他人の顔

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他人の顔』(たにんのかお)は、安部公房の長編小説1964年講談社から刊行。1966年勅使河原宏監督により映画化された。

内容


注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。


液体空気の爆発事故で負ってしまった重度のケロイド瘢痕のために、自分の顔を喪失してしまった男が主人公である。顔を失った事で、妻や職場の人間との関係がぎこちないものに変わり、周囲の目を異常に気にするようになってしまった主人公は、プラスチック製の精巧な仮面を作って誰でもない「他人」になりすますことに成功する。「他人」となった主人公は、最大の目的であった妻の誘惑にも簡単に成功するが、自分という夫がありながら「他人」と密かに交際を続ける妻への不信感が募り苦悩していく。ついに主人公は妻に全てを打ち明けるが、妻は、交際していた「他人」が実は夫であったことに気付いていた。事故以前の夫婦関係を取り戻すためにあえて「他人」を演じているのだと理解していた妻は、夫が自分に恥をかかせる目的で誘惑していたことを知らされ、家を出る。妻の心情を知った主人公は、自らの身勝手な行動を恥じ、妻の行方を探しに走るのだった。

映画

1966年9月23日公開。勅使河原宏監督。東京映画・勅使河原プロ製作、東宝配給。モノクロ・スタンダード作品。併映は東京映画・羽仁プロ作品『アンデスの花嫁』(脚本・監督:羽仁進、主演:左幸子

スタッフ

  • 監督:勅使河原宏
  • 原作・脚本:安部公房
  • 音楽:武満徹

キャスト

書誌情報

  • 『他人の顔』講談社、1964年。 
  • 他人の顔』新潮社〈新潮文庫〉、1968年12月。ISBN 978-4-10-112101-7http://www.shinchosha.co.jp/book/112101/