一過性脳虚血発作

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一過性脳虚血発作(いっかせいのうきょけつほっさ、transient ischemic attacks:TIA)とは、循環障害により起こる一過性の神経症状を指す。

24時間以内に完全に消失する特徴を持ち、また繰り返し起こることで脳梗塞を併発する恐れがあるので、脳梗塞の危険信号と考えられている(脳梗塞への移行は20~30%程度)。なお血管系の疾患の合併症として現れることが多いので、この症状が見られる場合は高血圧症・高脂血症糖尿病等の検査も同時に行う。

原因

頭蓋動脈の血行障害、小塞栓、血管痙攣。

症状

症状は内頚動脈領域椎骨脳底動脈系の循環障害かで異なる。また症状は突発的に起こり、数秒ないし15分以内、長くても24時間以内に消失する。

検査

  • 一般的には動脈硬化と関連して検査を行う。
  • CTスキャンでは確認できない。
  • 脳血管撮影を行う。内頚動脈系では内頚動脈の狭窄・閉塞が見られる。椎骨脳底動脈系では頭蓋外の血管で異常が見られることが多い。事前検査としてMRAも有用。

脳梗塞への移行

ABCDDスコアを用いて脳梗塞の進展の予測が可能である。MRIにおける拡散低下病変やMRAにおける動脈硬化性変化を含めると精度が向上するという報告も存在する。

名称 内容 点数
A(age) 60歳以上 1点
B(blood pressure) 収縮期血圧≧140mmHgまたは拡張期血圧≧90mmHg 1点
C(clinical features) 片側脱力 2点
  脱力を伴わない言語障害 1点
D(duration of symptoms) 60分以上 2点
  10分以上60分未満 1点
D(diabetes) 糖尿病あり 1点

TIA発症後2日以内の脳卒中のリスクは3点以下では1.0%、5点以下で4.1%、6点以上で8.1%とされている。糖尿病を除いたABCDスコアでは1週間以内の脳卒中のリスクが評価されていおり、4点では2~4%、5点では12~28%、6点では28~36%とされている。

治療

  • 薬物療法…抗凝血剤(ヘパリン)や血小板凝集阻止剤(アスピリン)を投与
  • 外科的療法…血栓内膜摘除術・バイパスグラフトを行う。頭蓋内の主幹動脈に閉塞のある場合は、浅側頭動脈・中大脳脈皮質枝の吻合術を行う

関連項目

診療科