僧堂
僧堂(そうどう)は仏教の寺院内にある建物の1つで、修行者(僧侶)が集団生活を行いながら仏道修行に励む場である。雲水(僧侶)が集まることから雲堂、修行者の中から仏が選ばれることから選仏場ともいう。特に禅宗寺院に多く設置されている。
通常は建物内で坐禅と共に食事も行われるが、臨済宗では食事は食堂(じきどう)で行われる場合もある。その場合、僧堂は禅堂と呼称される。
また、日本の禅宗において僧侶が住職の資格を得るために一定期間修行する研修機関のことを、特に専門僧堂と言う。
歴史
インド時代の仏教において、僧侶が集団生活する建物群のことを僧堂と呼んでいるが、これは寺院や僧院のことを指す言葉である。
現在に繋がる僧堂は唐代の中国において、百丈懐海によって清規(僧侶の集団生活のための規則)と共に創始されたとされる。その後、雪峰崇聖寺、徑山萬壽寺、天童山など諸寺院で制度が整えられ、宋代に日本に伝えられた。
日本の最初の僧堂は、日本曹洞宗の開祖道元による興聖寺僧堂であるとされる。その後、禅宗の地方展開と共に各地に設立され、今日もなお、永平寺や建長寺等で修行道場として使用されている。
施設の概要
寺院内の位置
僧堂は禅宗では七堂伽藍の1つに数えられ、直線上に並んだ山門・仏殿・法堂を挟んで庫裏の反対側、山門から仏殿に向かって左側に設置される。
外観
一般に僧堂は四角形に設計され、一辺の中央に入口が設けられる。入口は一箇所だけではなく、二箇所設けられることもあり、その際は一方の対面に設けられる。入り口には扉が付けられることはなく、通常は開けたままである。なお、夏場や冬場には、簾や帳が付けられることもある。
内部
通常、入口の正面に当たる中央に「聖僧」の坐像が安置されている。聖僧としては釈迦の智慧の化身である文殊菩薩や摩訶迦葉が選ばれる。なお、聖僧の前を横切ることは厳重に禁止されている。そして聖僧を囲むように、建物の壁に沿って僧侶個人の坐禅・生活の場である「単」が連続して設けられる。単の大きさは1人1畳である。
内部の空間に余裕がある場合には、聖僧の両脇の中央の空間に単が設けられる。
単の中で最も入り口に近い場所を「単頭」と言い、師僧(僧堂師家)が坐る位置となる。
また、建物の外部の壁に沿って単が設けられる場合もあり、これを外単と言って、内部の内単と区別する。