国際協力銀行

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株式会社国際協力銀行(こくさいきょうりょくぎんこう、英称Japan Bank For International Cooperation、略称:JBIC)は、財務省所管の特殊会社

業務内容

日本の健全な発展を確保するとともに、日本が相互依存の進む国際経済社会の健全な発展のため、主体的な役割を担い、民間金融機関の活動を補完・奨励し、また日本企業の戦略的海外投融資を支援することを目的として、金融という手段を通じて以下の業務を行っている[1]

業務分野

  • 日本にとって重要な資源の海外における開発及び取得の促進
  • 日本の産業の国際競争力の維持・向上
  • 国際金融秩序の混乱への対処

業務概要

  • 輸出金融:日本企業による海外へのプラントの輸出並びに技術の提供に必要な資金を、外国政府等の輸入者に融資する。
  • 輸入金融:石油、LNG、鉄鉱石など日本への重要物資の輸入に必要な資金を、外国政府等の輸出者と日本企業等の輸入者に融資する。
  • 投資金融:日本企業による海外での現地生産や資源開発などの事業に必要な資金を、外国政府等や日系合弁企業や中小日本企業に融資する。
  • 事業開発等金融(アンタイドローン):外国政府等が実施する事業に必要な資金を、外国政府等に融資する。これにより日本の貿易や投資などの海外経済活動の事業環境整備を図る。
  • ブリッジローン:国際収支上の困難を抱えた開発途上国政府の外貨資金繰りを手当てするために必要な短期融資を行う。
  • 出資:海外において事業を行う日系合弁企業や日本企業が参加するファンドなどに対する出資を行う。
  • 調査業務:国際協力銀行が行う上記の業務に必要な調査を行う。

会計

2011年5月に株式会社国際協力銀行法が施行された。ここでは業務責任を日本政府がもち、また政府による資金貸付や予算の国会議決が規定されている。また利益は全額国庫納付されるとしている。

沿革

  • 1950年(昭和25年)12月28日、日本輸出銀行が発足。
  • 1952年(昭和27年)4月1日、日本輸出入銀行と改称。
  • 1961年(昭和36年)3月16日、海外経済協力基金が発足。
  • 1999年(平成11年)10月1日、日本輸出入銀行と海外経済協力基金とが統合し、全額政府出資の特殊銀行国際協力銀行が発足。
  • 2008年(平成20年)10月1日、政策金融改革により、国際協力銀行の国際金融部門が株式会社日本政策金融公庫に、海外経済協力部門は独立行政法人国際協力機構にそれぞれ統合。国際協力銀行は日本政策金融公庫の国際金融部門としてその名称を残し、日本の国際政策を担う。
  • 2012年(平成24年)4月1日、株式会社日本政策金融公庫より、分離・独立して、株式会社国際協力銀行となる。

日本政策金融公庫への一時統合と分離・独立

経緯

行政改革、政策金融改革の一環として、以下のプロセスを経て、国際協力銀行が行う国際金融業務の株式会社日本政策金融公庫への統合、海外経済協力業務の独立行政法人国際協力機構への移管が決定された。

  • 2002年(平成14年)12月13日 - 経済財政諮問会議は「政策金融改革について」を決定。
  • 2005年(平成17年)11月29日 - 経済財政諮問会議は「政策金融改革の基本方針」を決定。
  • 2005年(平成17年)12月24日 - 政府は「行政改革の重要方針」を閣議決定。
  • 2006年(平成18年)2月28日 - 「海外経済協力に関する検討会」が報告書を提出。
  • 2006年(平成18年)6月2日 - 「簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律」(平成18年法律第47号)が公布・施行。
  • 2006年(平成18年)6月27日 - 政策金融改革推進本部・行政改革推進本部の合同会議は「政策金融改革に係る制度設計」を決定。
  • 2006年(平成18年)11月15日 - 「独立行政法人国際協力機構法の一部を改正する法律」(平成18年法律第100号)が公布。
  • 2007年(平成19年)2月27日 - 政府は「株式会社日本政策金融公庫法案」および「株式会社日本政策金融公庫法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案」を閣議決定し、同日国会に提出。
  • 2007年(平成19年)5月25日 - 「株式会社日本政策金融公庫法」(平成19年法律第57号)が公布。
  • 2008年(平成20年)10月1日 - 国際協力銀行の国際金融部門が株式会社日本政策金融公庫に、海外経済協力部門は独立行政法人国際協力機構にそれぞれ統合。
  • 2011年(平成23年)5月2日 - 「株式会社国際協力銀行法」が公布・施行。
  • 2012年(平成24年)3月30日 - 株式会社国際協力銀行創立総会を開催。
  • 2012年(平成24年)4月1日 - 株式会社国際協力銀行が発足。

内容

  • 国際協力銀行は、2008年(平成20年)10月1日に解散し、同日付をもって設立される株式会社日本政策金融公庫に統合する。ただし、国際協力銀行の業務のうち海外経済協力業務(円借款その他)については、独立行政法人国際協力機構に統合する。
  • 同日付で、国民生活金融公庫中小企業金融公庫農林漁業金融公庫も解散し、株式会社日本政策金融公庫に統合する。
  • 新国際協力銀行は、株式会社日本政策金融公庫の国際金融部門となるが、旧国際協力銀行が築いていた信用力の維持と業務の主体的遂行の観点から、「国際協力銀行」という名称を引き続き対外呼称として使用する。
  • 新国際協力銀行の業務は、我が国にとって重要な資源の海外における開発及び取得を促進し、並びに我が国の産業の国際競争力の維持及び向上を図るためのもの並びに国際金融秩序の混乱への対処に係るものに限定する。
  • 新国際協力銀行の資金調達は、旧国際協力銀行が市場で築いてきた信用力の活用等により、最も効率的な調達を図る。
  • 新国際協力銀行は、新たな金融融資手法使用が可能となる。日本におけるマーケットが、間接金融から直接金融へ移行することが予想される中、7月からインベストメントバンキング部を設立することにより、従来の融資に加え、投資銀行としてのイノベイティブな役割を担う政府系金融機関となる。

本支店

  • 本店:東京都千代田区大手町1-4-1
  • 西日本国際営業部:大阪市北区曽根崎2-3-5 梅新第一生命ビルディング10階

脚注

  1. ^ 株式会社国際協力銀行法の成立について国際協力銀行 2011年4月28日

関連項目

外部リンク