ヴォジャノーイ

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イヴァン・ビリビンの描いたヴォジャノーイ。

ヴォジャノーイVodianoi)は、東欧に伝わる妖精。名前は水を意味する単語「ヴォダー」に由来する。

ウンディーネと同じく水の精である。ルサルカの夫とされる。金銀と魔法の石で装飾された、絢爛な宮殿に住んでいる。住処の宮殿を装飾する金銀は、沈没船から調達したものとされる。水が支配されることを嫌い、水車水門を壊して洪水を起こすと考えられている。水車の羽根の下には、複数のヴォジャノーイが潜伏していると言われる。人間を嫌い、泳いでいる人間がいると水へと引き込み食べてしまう。ヴォジャノーイによって水中に引きずり込まれた人間は、ヴォジャノーイの奴隷になってしまう。昼間は宮殿に潜んでいるが、夕方になると活動をはじめ、脚で水を叩いて大音声を張り上げる。

ヴォジャノーイは様々な姿に変化する。ひげを生やしたカエルのような姿をしているといわれるが、このほかにも緑色の髪の老人、全身をコケに覆われた巨漢、裸の女性、大魚、巨人ボルゾイ海老丸太など様々な姿で描かれ、さらには水車や水門そのものとして描かれることもある。

ヴォジャノーイは、不死の存在だが、月の満ち欠けとともに老いたり若返ったりするともいわれ、満月の日にその力は最高潮に達し、非常に危険な存在となるという。

ロシアでは、ヴォジャノーイへの御追従のために、道行く人を水中に突き落とすこともあった。

オロネッツ地方のある湖に生息していたヴォジャノーイは、人間を食料にするために水中で待ち構えていたが、この地方の人間達が皆用心深く、水浴びや水汲みに湖に現れることが殆どなかったため、住居を移そうと決め別の湖へ移動していった。その際に、脚に小さな島が引っかかり、河の中に落ちた。その島は今でも人の肉眼で目視できると言われている。

関連項目

参考文献

  • フェリックス・ギラン著、小海永二訳『ロシアの神話』(青土社