主幹教諭

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主幹教諭(しゅかんきょうゆ)とは、校務・園務の一部を整理し、ならびに児童・生徒の教育または幼児の保育をつかさどる学校職員のことである。根拠となる法律は、2008年(平成20年)4月1日施行された。

従来は、管理職試験に合格し名簿登載となり、校務運営全般として教務主任・生徒指導主任・進路指導主事・学年主任・教科主任等を職掌することが多かった。

校長や教頭とは異なり,児童・生徒からは「○○(姓が多い)先生」と呼ばれるが,教職員からは学校という空間での立場上、主幹先生と呼ばれる(先生は敬称)ケースが多い。

概要

校長園長副校長副園長を置く認定こども園を含む幼稚園小学校中学校中等教育学校高等学校または特別支援学校にあっては、校長・園長および副校長・副園長)および教頭を助け、命を受けて校務・園務の一部を整理し、並びに児童・生徒の教育または幼児の保育をつかさどる学校職員のことである。学校の実情に照らし必要があると認めるときは他にも、幼児・児童・生徒の「養護をつかさどる主幹教諭」および「栄養の指導及び管理をつかさどる主幹教諭」を置くことができる。

教員集団のリーダーであり、管理職を助ける役目をする。特に昨今、激務である教頭職の援助支援、新たなる社会的変革によって生じた渉外活動などを担当する。

管理職試験に合格し名簿登載者となるには、一定年数以上の教育の経験などがなければならない。公立学校の場合、主に管理職試験(教頭試験等)に合格し、教頭人事待ちの教諭がこれに該当する。ただし、一般的に管理職ではないと解されている(職命令の発等が根拠)。

埼玉県の場合を例にすると、平成20年度までは、職名は「教諭(主幹)」であり、給与や手当などの優遇措置は無かった。平成21年度より給与条例の改定があり、俸給特2級が新設された。これにより新たな職として「主幹教諭」が発令され、今後は全県的に配置される。自治体によっては職務命令ができるなど、教諭とは一線を画し、その職務に大きく期待しているところもある。

また、改正教育職員免許法に基づく「教員免許更新制」の対象外とされ、校長・副校長(教頭)と同様に免許更新の必要はない。

学校が組織体であることを現場の中で認識させることは主幹教諭の大切な役割である。主任格以上に属し、各校務分掌に対し、指導助言することを本務としている。常日頃から校長の意を汲み取り、学校運営の根幹を担っていくことが期待される。ただし、一般の教員と同様に授業や部活動を担当し、校務全般に係(かかわ)り、担任(学年主任に充当されることが多い)も行わなければならない場合もある。授業時数の軽減が認められているものの、企画委員会など各種会議をはじめとする定例・臨時の会議への出席を求められることが多く、かなりの激務である。 事なかれ主義や前年踏襲など改革を求めない姿勢は、主幹教諭には必要ない。最前線で学校改革に尽力できる人材が求められる。常に学校のために何をすべきか、考察しフットワークよく動ける人材が必須なのである。

いち早く主幹教諭制度を導入した東京都では平成20年頃から選考の競争率が1.0~1.1倍程度と低迷しており、平成22年度から導入された管理職推薦による昇任が大半を占めている。学校によっては、管理職が推薦しても被推薦者が固辞したり、そもそも人材が払底しているなどの問題をかかえている。

歴史

学校教育法には規定がなかったが、一部の地方公共団体では教育委員会規則で定めていたものである。例えば、兵庫県においては従来から「主幹教諭」(校長の監督を受け、円滑な学校運営の推進、教員等の資質及び能力の向上をつかさどる)を、東京都においては「主幹」(上司の命を受け、担当する校務を統括処理する)を、大阪府においては「首席」(校長の命を受け、一定の校務について、教職員を指導・総括する)を置いていた。

関連項目