傭兵ピエール

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傭兵ピエール』(ようへいピエール)は、佐藤賢一作の歴史小説百年戦争を題材とする。

あらすじ

舞台は百年戦争さなかの15世紀、フランス。大貴族の私生児ピエールはアザンクールの戦いで父と生き別れ、気がつけば悪名高い傭兵部隊に加わっていた。やがて隊長を殺し、傭兵部隊「アンジューの一角獣」を率いて略奪人身売買と悪事の限りを尽くしていた傭兵ピエールは、救国の乙女ラ・ピュセルことジャンヌ・ダルクとの出会いを通し人間性を取り戻してゆく。

二人は互いに惹かれ合うが、フランス軍がオルレアンを攻囲から解放し、ランスでの戴冠式を終えた王太子がシャルル7世として即位して、フランスが優勢になったところで戦時動員が終わり、ピエールは戦線から離脱して、部下共々南フランスの田舎町で警備隊を務めていた。そこにアングル軍(イングランド軍)に捕らえられたジャンヌ・ダルクを救出するよう依頼がくる……。

主な登場人物

ピエール
傭兵隊長。かつて自らの傭兵隊長(シェフ)を殺したことから、「シェフ殺しのピエール」の通り名を持ち、傭兵らから恐れられる。もともとはドゥ・ラ・フルト家の私生児として武勇の誉れ高い父のもとで育つ。父と兄が戦場で相次いで行方不明になったあとは、義母を城に残し長年傭兵に身をやつしている。義母から受けた愛情と教育によって、自然と女性の扱いに長けるようになった反面、女性特有の傲岸な態度や涙を見せられると持て余すことも。最後は修道院襲撃の罰として王妃の母ヨランド・ダラゴンからジャンヌ・ダルクとの結婚を命じられる。
ジャン
ピエール隊の重鎮。絶世の美男子だが、冷徹な雰囲気を湛えている。明け透けな性格でクチが悪く、周囲に疎まれることが多い(仲間を除く)。貴族の生まれで幼馴染のピエールを兄のように慕う。戦闘・戦術においてはピエールに一目置かれている。貴族としての自負からか、大成の願望が強く、のちに傭兵部隊「アンジューの一角獣」内でトラブルを起こす。トマとは犬猿の仲。
トマ
ピエール隊の重鎮。商家の出で、金銭勘定のできないピエールに代わって傭兵部隊の会計係を一手に引き受けている。神経質で女性の体臭を嫌う。のちに商人としての才覚を現し、またジャンヌを失ったピエールを立ち直らせるため一芝居打つ。
ジャンヌ・ダルク
キリスト教の敬虔な信徒で、フランスを救えとの神の声を聞き、ロレーヌより戦場に馳せ参じた少女。キリスト教の教義に潔癖なほど従順で、一般人や傭兵らとは感覚のズレをのぞかせる。道中で出会ったピエールに強姦されかけるも、後に彼を信頼し、恋していたことに気付く。作中では「ラ・ピュセル」、「ジャネット」とも呼ばれる。

書誌情報

翻案

外部リンク