばれている(上川町史第三巻)。

事故以後国道39号は当該区間が通行止めとなり、全ての車両や人間は、遠軽周りの大きな迂回を強いられた(ちなみに、落石の被害を受けた地点含めた、39号線の当該ルートが完成するまでは、その迂回路とされた道路が本来のルートであった)。なお、崩落の原因は自然に晒され続ける中で必ず起こる「風化」である。

銀河トンネルが完成後、旧道とされた道路は一部(小函トンネルを含む)通行できなくなり、天城岩を含め先述の「流星の滝」「銀河の滝」などのポイントへは、旭川側から銀河トンネル入口の脇を旧道へ入り、定められたポイントまでしかアクセスできない(そこからでも滝や柱状摂理のダイナミックさは充分味わえる)。当然それより奥は車も人間も通行止めである(以前はサイクリングロードとして通行可能であったが、神削壁付近の崩落により封鎖されることになった)。奥に入ることは非常に危険であり、崩落を起こせば大惨事は免れない。

名前の由来

元々、アイヌ語でソウウンベツ(滝の多い川の意)と呼ばれていた。これにちなんで大町桂月1921年(大正10年)に層雲峡と命名。

関連項目

外部リンク